中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりが「紬きもの塾」を開講しました。このブログはその記録を中心に着物、工芸、自然を綴ります。

第9回かたち塾「茶の湯の中の光と音」のお知らせ

2016年09月30日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾


知り合いが新宿区戸山にある雪後会でお茶を習っています。
時折、講師の渡辺宗牛さんの教えを聞かせてもらうことがあるのですが、
その教えに共感することも多く、かたち塾でも一度講師をお願いしたいと思っていました。
その教えというのは、たとえば点前の中で、柄杓に残った湯を釜に戻す時の音なども、「いい音ですね」などとおっしゃられ、また夕方になっても室内の灯かりをすぐつけないで仄暗い中で稽古を続けたりするそうです。
さらには稽古の後の水差しに残った水や釜の湯は、清いものから順に洗いながら湯水を無駄なく使い回すよう指導されているとのこと、お道具を大切に扱うように、水も湯も大切にする想いも伝わってきます。

お茶のお稽古というと私の中ではいいイメージばかりではないのですが、ぜひ宗牛さんのお点前を拝見しながら、その音や光、雰囲気に自分の五感を働かせてみたいと思います。
ようやく今月16日に下記のとおり塾を開催する運びになりました。

茶室にまだ入ったことのない方も、その幽玄な世界の一端を垣間見ませんか?
本格的なお茶を習いたいと思っている方も、見学を兼ねるのも良いかと思います。
作法など全く心配なさらずにいらして下さい。宗牛さんも初めての方を歓迎されています。
心得のある方ばかりだと案外面白みはないようです。^^

20年以上前に私もお茶を少々、不熱心に勉強してましたがさすがに身についておらず、、^^;、でも久しぶりに本格的茶室でお菓子とお薄をいただけることを楽しみにしています!! あっ、音と光に五感を開きながら、、、ですね。 0(*´∀`;)0
またとない贅沢なひと時となることでしょう。

服装は洋服でも大丈夫です。ゆったり目の服の方が足もしびれにくいです。香水などは避けて下さい。
男性はジャケット着用、ノーネクタイが良いと思います。
茶室の清潔を保つために、替えの靴下をご持参下さい。
塾形式の茶会ですので、落ち着いた感じであれば紬の着物で大丈夫です。

準備の都合がありますのでお申し込みは下記よりお早めにお願いいたします。

*************************************************************************
第9回かたち塾 ―――茶の湯の中の光と音

雪後軒は都心に在りながら、一軒家の本格的な茶室です。
軒主渡辺宗牛さんを講師に、薄茶をいただきながら、
茶の湯の中に生れてくる光や音に気を澄まします。 

企 画――――かたち21・かたち塾
講 師――――渡辺宗牛(雪後軒軒主 表千家講師)
日 時――――2016年10月16日(日)13:30~16:30(13:00開場)
会 場――――雪後軒[東京都新宿区戸山1-5-11]
    (最寄駅/都営大江戸線 若松河田駅 メトロ東西線 早稲田駅)
受講料――――6,000円(水屋料ふくむ)
受講者数―――10名(要予約)  ※茶道の未経験の方、男性も歓迎です。

お申し込みはこちらから。
折り返し受け付けの返信をいたします。
こちらの塾長のブログもご覧ください。


都心の一軒家の「雪後軒」の佇まい。
画像は「雪後軒」のHPより転載させて頂きました。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

生まれ来るものへのメッセージ―――「塩香」ワークショップを終えて

2016年09月24日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾


コメント欄もご覧ください。9/25追記
かたち塾第8回「塩香を作り、愉しむ」、造形作家でアロマセラピストの栃木美保さんを講師にお招きしたワークショップはとても学びのある会となりました。今回のワークショップでの学びの興奮がなかなか冷めずにいますが、その一端を書かせてもらいます。

