ビールを飲むぞ

酒の感想ばかり

セント・アンドリュース・エール

2012-04-29 11:47:15 | ビール

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香りはフルーティー。注ぐと濃い目の褐色。泡は割りと細かく泡立ちもいい。但し長時間は残らない。

飲んでみる。独特の燻製の香りがある。樽で熟成させたのだろうか。濃い甘みとやや酸味のある味。苦味や渋みはない。要はカラメル由来ということか。

あまりグッと一気に飲むタイプではなく。少しずつ味わいながら飲むタイプといえる。

アボットエール、オールド・スペックルド・ヘン、そしてこのセント・アンドリュース・エールと比べた中ではアボットエールが一番おいしい。


ヱビスザホップ2012

2012-04-22 19:24:56 | ビール

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缶のデザインが緻密になり、デザインは洗練された印象。

ホップの香りがした直後に苦味がやってくる。しかし重みよりは軽快さを重視。重くて飲み続けるのがツラいと感じることはなく。比較的苦味、渋味が少なく、しかし薄くなく、のみごたえを保ちながら軽快。やはり、ノーマルヱビスよりはカジュアルな印象。


「八犬伝」山田風太郎

2012-04-11 03:40:00 | 読書
八犬傳 上(新装版) (廣済堂文庫) 八犬傳 上(新装版) (廣済堂文庫)
価格:¥ 700(税込)
発売日:2010-06-15
八犬傳 下(新装版) (廣済堂文庫) 八犬傳 下(新装版) (廣済堂文庫)
価格:¥ 700(税込)
発売日:2010-06-15

「八犬伝」は朝日新聞の夕刊に連載されていて、1983年10月、11月に単行本化された。上巻は1982年8月30日から1983年4月1日、下巻は1983年4月2日から11月14日分とある。

まだ子供だったので新聞を読むことはなかったが、この連載だけは読もうとしていた記憶がある。しかし、毎日断片的に読むことが面倒だったので断念した。

幼少のころなので記憶は定かではないが、この頃山田風太郎を知っていたのか不明だ。山田風太郎を知ったきっかけは「伊賀忍法帖」や「魔界転生」が映画化されて、原作を読んでみたくなり読み始めたのがきっかけだ。しかし、八犬伝という言葉もそもそもは「里見八犬伝」という映画がきっかけで知ったので、同じ八犬伝が新聞に連載されていて気になったのは確かだろう。そこで作者を見ると山田風太郎とある。あの山田風太郎と知っていたのか、そこで山田風太郎を知ったのかはよく思い出せない。

後になって朝日新聞社から上下巻の単行本として出版され、早速購入した。

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Dsc_0641下巻だけ帯が付いている

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風太郎八犬伝は、滝沢馬琴の執筆の様子を描く「実の世界」と、物語としての八犬伝の「虚の世界」が交互に書かれている。幼かった私は「実の世界」は飛ばして、もっぱら「虚の世界」ばかり読んでいた。しかしその当時はあまり面白い小説ではないと思っていた。

今回は歳もそれなりに取ったし、山田風太郎の作品も多く読んだし、今の自分なら楽しめるのではないかと思い、読んでみた。
結論から言うと、読む前に予想していたとおり、「虚の世界」は活劇としてとても面白いのは当然のこととして、読む前に予想はしていたが「実の世界」にこそこの作品の醍醐味があった。
馬琴の青春時代。自暴自棄な荒れた生き方をしていた馬琴が母の死によって奮起した。人に頭を下げなくていい仕事。俳諧師には理屈っぽく、狂歌師には洒落っ気がない。医者とは言え患者に愛想が必要で、儒者には意外と学閥がある。自分の土俵でできる仕事と思われるものが意外と気を使うものだ。これは山田風太郎自身がそう考えているに違いない。それと同時に我々が生活するこの現代においても全く同様のことがいえる。人に頭を下げて生きたくはないし、できれば自分の土俵で生きて行けたら幸せだ。しかし現実には、仕事においては当然のこと、プライベートにおいても上下関係は存在し、避けて通れない。それに交際に営業的要素も必要だ。馬琴のようにありたいと誰しも願っているが、よほど大成した者か、もともと天才的な人間でなければ許されまい。
馬琴の頑固ぶり、正義漢ぶりには舌を巻く。ところが終盤、病気がちな息子の宗伯との親子関係、老いて気弱になったこともすこしある。息子に期待するがゆえ厳しくしつけたり、色々みにつけさせた。しかし、病弱で一人前とは程遠い息子が疎ましくもある。しかし偏屈な自分に対して何の疑いもなく心の底から尊敬してくれる息子にいとおしさを感じる。そんな葛藤が描かれる。ごく当たり前の親子関係なのだろうが、身に染みる。
先日書棚を整理していたら文庫本でも買っているのを見つけた。完全に記憶から消えていた。これは角川文庫版である。

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角川文庫から出ていたことも忘れてしまっていた。そもそも買った経緯としては、当時角川文庫が一番時代物を数多く揃えていて全集の様相だったので、 全部そろえてコレクションしようと思っていた。「秘戯書争奪」以来久しく出ていなかったのだが、八犬伝が出版されて、特段読みたいわけではないが、思わず買ったのだろうと思う。因みに「八犬伝」ではなく「八犬傳」となっている。因みに1986年3月に朝日文庫から文庫化されている。それは買わず、角川文庫板は1989年11月25日に出版され、私は翌日に買った。

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当時の角川文庫のラインナップ。忍法帖のほとんどが角川文庫に収めれらていた。

今回初めて読破できたが、これが馬鹿みたいだが、廣済堂文庫版で改に買って読んだのである。3度目買いである。

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それにしてもこの廣済堂文庫版、帯に書かれている一文が、この小説の本当に最後の(多分物語全体を完成させる重要な)一文なのだが、それはどうなのかと。

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