ビールを飲むぞ

酒の感想ばかり

「反逆」 遠藤周作

2014-12-29 13:57:38 | 読書

織田信長を巡る荒木村重や明智光秀の物語。司馬遼太郎の戦国ものと違い、心理描写に比重が大きい。司馬遼太郎は、歴史書に近く、そこに登場人物の個性を表現し、そこが巧みで面白い。遠藤周作は史実に基づきながら、登場人物がどのような心理であったかを表現しており、比較すると重い。
そう考えると司馬遼太郎は読み物として、遠藤周作は心理を描写するという点で純文学的と言えるかもしれない。
信長の残虐性を描写する場面には血が引ける気がした。
一向宗の敵を責めるため、細川藤孝、松永弾正、佐久間正勝らが呼ばれ、共に荒木村重も先陣を申し渡された。ところが反射的に、全く意識もせず、断った。この衝動にはドキドキさせられた。わかる気がした。その衝動は、信長に刀の先に刺された饅頭を食えと命令され、無様にも大きな口を開けて食べようとしてしまった記憶が蘇ったからだ。以後これが一種のトラウマとなり、村重を苦しめる。 
松永弾正は、山田風太郎の小説でしか知らなかったので、極悪人のイメージであったが、この小説では、確かに悪人のように描かれているが、信長に比べればそこまで悪人でもなさそうであり、戦国時代というのはそういうものだ、つまりその時々で強いものに取り入ったり、気に入らなくなったら裏切る。
それにしてもこうやってみると信長は常に臣下の者に裏切られている。ちょっとは自分を省みろ、と思うほどだ。
ふとしたきっかけ、言ってみれば取るに足らない人間の裏切りによって、噂が噂を呼び、自分は何もそんなことを考えたこともないのに、周囲の噂によって思わぬ行動をしいられる。最も嫌なパターンだ。
主従関係において、江戸時代のような忠義に沿った関係ではなく、この当時は利得でも関係であった。この感覚は自分にない感覚なので新鮮だ。
古田織部も登場する。へうげものはこの遠藤周作の反逆も参考にしていると思われる。
p270
この男の心情は戦争中の陸軍将校たちにあまりにも似ている個々の戦闘には強いが、信長、秀吉、家康のような人間の持っていた大規模な視野が不足している。従って戦闘にすぐれ、戦争に弱い。
これは全く現代の会社状況と相似している。上層部の会社をこうしていきたいという考えはわかる。しかし、下層部の個々の戦闘は軽んじられる。つまり結果次第。結果よければ手段選ばず。
この上巻においては高山右近に好感が持てる。キリシタンということで作者も思い入れがあるのだろうか。潔癖で、常に正しくありたいと苦悩する青年。主人公は荒木村重であるが、逆に普通、平凡すぎるくらいだ。周囲が冷酷で残虐なだけに、極めて人間味あふれるキャラクターで、主人公かくあるべしと言ったところだ。

 

下巻
信長の佐久間信盛への仕打ちがひどすぎる。石山本願寺攻めの指揮官であった信盛であるが、何も悪いことをしていないのに、突然の退却をしいられる。もうこれはこじつけだ。何も悪いことはしていないが、それを逆手にとって安寧として何もなさなかったと因縁をつけて、今後の戦で戦死するか、出家しろという。結局は後者を選び高野山に隠遁したが、信長は揚げ足を取るように、それさえ生ぬるいと紀伊の山奥に追いやる。驚くことに佐久間信盛は信長の親の代から使える家臣中の家臣なのだ。
後世の評論家たちがもっともらしく正論のごとく評価するが、とても理解できるものではない。敵はことごとく抹殺し、味方も抹殺する。それでは自分しか残らないではないか。
こういった信長の残虐性を次々描写するのは、作者の創作かもしれないし、そればかり描写するため、穏やかな面が隠されているのかもしれない。また信長に限らず、この時代の武士は皆そうだったのかもしれない。
ただそう言った残虐性があり、この下巻では光秀が主要人物となるのだが、信長に翻弄され苦悩する様が痛々しい。これは現代でもあることだ。対抗心を燃やす秀吉の方に信長はえこひいきする。そうやって光秀と秀吉を競わせ、共に育成するいう考えだ。自分はこの考えには共感しかねる。
p316
賤ヶ岳の戦いにおいて前田利家が、結局は佐久間盛政を見捨てて逃げた。これは裏切りに相違ない。しかし、後の歴史書の数々はそうとは記していない。これは秀吉が書かせた(つまり秀吉に都合のいい)史書のためではないか

 

反逆(上) (講談社文庫)
遠藤 周作
講談社
反逆(下) (講談社文庫)
遠藤 周作
講談社

 


サッポロラガー2014

2014-12-23 18:54:30 | ビール

久々に見た気がする。

瓶では飲めるのだろう。しかし缶の気軽さが欲しい。

古川のファミマで購入。多分どこでも買えるだろう。

味は、重厚。エビスなどのような重厚感ではなく、クラシカルな重厚感だ。渋さがあり重々しさがある。ウエハース的な飲み心地だ。


新政クリムゾンラベル

2014-12-11 00:23:07 | 日本酒

これは驚いた。香りはそれほど強くない、色はやや山吹色。

飲んでみると微発泡というのか炭酸が含まれている。このロットに特有なのだろうか?

メロンの味と解説にはあるが、みかんのような後味。澱はないがそのような風味がある。

甘みがありジューシーだ、微発砲と相まって炭酸ジュースのようだ。油断すると飲みすぎてしまいそうだ。