栃木さんが足利のご自宅の庭などで育て、摘み、干して下さった植物を中心に11種類と、ちょうど咲き始めた菊の生花を用意して下さいました。あとは各自持ち寄った植物も使いながら作りました。香りの植物を探していく過程もとても面白かったです。
今年採集して干したフジバカマを嗅ぐ。

香りはたとえ植物性のものでも、人によって合う合わないがあり、強すぎるのもかえって良くない点もあるとのことです。
まずは1種類づつ単品で嗅ぎ分けていきます。特に好むものをチェックしておき、相性のよさそうなものを組み合わせますが、強いにおいのものを下に詰めていきます。
参加者に妊婦さんもいらしたのですが、この時期は香りに特に敏感になるそうです。妊娠初期、後期でも違うそうです。
自分に合う香りを身近な植物から作る塩香は、くつろいだり、呼吸を深くしたり、リフレッシュしたり、時間をかけて楽しめるのがいいです。
粗塩と植物を交互に詰めていきます。楽しそうです。。。

18年前に栃木さんが作られた塩香を嗅がせて貰いましたが、まだとても良い香りで、熟成している感じなのでしょうか。香りはどれくらい持つのでしょう?


今回は私は2回目でしたので、欲を出さず、ごくシンプルな塩香を作りました。
一本は(左)工房の桜葉と月桂樹、桜の花の干したものも詰めました。トップには桜の新芽を乗せて「秋麗」と銘をつけました。
もう一本はベースにヒノキの鉋屑、次がフジバカマ、次がレモンの皮、上にはスダチの枝葉、トップにはスダチの葉と菊の花(生)を飾りました。スダチは今まさに果汁を蓄えた青い実をつけていますので、銘は「秋の露」です。
5日置いただけで桜やスダチの生葉の青臭さに変化が出てきました。桜は桜餅の匂いがかすかに聞こえてきます。
時々瓶の蓋を開けて愉しみたいと思います。器も素敵なものに入れたくなりました。
瓶には日付と使った植物を下から順番に記したラベルを貼っておくとよいです。


男性の参加者で、花などにあまり関心がないとおっしゃる方が、作った2本を会社のデスクに置きます!とおっしゃられてとても気に入られたようです。塾長の笹山さんは「一家に一瓶」とスローガンを掲げていました!

季節と向き合いながら、時間を掛けて発酵させる香りを現代の暮らしに生かしたいです。
人の五感(栃木さんは人には第六感もあるとおっしゃられていましたが)の嗅覚は心地よさ、あるいは危険など生きる上で必要な匂いを嗅ぎ分けるためにあると思います。人の野性としての嗅覚も磨き、自然体であることを大切にしたい。

香りといえば、強い人工香料に悩まされている方も多いですが、過剰な香料に健康を害することもあるようです。芳香剤など何日でも押し付けがましく残るカオリとは一体何なのでしょう?幼い子供たちはそれから逃げることもできません。

人がものを作り、使い生きていくことは、過去、現在、未来へと一直線でつながっているわけです。分断されたもの作りやその場しのぎのものは何も生み出さないのです。文化を形成することもないのです。安価さを売りに、人の本来の感覚を壊していくものたちに私たちは“No!”と言わなければなりません。

栃木さんは美術表現で創ることは未来への責任がある、という趣旨のこともおっしゃられていました。
自然素材から糸を取り、植物から色を抽きだし、人の手わざでと労力で布を織り、使うことも同じことです。未来への責任があります。過去を知り、未来へのメッセージも視野に入れ、現在とかかわり作り、使う。

着物文化ももう本物が残らない、残せない時代になってきましたが、私たちはその場しのぎのものに迷わされず、本当の安らぎにつながる道を迷わずに行くことだと思います。
それは生まれ来るものへのメッセージにつながります。

栃木美保さんの指導と話の中で、植物の香りが語りかけてくるものに触れさせて頂きました。植物(生物)は香りでコミュニケーションをとっているという話もされていましたが、自然の神秘、合理に、鼻も六感も磨きたいと思います!

