医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

東京女子医大「不適切な行為で感染、休んだら無給」 職員に通知

2021-02-10 21:52:09 | 医療界
 東京女子医科大(東京都新宿区)が職員に対し、新型コロナウイルスの感染で休んだ場合、感染の原因によっては「休業中の給与を無給にする」との文書を出していたことが同大関係者への取材で判明した。「不適切な行為」で感染したなどと認められれば、「民法上の債務不履行に当たる」として無給にするという。ただ、「不適切な行為」が何を指すのか具体的に示されておらず、職員からは「恣意(しい)的に運用される」と懸念の声が上がる。

 ◇職員「脅されているように感じた」

 関係者によると、文書は「新型コロナウイルス感染症に罹患(りかん)等して休業する場合の処遇について」というタイトルで、経営統括部人事課が1月29日付で出した。

 対象は同大のほか、コロナ患者を受け入れている系列3病院で働く医師や看護師、職員ら。

 文書は、感染原因として①大学側からの自粛要請に反した行為②明らかに不適切な行為――のどちらかが認められた場合、休業中の給与を無給にするとしている。

 濃厚接触者と認定されたり、発熱などの症状で自宅待機を命じられたりした場合も、①か②の行為が認められれば休業・自宅待機中の給与を無給にすると記されている。

 同大は、職員に学内でのマスクとゴーグルの着用を義務付け、不要不急の会合や会食の自粛、カラオケやスポーツジムなどの利用禁止を求めている。これらを守らなければ「自粛要請に反した行為」に当たるとみられるが、「明らかに不適切な行為」が何を指すかは分かっていない。

 文書は「医科大で勤務する職員は、本来健康な状態で労働を提供する必要がある」と指摘。対策を怠って感染し、休業することは「民法上の債務不履行に当たるとの見解を顧問弁護士から得ている」と強調している。

 系列病院で働く職員は「わざわざ弁護士の見解を持ち出して、脅されているように感じた。自覚なく感染した場合はどうなるのか説明もない」と憤る。

 同大広報室は毎日新聞の取材に「自粛要請に明らかに反した結果、学内で感染拡大リスクを高めた職員のみを対象として無給とする方針を掲げた。罹患したことのみをもって無給とする方針を掲げたものではない」と回答している。【島田信幸】

2021年2月9日18:56配信 毎日新聞

水虫薬の睡眠薬混入、116日間の業務停止命令 福井県

2021-02-10 20:56:56 | 医療界
 水虫などの皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤が混入した問題で、福井県は9日、製造した小林化工(同県あわら市)に116日間の業務停止命令を出した。少なくとも2005年以降、約7割の製品で法令違反が確認されたとし、小林広幸社長ら経営陣も違法性を把握していたとした。厚生労働省によれば、医薬品医療機器法違反として最長の業務停止処分となる。

 県などによると、睡眠導入剤が混入した薬イトラコナゾール錠50「MEEK」の製造に関する法令違反としては、厚労省の承認外の手順による工程があったほか、新たに、立ち入り調査に備えて適切な工程を装った裏帳簿をつくったことや出荷前の品質検査で結果の捏造(ねつぞう)があったとした。

 ほかの薬でも、同様に承認外の手順書や裏帳簿が存在し、検査記録の捏造があったと指摘。品質検査で不合格となっても原因究明をしないまま合格するまで検査を重ねた違反もあった。こうした違反を経営陣や現場責任者は把握しながら黙認し、改善を指示しなかったとした。

 県は一連の法令違反を重くみて1月25日、今回の処分内容の方針を伝えたが、同社は弁明期限の8日に弁明しないと伝えた。

 厚労省によれば、同法に基づく業務停止処分は過去、承認外の手順で血液製剤を製造したとして、厚労省が2016年に化学及(および)血清療法研究所(熊本市)に対して出した110日間が最長だった。

 また県は、同社に業務改善命令も出した。処方箋(せん)が必要ない第2種医薬品(大衆薬)の製造販売と、問題の薬と関係しない工場での製造については60日間の業務停止とした。

 県や厚労省などは昨年12月、同社を立ち入り調査。主成分を継ぎ足そうとしたうえ、誤って睡眠導入剤を混入した二重のミスなどが発覚した。

 同社によると、今月8日時点で問題の薬の服用者(324人)の7割超の239人が健康被害を訴え、うち41人が入院もしくは救急搬送された。服用の影響とみられる交通事故も22件起きた。

 大阪弁護士会は1月29、30日、電話相談を実施した。服用者と家族ら10府県の50~80代の男女13人から「後遺症が不安」「補償の対応が遅い」などの相談が寄せられたという。消費者被害に詳しい弁護士ら12人で「被害救済弁護団」を結成した。問い合わせは事務局長の三浦直樹弁護士(06・4800・3277)。(平野尚紀)

2021年2月9日15:37配信 朝日新聞