医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

“セクハラ撲滅”弁護士がセクハラ 被害女性は依頼人で知人

2023-03-02 19:50:10 | 法曹界
セクハラ撲滅に取り組んでいた弁護士が、セクハラで謝罪。

弁護士は、企業のハラスメント講習の講師を務め、国会でも意見を述べるなど広く活躍していた。

2年前の国会にその人物の姿はあった。
国会に参考人として出席し、意見を述べていた馬奈木厳太郎弁護士(47)。

メディアに露出する機会も多く、演劇や映画界のハラスメント撲滅活動を行ってきた馬奈木弁護士が、自らのセクハラ行為を告白し、波紋が広がっている。

馬奈木弁護士が1日、インターネット上に公表したのが「ご報告と謝罪」と題する文書。

馬奈木弁護士が公表した文書より「私はこれまで弁護士としてハラスメント講習の講師を務めてきたほか、(中略)とくに演劇界のハラスメントをなくすための取り組みにかかわってきました。そのような取り組みにかかわってきた私自身が、ある方に対してセクシャルハラスメントを行ってしまいました。しかもその当時、その方の依頼を受けており、代理人という立場にありました」

文書によると、馬奈木弁護士がセクハラ行為に及んだという依頼人は、数年来の知人。

弁護の依頼を受ける前からプライベートでも連絡を取り合い、食事などもする間柄だったという。

馬奈木弁護士が公表した文書より「私はそのような関係を続けるうちに、私自身が既婚でありながら、その方に対して好意を抱いてしまいました。(中略)その方も私に対して好意を寄せていると思い込み、身体に触れたり、身体の部位に言及したメッセージを送ったり、性的関係を誘うメッセージを送ったりしました」

馬奈木弁護士は、既婚者でありながら知人女性に好意を抱き、体に触れたほか、性的関係を迫るメッセージを送信。

女性が拒んでもなお、関係を迫る言動を続けたうえ、「依頼を受けていた裁判の対応にまで言及して追い込んでしまった」としている。

セクハラ撲滅に取り組んでいた正義の弁護士によるセクハラ告白だった。

馬奈木弁護士は、福島第1原発事故で避難した住民らが国と東京電力に損害賠償などを求めた、いわゆる“生業訴訟”で弁護団の事務局長を務めたことでも知られている。

2022年6月、国の責任をめぐる集団訴訟の最高裁判決では、原告の住民らを前に判決内容を告げた。

馬奈木弁護士(2022年6月)「判決は、国の責任を認めないという、全く受け入れられない内容の結論でした。これが判決になります」

裁判をともに戦った馬奈木弁護士のまさかの告白に、“生業訴訟”の原告団長・中島孝さんも驚きを隠せない。

“生業訴訟”福島原発訴訟・中島孝原告団長「われわれを鼓舞してくれていた馬奈木さんがこんな事件を起こしたことは、びっくりしたし残念。衝撃を覚えている。被害者の方に誠実に向き合って、本人の痛みの解消、苦しみに誠実に向き合ってほしいと思う」

1月中旬ごろに馬奈木弁護士から「セクハラをした。大変ご迷惑をかける」と弁護団退任の申し出があり、2月24日付で正式に退任したという。

当の馬奈木弁護士が自身のセクハラ行為を自覚したのが、2022年末のこと。

被害女性が弁護士会に懲戒処分を求める書類を提出したことで、初めて自覚したという。

馬奈木弁護士が公表した文書より「その懲戒請求書を読み、私は初めてその方が私との関係を全く望んでいなかったこと、(中略)弁護士という私の肩書や私との年齢差、人間関係への配慮から、強く抗議できず、私の言動に苦しんでいたことを知りました」

「被害を救済すべき立場の弁護士が被害を生じさせてしまった」と謝罪した馬奈木弁護士。

被害者の知人女性側は民事訴訟を起こす方針で、3日に会見を開くとしている。

2023年3月2日 FNNプライムオンライン