ビールを飲むぞ

酒の感想ばかり

菊姫鶴乃里2019BY

2022-10-28 20:06:29 | 日本酒

今日は2022年10月28日で、ラベルには2019年とある。製造は2020年10月。3年前に醸造されたものを2年前に製造されたもの(これが通常)、それをさらにお店の冷蔵庫で熟成させたものがこれになる。

瓶を透かすと澱が見える。ただしこれは濁りではなく、たんぱく質が凝集したものという。

どれだけ濃厚な酒なのかと感服する。

新酒の2021と比べるとより琥珀が濃い。といっても天狗舞の山廃純米よりは薄い。

香りはフルーティーさや酸味といったものは感じられない。やや熟成香が混ざってくる。

飲む。

当然といえば当然だが熟成感がある。

しかし不快なものではなく、どっしりとした感じ。

熟成味がやや感じられながら、中心にどっしりしたものがある。新酒の荒々しさが取れ、丸くなった感じ。

香りと矛盾するかもしれないが、熟成味がやや強い酸味(味覚としては酸味がある)と調和して、熟成酒の飲みにくさを軽減している。

先入観ほどに飲みにくさというものはない。

いやこういった熟成酒であれば悪くない。

天狗舞の山廃純米よりは飲みやすいかもしれない。

牡蠣の油漬けと合わせると、案の定合う。重厚な相加作用。酒のクセが紛れる。

20221029追記。

1日経って。やはり寝かせたらしく、まろやかだ。フルーティーさも何となく感じるが、フレッシュなフルーツというより、非常にまろやか。

元が辛口なだけに中心にはその名残が残っているが、それを包むまろやかさによって刺激は強くない。

熟成を違った解釈する、いやな熟成味、老香がなく、本来の 熟成というのはこういうものかもしれない。

ホタルイカの沖漬けと合わせると、とてもよく合う。

20221031追記。

開封3日後。

注ぐと、濃い目のフルーティーな香りが漂う。

近くで聞くとやや古酒感のある香り。

色は急激に琥珀に近づく。まあ、まだまだ琥珀と言えるほどではないが。

飲む。

確かに熟成酒の風味がベースにある。しかし、フルーティー感のある酸味が強くあり、熟成感を抑えている。酸味のおかげで、キレがいい。いやな後味がない。

ウイスキーや紹興酒のような後引く濃さがなく、熟成感のある酒でありながらフレッシュな酸味で後味はスパッと切れる。濃厚でありながら、後味爽やか。

文章にすると手取川山廃純米や悦凱陣に類すると思いきや、方向性が違う。例えば、大阪の雅一を濃厚にした感じか。とにかくパンチがある。

20221118追記。

開封後3週間ほど。飲むほどに面白い。手取川山廃純米と鶴乃里2021は近い味。

なのに、この鶴乃里2019は、2021と方向性は同じながら、吟醸風味がありながら、さらにまろやか。この、まろやかが素晴らしい。

吟醸風な華やかな香りが(熟成させたにも関わらず)いまだにある。吟醸香は周囲の風味で、その上で核の味は2021よりまろやかになっている。

20221121追記。

今感じるのだが、リンゴ酸感というのはカラメル風味と表裏一体なのか。リンゴ酸から酸味を取って濃くしたらカラメルともとれる。

しかしこの酒は熟成しているが老香がなく飲みやすい。

カラメル感は増しているが。


菊姫鶴乃里2021BY

2022-10-28 19:58:56 | 日本酒

菊姫に菊姫会という酒屋の会があるらしい。その会限定の製品らしい。

山廃純米酒となる。今日は2022年10月28日だが、2021年醸造とある。しかし製造は2022年10月でこれが新酒となる。

ラベルのデザインは色違いで1年ごとに赤→黒→青と変わる。今年は青だ。

フルーティーな香りが微妙に感じられるが、日本酒っぽい香りが大部分。

色は少し黄金色がかっている。

飲む。

恐れていたほどに意外と熟成味はない。

しかし菊姫らしく、カラメル風味が少し感じられる。

といって甘ったるいわけではなく、新酒だからかスッキリとしている。だからカラメルの味ではなく、風味といったところ。