栃木美保さんのご協力にこころよりお礼を申し上げます。参加して下さいました皆様もありがとうございました。

次回かたち塾 10月16日(日)「茶の湯の中の光と音 」です。
茶道の心得の有無に関係なくどなたでもご参加いただけます。
次回は聴覚、視覚と向き合います。
詳細は後日お知らせいたします。






コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

第5回紬きもの塾――  桜、柿で染める

2016年09月06日 | 紬きもの塾’16


桜が黄葉を始める中、真綿から自分で紬いだ糸と帯揚げ、半衿などを工房の柿の小枝と桜の枝葉などを使い染をしました。
今まで7月下旬が染の回でしたが、昨年から9月にしました。


2016年9月3日の時点で桜は黄葉を始め、柿は少し青みが抜けつつありますが、まだ青い実をつけています。

染め上がった色は7月よりも共に黄色味が抜け、赤味のふわっとした生き生きした色が染まりました。

草木の生の状態の染は刻々と変化していきます。
みなさんも染液に入れたすぐと時間の経過とともに色を変えていくことに歓声が上がります。

植物自体の変化と染め手の創意工夫で色相は無数に生まれます。
「あの色が欲しい、この色が欲しい」という囚われの狭い世界ではなく、どんな色が生まれてくるのかという発見と喜びがあります。

参加者から「草木染は無限なんですね」という言葉も聞かれました。

もちろん草木で染めることは簡単ではなく、媒染剤の使い方や、染め方、時間の経過の関係、堅牢性もあり、経験、熟練も必要です。同じ色を大量に染めるのも難しい点もあります。お手軽なものではありませんが、一人の人間が手織りで仕事していくぐらいの量は身近な植物で充分に染めていくことができます。

桜、梅、柿、ヤマモモなど、無媒染でも淡い色でしたら半衿や帯揚げ(絹でしたら)を染めることもできます。
工房では直径35cmほどのステンレスボールを使っていますが、帯揚げ1枚まででしたら家庭用の23cm~30cmぐらいのボールや鍋があればムラを作らず染めることができます。染材は被染物の同量~倍あれば十分です。染液はヒタヒタからかぶるくらいのほうがムラになりません。絶えず布を動かしていなければなりませんが。

今回はアシスタントがおりませんで、4時間半の時間内でなんとか染め上げなければならず、指導、指示だけで手一杯で写真を撮れなかったのですが、受講者が撮った以下の写真(余裕ですね。。。^^;)を共有させてもらいました。
       
染め上がった帯揚げは、みなさん実際に着物に取り合わせて紬塾へもしてきてくださるそうです。楽しみにしています。


左が桜、右が柿。匂いは桜のほうが強いです。細かくチップを作ってくれましたが、なるべく断面が大きくなるようにします。
少し太い枝の場合は樹皮と材を分けて使うこともあります。色相はかなり違います。
ところで足も面白い!^^


桜の鉄媒染。まだ濡れた状態ですので、乾くと色の濃度は半減します。洗濯ばさみはもう少し端にしてほしかったです。^^:
奥の糸は柿の無媒染2工程。半衿の写真はありませんが、古くなった半衿を染めたものもこんな感じに染まっていました。


こちらは桜のアルミ媒染。もう少し早い時期ですと黄色系になります。

身近な植物を観察したり、時に小枝で染をしてみると良いのではないでしょうか?
色もいいですが、煮出しの匂いもいいですよ。
自然の観察と気付き、創意工夫は生きる喜びです!

