ふぐの子ぬか漬けとは、ふぐの卵巣をぬか漬けにしたものだ。
卵巣にはテトロドトキシンが豊富に含まれており、通常は廃棄される。
それをぬか漬けにして毒を抜いたものがこれだ。
糠には多くの微生物が生息している。その微生物の働きによりテトロドトキシンが分解されるらしい。
ただしその機序は解明されていないという。
石川県だけに製造が認められているとのことだ。
それにしても誰が初めに口にしたのだろうか。
さて味の方だが、ぬか漬けの前に塩漬けにしてるだけあって、塩辛い。
そして糠の風味が強い。
同じような食べ物にへしこというものがある。
これは鯖のぬか漬けなのだが、こちらは鯖だけに油が多いのだが、
ふぐの子の方は油が少ないため、へしこよりはくどくない。
粒は硬めでとびこのような歯ごたえ。
酒に合うし、ごはんにも合う。おにぎりの具にしてもいいのではないだろうか。
何より、普通は毒があって食べられないものを食べているという感覚が、何よりのつまみだ。
石川県白山市の美川でよく作られている。
よく見かけるのは卵巣の形そのまま残し、それを輪切りにしたものだが、
これは大きいからなのか、よくぬか漬けできるようにか、卵巣が割れている。
810円とちょっと高いが、味は一番いいのではないかと思う。
上品な味の勝駒には合わないと思ったが意外にも合う。
菊姫や天狗舞と言った熟成味のあるクセの強い酒と合うのか試してみたい。