医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

千葉県警元警部 住居侵入、強姦、強制性交、盗撮事件 求刑懲役17年

2023-08-31 18:53:30 | 傍聴記

午前10時から11時まで201号法廷(品川しのぶ裁判長)で、元県警警部岡田誠被告の強制性交の裁判が行われました。

 

被告人質問の続きで裁判官からの質問です。

>強姦の記憶がないという事ですが、なぜ?

罪悪感 時間が経っている。

>D,E,Fさんに対する被害弁償金として400万円を弁護士に預けたようですが、どうして決まった?

離婚に伴う財産分与の私の全財産です。

>事件のきっかけになったアダルトビデオはどういうものですか?

携帯やパソコンで見ていた。

>どういったものなのか?

鍵の掛かっていない部屋を探す、女性の人格を蹂躙して性行為を行うような内容のものです。

>あなたの性欲というのは、そういった卑劣な行為する性癖のことなのか?

そうです

>好奇心とは?

どういう人がいるのか?どんなかっこをしているのか?

 

DさんEさんの心情陳述の書面が提出されて被害者代理人弁護士が読み上げました。

Dさん

事件が起きた時に大学1年生でした。故郷を離れての一人暮らしで友達も出来て順調な学生生活を送っていました。その矢先に事件に遭ったのです。就寝中に突然、見知らぬ男が馬乗りになって包丁を見せてきた。殺されるかもしれない激しい恐怖を今も忘れる事が出来ません。

私は犯人から口に舌を入れられ性器にも舌を入れられ避妊具を着けずに性器を挿入されました。犯人の私に対する扱いは人間に対するというよりは完全に物に対する扱いでした。恐怖のあまり犯人の言われるままにしか出来なかった屈辱の気持ちが消える事はありません。

犯人は私の年齢や性交渉の経験や交際歴を聞いてきました。居ないと答えると馴れ馴れしい口調になり気持ち悪かった。犯人の声色が残っていて恐ろしく感じます。犯人は警察に通報するな、通報したらどこまでも追いかけるぞと脅しました。

犯人が逮捕されるまで、私は怯えて生活していました。当時のアパートは犯人が来るのではないかと思って引っ越しせざるをえませんでした。寝るときには包丁や催涙スプレーを置いて寝ていました。

犯人が捕まった連絡を受けました、逮捕された犯人が警察官だと知った時には驚きました。本来、犯罪から市民を守る筈の人間が凶悪な犯罪を行っていたのです。この社会が信じられないと絶望の気持ちになりました。

被告人は事件の動機について父親の事で悩んでいて自暴自棄になっていたと語っていたようですが性犯罪に繋がる理由が全く理解できません。父親のせいにしているようにしか聞こえず不誠実だと感じました。

この苦しみがいつ消えるのか見当がつきません。被告人は私を物のように扱い人間としての尊厳を奪い尽くしても背徳感、罪悪を感じる事はなかったのでしょうか。私は言葉に出来ないほどの怒りを感じました。被告人は賠償金の一部を支払いました、被告人が私にしたことは取り返しのつかない事であり何をしても補えるものではありません、私の恐怖、苦痛、今後の人生の損害からすると被告人の支払った金額は全く誠意が感じられませんでした。

父親との関係でストレスを感じたというだけで自分の性欲をコントロール出来ないで警察官という立場にありながら凶悪犯罪を平気に繰り返してしまう人間が刑務所のプログラムで簡単に解決できるとは到底思えません。服役して社会復帰をすればストレスを感じる事は沢山あるでしょう。被告人が同じことを繰り返すことは容易に想像出来ます。

被告人がいつか刑務所の外に出てくると思うと恐怖を感じます。被告人に男性機能が残っている限り社会復帰して欲しくありません。出来るのなら一生刑務所に入っていて欲しい。

 

Eさん

私の人生は台無しになりました。被告人の行為が一人の人生にどれだけの悪影響を与えたのか被告人には理解できないと思います。いまでも包丁を見ると包丁を持った被告人の事を思い出し気持ちがおかしくなります。当時の恐怖と苦しみは私の中に残ったままです。

事件に遭ってから被告人が捕まるまでの5年間は被告人が何時かまたレイプをしに来るのではないかと恐怖に感じながら暮らしていました。私の他にも同じような被害に遭った女性が複数いると聞き被告人を許すことは絶対に出来ません。被告人は警察官であり、どのようにすれば犯罪が発覚しないか知っていた筈であり悪質すぎると思います。

私は一生懸命頑張ってきたのに、このような事件に遭い辛い思いをしなければいけないのか。私は被告人を許すことは出来ないので一生刑務所から出てきて欲しくはありません。

 