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

かたち塾お知らせ 「塩香を作り、愉しむ」

2016年08月26日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾

9月18日の第8回かたち塾「塩香(しおか)を作り、愉しむ」は少し先のお知らせになりますが、準備の都合がありますので早目にご案内いたします。
“塩香”というのは植物を塩漬けにするモイストポプリです。密閉しておけば、時間をおいても香りが飛ばず、むしろ発酵してまろやかな香りになってきます。身近な植物が持つ香りについて関心を寄せてみたいと思います。

“香り”といえば合成洗剤や柔軟剤、シャンプー、芳香剤、衣類の防虫剤、トイレットペーパー、化粧品、食品等々。身近に強い香りが充満しています。強い匂いに苦痛を感じている方も多いのではないでしょうか?私はこれらの“香り付き”製品が苦手です。押し付けがましい人工の香りは神経を苛立たせて決してくつろがないのです。ご近所から漂ってくる洗濯洗剤の匂いに仕事中も悩まされています。(ーー;)

しかし、草木で染色をする際に煮出しをしますが、その時には思わず深呼吸して匂いを嗅いでしまうぐらい、いい香りがします。植物によってその香りはもちろん違い、ただ木を眺めているだけでは感じられない匂いもあります。
植物がもつ香りは生き物としてのそれなりの役目があると思うのですが、改めて植物の香りを聞いてみましょう。
昔から日本人もその香りを暮らしに利用してきました。たとえば衣類の防虫剤としてクスノキから作る樟脳は今も使われています。


今回は身近な植物、あるいは果物の皮、スパイスなども含め、栃木さんが用意してくださる乾燥させたものをベースに、持ち寄ってもらう生の植物の葉、茎、花、実など、香りを嗅ぎ分けながら、自分に合う心地よいものを数種類ブレンドして塩漬けにしていきましょう。
森林浴などすれば一番ですが、小さな瓶に身近な草木の匂いを詰め、改めて“香り”を確認しましょう。

造形作家でアロマセラピストの栃木美保さんにご指導をいただきながら作業を進めます。
栃木さんは和紙や麻布、植物、精油など使った作品を創られる方です。

この7月にも栃木さんの「 天の川 -七夕まつり- 」と題された展覧会(ギャラリー 水・土・木)で、麻布に竹の葉を挟んで縫い止め(手縫いですごかったです!)、天井からたくさん吊り下げた作品を拝見してきました。
七夕に絡めたものですので、来場者は願い事を和紙の短冊に書き、竹飾りに付けるという参加型のインスタレーションでもありました。

11年の同ギャラリーでの栃木さんの展覧会を観ての当ブログ記事はこちらから。

昨年松濤美術館などを巡回した「スサノヲの到来」展にも展示されていました。細い麻布を272本垂らした円形のスペースで、ふたつきのガラス容器の蓋を開けて、四季を意識してブレンドした植物の香りを体験できる展示でした。
また塩香のワークショップもあり、栃木さんから指導を受けて作りましたが、今もいい香りで工房に置いてあります。透明なガラス瓶に詰めておくと眺めても楽しめます。

昨年の紬塾の染の回では急遽、庭の金木犀の花で塩漬けも作りました。
上の画像の左端が一年後の金木犀です。色は茶色になってますが香りは残っています。
こちらのブログもご参考までご覧ください。

自分が好きな香りの植物を1~3種ぐらい持ち寄りましょう。
庭がないかたでも公園や道端でホンの少し葉をちぎって匂いを調べてみてください。思いがけない発見が意外にあると思います。野菜や果物、ハーブでも使えるものもあるかと思います。

栃木さんは乾燥させたものを用意してくださいますので、みなさんには生の状態のものを用意してもらいます。当日採集か前日などの場合は水に活けておいて、生気ある状態でお持ちください。
みんなで順番に嗅ぎ分けながら、好きなものをチェックし、あとから塩とともに瓶に詰めていきます。
蓋付の瓶1本はこちらで四角いタイプのものを用意します。
一人2本作りたいので、もう1本はご自分でご用意ください。

100円ショップでも密閉瓶は売られています。ジャムの空き瓶などの場合は150~200ccまでの容量でお願いします。上の画像の真ん中、うめジャムの瓶は200ccです。

