ビールを飲むぞ

酒の感想ばかり

「きみを夢みて」 スティーヴ・エリクソン

2015-10-31 11:58:16 | 読書
久々のスティーヴエリクソンの新刊。文庫の訳しおろしとのこと。
何がマジックリアリズムなのか?またこれがそうであるとして、どういう意図でそのような表現をするのか?意味のある表現方法なのか?ただ単に奇を衒うだけで、読者の意表を突くだけのことなのか?そこも見極めたい。88ページまで読んだがそこまで不思議な印象はない。ただ面白いのは、幼女として迎えたシバがラジオの受信機になっていて、体のどこからか?遠い外国の放送を受信し発するというのだ。この発想がすごい。何の意味があるのか?ナンセンス極まりない。などと感じてしまう。それが逆にすごいと思うのだ。
また、勝手な先入観かもしれないが、寂寥感というのか?いや決してそんな話ではないのだが、ルイスバラガンの建築を見るような静かさを感じる。あるいは訳者の個性なのかもしれないが・・・
幻視とは何なのか?作者が幻覚を見て支離滅裂になっている状態を言うのか?これがそうではないかと思われる箇所がある。211ページ、モリーがシバを連れて消えてしまったあと、アドリブと言うパブでモリーが現れないか待ったが会えず、店を出る。その直後、その同じパブの43年前に舞台が変わる。それが唐突なので、時間を超越してなどという表現をされているのだろうか。
ザンが書いた小説に、ある男が暴行を受け半死となる、そこに女の子が登場し、抱えていた本を落としてしまう。そして現実世界では43年前の出来事が語られる。ジャスティンという女性が出て来る。エチオピア人だ、そして白人と結ばれ生まれた子がモリーだ、そのモリーがある日、集団暴行を受けて瀕死状態の男性に出くわす。そして手に持っていた本を思わず落としてしまう。
妻と娘、その子守りが消えた。残されたザンとパーカーの父子。妻のヴィヴを探すためベルリンまで行く。ところが、転居したロンドンでさえ住むところが決まっていないまま、そして金もない。そしてベルリンという全く知らない場所。パーカーの孤独は痛いほどわかる気がする。先ほどまで小説の話なのか過去の話なのか、全く時間と場所が不安定な、これぞ幻視だろうか?話が続いたあとの、こういった父と子のやりとりを見ると、極めてリアルな、人間的な話に感じられる。
シバといいモリーといい体の何処かから音楽が聞こえて来る。それは自身の生命(感情を含め)の象徴である。
ある家族が、シバという人種のことなる少女を養女に迎えることで、家族の関係がぎこちないものになる。ザンの性格によるところもあるが、家族は金をなくし、家も失いそうになる。そんな中、友人に進められロンドンでの講義の仕事にありつく。そこから事件が起きる。ヴィヴはエチオピアにシバの実の母親を探しに行き、いなくなる。またシバはロンドンで雇った子守り、モリーと共に何処かへ姿を隠す。残されたパーカーと父子の家族の捜索が始まる。そしてある日、ちょっとした行き違いでパーカーとケンカしパーカーまでいなくなってしまう。このようにまったくの不条理な出来事でザンは一人になってしまう。しかし、その間、家族それぞれが皮肉な偶然によってどうしても他の家族と会えないのだが、最終的には、あっさりと再会する。これまでの不条理な事件は、ザンが一人芝居でネガティブに演じていたのではないかと思うくらいに。そして、家族が再会したあとには、以前にも増して家族の関係性がよくなったという話だ。
読みは違うかもしれないが、人生の中で、自分は正しいことを常にしているとまでは言わないが、いつもと変わらない生活をしているのに、何時の間にか悪いことをしているようなギクシャクした感覚に陥ることがある。周囲との関係もそうだ。なぜこうなったのかはわからない。しかし、考えたこともない事件が起きてもがいているうちに、これまたなぜかはわからないが、軌道修正されて、元のいい状態に戻っている。間の出来事や感情は一人芝居だったかのように。
 
 
20151012 読み始め
20151031 読了

アサヒクラフトマンシップ「ドライメルツェン」

2015-10-20 21:09:55 | ビール

色は先ほどのウィンナーに近い。赤みはかかってないが、濃い褐色。香りはいがいと普通のビールに近い。飲むと、アサヒらしさが全開だ。ドライなのかは知れないが、特有のジュース感がある。それがさらに濃い。そしてグルタミン感を濃くしたような味。ただ飲み進めると、第一印象ほどに悪くはない。多分個性的すぎるのだろう。他からすると異種だが、単独ではしっかりおいしいのかもしれない。改めて味わう。チビチビ味わう。フルーツっぽい感じ。ただ、酸味が強いというだけで、安っぽいフルーツではない。そのフルーツというかさっぱり感と平行して麦芽感が盛り上がってくる。後味は甘味を感じる。ややドライ感があるので珍しい感覚だ。


サッポロ欧州四大セレクション「ウィンナー」

2015-10-20 20:53:04 | ビール

ついに最後のバージョン登場。濃いめの褐色。缶の色のイメージに近い。香りに焦げ臭さは感じない。カラメルからくるフルーティー感のある香りはする。飲むと鉄っぽい味が印象的だ。麦芽の濃さと、その麦芽が焙煎されているところからくるのか。ドライ感はないが、パサッと感が少し感じられる。ヨーロッパの田舎を想像させる味。味というより、自分の持つヨーロッパのイメージを自分なりに味わえるビールだ。ウィンナーだからウィーンなんだ。オーストリアということだ。ドイツでもなくチェコでもない。それを改めて感じると、感慨深い。どの食事、とくに日本の素材(今回は丸干しや大豆)とも相性が悪い。やはり、乳製品的な濃厚な食事に合うのだろうか?


サントリーパンプキンスペシャル

2015-10-18 17:42:34 | ビール以外

麦芽以外の物を使用するとビールではなく、リキュールとみなされる日本であるがこれはクラフトセレクトのザ・パンプキンからすると格的にはリキュールと言えるかもしれない。香りは?一瞬これは焼きいもだったか?と錯覚するくらいの、かぼちゃというより、焼きいもの香り。味も焼きいものようだ。だからおいしい。発泡酒らしくスルッとした飲み口で、中盤もそれが続くが、飲み込んだあとの喉に残るコクがカボチャだ。というより焼きいもだ。


キリン晴れやかなビール

2015-10-18 17:18:19 | ビール

ビールではあるが、糖質50%オフ。

一番搾りのような刺々しさ雑味さがなく。丸い感じ。

そのせいか、とれたてのホップの香りというのか、さっぱりした風味を少し感じる。

これが「晴れやかな」ということか。

少し物足りなさを感じなくはないが

糖質オフということなら良しとしよう。