検察官の論告求刑

本件公訴事実は公判廷で取り調べの証拠により証明が十分です。

情状について、本件は警察官だった被告人が深夜、大学や病院近くで一人暮らしの女性が多く住んでいる地域を物色し部屋に侵入して強姦を繰り返していた。3件の強姦と3件の盗撮事件です。被害者D,E,Fさんに対する住居侵入、強姦、強制性交です。本件は常習的で計画的です。

被告人は一人暮らしの女性の家に侵入し姦淫する目的で深夜に大学があるなど女性が一人で住んでいるアパートを物色し無施錠の玄関、窓を見つけ各被害者の部屋に侵入し犯行に及んでいる。起訴されているだけでも3年間に3回で手口も類似しているので常習的な犯行です。

犯行態様が執拗で悪質です。いずれの被害者に対しても包丁を突き付け騒いだら殺すと強い脅迫を加えて抵抗できなくしている。自己の性欲を満たす為に被害者を全裸にする陰部を舐める、陰部に指を挿入する口腔性交、自慰行為をさせるなど行為をさせて膣や肛門に陰茎を挿入するなどした。避妊具がないときには避妊具をせずに性交しています。

犯行はD50分、E1時間、F50分の長時間に及んでいる。性欲を満たす為なら被害者の尊厳は踏みにじるという態度が露骨に表れていて悪質である。

目隠しや行為後には脅しをして警察官として得た知識や経験を悪用して犯行の隠滅を図りました。逮捕されて20日間DNAの試料を提出しなかったことも考えると罪証隠滅の意図は明らかであります。

被害結果は重大であります、深夜に自室で寝ていた被害者に馬乗りになり助けを求めることが出来ず逃げ場もなく、被告人の言う事を聞くか殺されるしかない状況に追い込まれたもので、絶望や恐怖は計り知れません。長時間、被告人から性玩具のように扱われ尊厳を踏みにじられ屈辱は計り知れません。被害者が被った精神的肉体的苦痛は誠に重大です。

被害者の処罰感情は厳しい。被害者は引っ越ししたり、物音にも怯えて眠れない日々をすごしました、未だに被害前の日常を取り戻していません。

Dさんは、被告人が社会復帰したのなら同じことを繰り返すと思うので、男性の機能を完全に取り去って欲しいと厳重処罰を望んでいるのは当然であります。

警察に対する信用を失わせた責任も大きい、現職の警部として上位の階級にあって市民の生活を守る立場だったにもかかわらず正反対に犯罪を繰り返していたものである。住民にとって衝撃は計り知れません。近隣住民を恐怖に陥れていた連続強姦魔が警察官だったとは被害者ならず誰も想像だにしていなかった。警察の信用を大きく損なった責任も重い。

再犯の可能性も高い。被告人は犯行時は警察官で警察官が強姦等の犯罪を犯した時の社会的影響を自覚していたにもかかわらず3件の強姦3件の盗撮を繰り返していた。再犯の恐れが大きい。 刑事責任は重い。 犯行を認め一応反省の態度を示している事や一応慰謝をしてはいるが相当の実刑に処するのが相当であります。求刑としては懲役17年に処するのが相当と考えます。

 

弁護人の意見

公訴事実は認めている。弁護人も争いません。

被告人に有利な事実があります。

事件について、決して軽いものではないと考えています。

警察官の犯行なので社会的な反響が大きい事は理解しています、しかし量刑を下げる事実もあるので十分に考慮していただきたい。

犯情について、平穏な自宅において包丁を突き付けられた各被害者の苦痛は甚大だと言わざる得ません、包丁を突き付けた態様は凶悪に留まり被害者の身体に直接傷害を生じる暴行行為は行っておりません。

被告人の行った罪証隠滅は一般人でも思いつくものであり単純なものであって警察官の知識や経験を悪用したものではない。

無施錠な部屋を探すという計画性のない行き当たりばったりで、包丁にしてもその場にあった物を使ったものである。

被害弁償を一部ではあるが行っている。全財産を処分している。

警察官で社会的制裁を受けている退職金が1000万円不支給なっている。

更生意欲として、精神科のカウンセリングを受け性衝動ついて対処していく。

母親が社会復帰した被告人の話を聞き精神科に付き添う。母親は高齢であって被告人の犯行を止める事が出来ず監督能力に疑問が持たれているので被告人と同年代の姉と共に支援をしていく。再犯の可能性は減じられていきます。

弁護人も相当な量刑が下される事案だと考えています。懲役10年が相当と考えます。

 

最後に被告人が証言台の前で最終陳述をしました。

被害者の方を苦しめ迷惑をかけてしまった、自分の犯した罪の深さ大きさを生涯忘れません。一生かけて反省をして償いをします。

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