私は桜の葉を持っていこうと思いますが、そのまま嗅いでもあまり匂いはないのです。煮出していると桜餅の匂いがするのですが、塩に漬けることで香りが出てくるのでしょう。桜餅の葉は大島桜の葉を塩漬けにしたものですから。
とにかくいろいろ試して何か発見なり、気付きがあれば良いと思います。

どなたでも参加できます。準備の都合がありますのでお早めにお申し込み下さい。
不明な点はお問い合わせください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第8回かたち塾 「塩香をつくり、愉しむ」
造形作家、アロマセラピストの栃木美保さんを講師に迎えて、
塩香=“香りの塩漬け” 作りのワークショップと、「香りと匂い」をめぐるレクチャーを行います。

ゲスト: 栃木美保(造形作家・アロマセラピスト)
コーディネーター: 笹山 央(かたち塾主宰)
日 時: 2016年9月18日(日)13時15分~16時30分
会 場: 小田急線成城学園前駅近くの施設(お申込の方に詳細お知らせします)
受講料: 3,500円 材料代、茶菓子代込(かたちの会サポート会員は3,000円)
持ち物: 身近な植物の花や葉など香りのあるものを1~3種類
    ※塩香の材料(瓶、塩、植物等)はご用意いたしますが、お好みの香りのものをお持下さい

お申し込みと詳細はこちらから。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

お盆に小千谷縮でお墓参り

2016年08月16日 | 着姿・作品


お盆休みには二度、着物を着ました。
60年ぐらい前の小千谷縮みで母が遺してくれたものです。

糸質が今の輸入のラミー麻と違い張りがあり、風の通りがとても良いものです。
当時のごく普通の呉服商品だったと思いますが、母が好きだった色味です。
裄だけ私の寸法に直してあるのですが身幅が狭く、、全身像はUpできません。。。^^;
自分の本体の寸法を少し詰めたいのですが、、秋から本気でやろうと思っています。運動しなければ・・
帯留めは今は亡き金属造形作家の濱口恵さんに20年前に帯留めとして作って頂いたものです。銀の籠に色違いの真珠が入っています。

一日は青山のお墓に参り、もう一日は帯を替えて、カジュアルなコンサートへ行ってきました。帯は共に自作の夏帯です。
暑い日でしたが、下着はもちろん櫻工房オリジナル、大麻肌着に蚊帳タオルの汗取りも使いました。一日は汗取りなしで着用しましたが、ないほうがむしろ暑く感じられました。ヘンプ蚊帳生地使えます!!日本の織物の撚糸や密度などの知恵、技術もすごいものがあります。
夏の着物は少し気合を入れないといけないのですが、着てしまうとシャキッとして案外気持ちのよいものです。


ガラスの帯飾りで少しでも涼しげに…してみました。

さて話が飛ぶようですが、短歌か俳句を勉強したいと思っています。
予行演習で初めての短歌を一首詠んでみました。(家人の添削済み)

・墓参後の会食の坪庭(にわ)に舞いきたる 
      アオスジアゲハを亡母(はは)かと想う  

ご説明いたします(^^@)。
亡き母の好きだった小千谷縮を着てお墓参りし、そのあと懐石料理を頂いたのですが、その店の小さな坪庭に青いアゲハ蝶が西から現れ、東方向へひらひらとゆっくり舞い、一往復して去っていきました。その光景はただならぬ感じで、水色が好きだった母が化身となって会いに来てくれたようで、夜になっても興奮が覚めなかったのです。
今年は母の十三回忌、父の七回忌でもありました。
アオスジアゲハは今までにも1~2回見たことはあったのですが、名前を今回初めて知りました。店の人は見たことがないと言ってました。
蝶の写真はこちらをご覧ください。

