ビールを飲むぞ

酒の感想ばかり

「三四郎」 夏目漱石

2015-04-23 23:23:11 | 読書

 

これはまた読み終えるのにものすごい時間がかかってしまった。途中ほとんど中断していた。そのおかげでストーリーも把握しきってないのではなかろうか?断片的な記憶しか、しかも印象としてしか残っていないため、爽やかな明治の香りのする青春小説という風にしか印象に残っていない。

 

角川文庫版を購入。新潮文庫版にしようかと思ったのだが、文字の大きさが新潮文庫版では大きくてかえって読みづらく、角川文庫版にした。337ページあるがいまどき珍しく380円だ。なかなかやるな。もっとも漱石といえば青空文庫でタダで読める時代になった。それをあえて金をとって売るわけだから、このくらい安くて当然かもしれない。良心的だと思う。
本当に青春小説だ。序盤でバラバラであった登場人物が、実はひょうひょうとした広田先生に関わる人たちであり、広田先生を中心に若い男女が青春を過ごす。自由でいいなと、懐かしさを覚える。
三四郎が美禰子に金を借りに行き、その流れでギャラリーに絵を見に行く。瑞々しい情景だ。そしてその情景がリアルに想像できる表現の巧みさ。

 

本当は三四郎の、いわばひねくれた恋愛感情が主題なのだろう。純粋ではあるが、見栄っ張りであったり、自分から好きだと言うものかというプライドの高さ。それでいて、そんな三四郎をまるで子供のように弄ぶ美禰子。弄ばれているのに意地っ張りであるところ。なんだかんだでこれぞ文学作品なのかもしれない。夏目漱石にそんなイメージはなかったが、純文学らしいひねくれた偏執的な心理を描写した作品なのかもしれない。

 

そう意味ではもう一度通して読む必要があるし、三部作の残り2作も読む必要があるだろう(しかし「門」は高校の時に読んでいるのだが、これまたあまり印象に残っていない)

 

 

 

20130929読み始める
20150423読了