重みがあり、酸味から来る辛さが後味に来る。

20221029追記。

1日たつと味がまとまった感じ。カラメル感はほぼ感じない。全体的にパンチのある辛み。

フルーティーな風味があるが、同時にカラメル風の熟成味も感じる。そして強さがある。ガーンと来る。

20221118追記。

思えば半月もたつのか。

愛媛の酒「水どころ」と比べるのだが、こちらはかなり重厚という印象。

重層的な重厚。

水どころは滑らか軽い。こちらは濃く重く重厚でパンチがある。

その点では方向性が明らかに違う。

しかし、

手取川山廃純米と比べると、意外なことに、似ている。


常きげん山廃純米生原酒

2022-10-22 19:10:42 | 日本酒

やまや駅西で購入。やまやの中でも、棚に並んでいるものでなく、冷蔵庫に入っていた。まあ、それは生原酒、生だからだろう。

開封すると、関西の酒風な、辛い風味が漂う。

その香りは、石川らしく甘味を含む。

やはり、熟成香ではないが、甘いまったりした風味が石川の酒の特徴なのかもしれない。それが香りに出ている。

飲む。

まずは酸味だ。かなり「酸っぱい」と感じるくらい。一応これは石川の他の酒でありがちなので、特別なものではない。

酸味がありつつ、グッとくる。そんな酸味。

20221023追記。

改めて。飲むとやはり酸味があり、直後から酸味がさらに強くなる。

中盤以降はカラメル風な風味が出てきて、途中それがナッツのようにも感じられる。

酸味は終始続き、そして感じるのだが、

中心にはナッツ系の甘みがあり、中心のナッツとそれを取り囲む酸味が並行して味わえる。

後味は酸味とは裏腹にドライではなく、ナッツ系の甘味が残る。

思い返せば天寳一生酛もナッツの味と書いてある。生酛、山廃はそういうものなのだろうか。

20221026追記。

今日は、今までナッツと思われていた風味が、そうと感じなくなった。

アタックの力強い酸味は変わらず有るが、それとうまく混ざりあい、違和感がない。

重厚な酸味のアタックから、揮発するような辛み。バックにはつぶらな米の風味。ただその風味は結構パンチがある。

カラメル感と感じられていたのがジューシー感に感じられるようになった。

例えるのが難しいが、ドライではない高知の酒だろうか。


菊正宗樽酒ワンカップ

2022-10-22 18:50:57 | 日本酒

酒蔵で飲むような雰囲気を味わえる。

それは樽の風味があるからだろう。

紙コップに入っている。

アルミシートを剥がすと中身は輝いている。

というのは?

何か反射させる加工がなされている。

紙コップの裏側、壁面がアルミになっているわけではない。

外の紙コップはただの紙コップだ。

その内側にプラのコップが嵌まっている。

そのプラコップが反射か、特殊な屈折現象を起こし、ワンカップの内側を明るく輝かせているのだろう。

こんなところに技術を使っている。もったいないような。

甘味はある。しかし、最近飲んでいる石川の酒のような、甘ったるさ、熟成的な甘味ではない。

樽の香りがアクセントになっている。

正直、この酒は2級酒に違いない。

しかし、地酒の濃厚さに飲み疲れたこの味覚には、落ち着いている。

うまい。

20230526追記。

久々に飲むが、うまい。

技巧的にうまい、というわけではなく、シンプルにうまい。

今飲んだ感想を書こうと頭の中でまとめていると、結局、先に書いた感想と同じになる。

つまり味は安定しているということだ。

それ以外で改めて気づいたのは、

まず、辛口であること。甘ったるくないので切れ味がある。

それでいて、アルコール度数は14度くらい(度数は、はっきり言って気にしていない)だからか、アルコールにごまかされることなく、根本の味が辛口と思える。

醸造アルコールが添加されているが、アルコールくささは感じない。それは樽の風味が付いているからだろうか。

よく見ると生酛だ。

しかし、ある意味クセがなく飲みやすい。

生酛ってなんなのだろう?

 

 


「つわもの」木下昌輝

2022-10-19 23:38:13 | 読書
「火、蛾。」
戦国時代のはなし。水野信元の弟である、水野藤九郎信近が暗躍する話。みにくい顔の藤九郎だが、醜い蛾が炎で羽を燃やされるときに美しく変貌するのを自分に置き換え、信長の元で燃やされながら踊ることを望み、軍師のように策を巡らす。今川義元を攻めるため、名前を替えて潜り込む。今川軍の家来である岡部五郎兵衛には信用されていないが、安祥城をうまく攻略し信用を得る。次に織田にしたがい桶狭間で今川義元を攻める作戦を実行する。しかし岡部五郎兵衛の軍に攻められる。大きな炎で燃え死ぬのが本懐だったが、火矢の小さい炎で焼かれ、不本意に死ぬ。相変わらず死に際してどんな風景、気持ちを感じるのかを描写するのが作者らしい。
「甘粕の退き口」
「幽斎の悪采」
本能寺の変は、信長に対する光秀の恨みではなかった。盟友と思われていた細川藤孝の光秀への敵対心が、光秀の謀反へ繋げた。新しい解釈で面白い。
「槍よ、愚直なれ」
加藤清正の話。
「怪僧恵瓊」関ヶ原を題材にしている。しかし、家康、三成を中心とした話ではない。毛利家の話。しかもどろどろしている。タイトルにもあるように恵瓊が陰で暗躍するのだが、話は吉川広家を中心に進む。どちらも西軍に勝たせたくはないと考えている。恵瓊は西軍の中心人物と思いきや、実は安芸武田家の血を引く父親を毛利元就に滅ぼされたと言う過去を持つ。恵瓊といい広家と言い、毛利を滅ぼしたいと考えている。この関ヶ原は、家康と豊臣の戦いではなく、毛利を滅ぼさせるための恵瓊の戦いなのだった。素晴らしい発想。
「日ノ本一の兵」
これも新しい発想だ。真田幸村は大坂の陣で活躍したことは誰もが知る。徳川側についた兄の信之の反対に、父昌幸と共に徳川に対抗した方だ。普通なら昌幸、幸村の父子は仲がいいと思っているだろう。ところがここでは昌幸は兄の信之の方を買っていて、幸村のことは軽んじている。幸村の方もそんな父に反抗心を持っている。そんな設定がまず新鮮だ。さらに、幸村はここでは左衛門佐と呼ばれ凡人だ。父の子飼いの忍びの頭領の手下を左衛門左に化けさせ、徳川側に潜り込ませる。実際は手下の方を左衛門佐の影武者にし、左衛門佐自身が敵に潜り込む。幸村というのは短筒の愛称で名刀村正の鋼から作ったという。そして父昌幸と、徳川を苦しめたという伝説の刀、村正から一字ずつ取って命名。ルパン三世に登場する石川五右衛門が使う斬鉄剣のような成り立ちで面白い。影武者に家康の本陣を攻めさせ、自らは徳川軍内部にいながら至近距離から発砲し討とうという作戦。結末は悲しい、いやむなしい。この作品は特に山田風太郎っぽい。作者は意図してか知らずしてか。
 
 
「火、蛾。」
20221003読み始め
20221005読了
「甘粕の退き口」
20221005読み始め
20221008読了
「幽斎の悪采」
20221008読み始め
20221008読了
「槍よ、愚直なれ」
20221010読み始め
20221010読了
「怪僧恵瓊」
20221010読み始め
20221010読了
「日ノ本一の兵」
20221016読み始め
20221019読了