母も自己流ですが短歌や俳句を詠む人でしたので、文才のない私も少し苦手なことにもこれから挑戦してみようと思っています。

母が自分の母(私の祖母)を亡くした翌年だと思うのですが、短歌や俳句をいく首か遺しています。俳句を一つだけ挙げておきます。母が42歳のときです。

[母]        昭和40年8月25日
・夕涼みニラの花にも母の顔

私は子供で何も苦しさをわかってあげられませんでしたが、辛さを一人、誰に話すでもなく短い言葉に込め、耐えていたのだと今更ながら思います。
実家は紀州の山の中で、結婚して東京へ来てから会うことも少なく、親孝行できなかったことの辛さでもあったと思います。
祖母は看護師をしていて、村でお産や病気で困っている人のお世話などをよくしていたようで、質素でしっかりものだったようです。畑の縁の土留めとして植えられたニラ花と重なったのでしょう。私も母を亡くして2年ぐらい何を見ても母を思い出し泣いて暮らしていました。
人の絆はモノや自然物を介してつながっているものかもしれません。

少しの着物を遺してくれていたことが、今の私を支えてくれていると実感するお盆でした。



コメント
この記事をはてなブックマークに追加

麻(ヘンプ)ローライズステテコ&肌襦袢 [2] ――室内着使用例

2016年08月09日 | 和装肌着/大麻ローライズステテコ&肌襦袢

残暑お見舞い申し上げます。

この夏は梅雨明けが遅く、割りに気温が低い日が続いていましたが、このところは暑さが本格的になってきました。今日は今夏最高の暑さですね。

お陰さまで工房は高台にあり、風の通りがよく、まだ冷房は使っていません。
庭の桜や柿の木が日よけになってくれていますし、ヨシズも使ってますし、四方の窓を開け、自然の風に吹かれ、風のない日はエアコンの送風で凌いでおります。

とは申しましても、着るものは究極の形でなければなりません。
衣服は限りなく楽にしております。でも仕事着(作業着)はだらしなくはならないようにしています。

素材は薄手の綿麻の織物生地(肌に密着しない張り感や、シボのあるもの)。
形はゆるく、風の通り道を確保したもの(エントツ効果)。
ただ肌を露出するのではなく、薄い生地が汗取りの役目を果たしてくれます。
カットソーは真夏には着ません。

今日は大変ご好評をいただきました和装用の麻(ヘンプ)の肌襦袢とステテコを
冷房なしで過ごす方向けに室内着としても着てみましたのでご紹介します。
室内着としても本当に涼しいです!!!

麻の中でもヘンプは特に放熱性、抗菌性、消臭性、即乾性も高く夏に最適です。
麻は接触冷感と言われ、身体にヒンヤリした感触があります。

それにしても、日本で「麻」といえば大麻草を指すものでしたが、今は麻と言ってはいけないというのが不思議でなりません。日本の文化の根幹をなすものだったのに、「指定外繊維」と表示しなければならないとは、、、?

麻福さんと櫻工房との共同企画で作りましたが、はじめは着物を快適に着てもらうためのものとして作ったのですが、最初から着物用ではなく室内着用あるいはスカート下にお求め下さった方もあります。

上の画像はインド綿のカットワークのチュニックブラウスとローライズステテコを組み合わせました。
白で透け感があるので、室内着といえども家族や他人の目もありますので、それをカバーするのがポイントです。とても涼しいです!


こちらはヘンプ肌襦袢と綿のワッシャー加工のイージーパンツの組み合わせです。
インナーは蚊帳生地(綿)のタンクトップす。
前身ごろの合わせは、紐で加減してください。
前の合わせのところから風が通り抜けとても快適です。
着物用に買われた方もぜひお試しください!!!
着物下着の場合は下前の紐は使わなくても良いです。


首筋なども肌あたりも柔らかく、チクチクして麻が苦手の方にもおススメです。
着物の肌着として着用の時には、繰越を下げるために背中心を少し引き気味に着用します。
初めから繰越を大きく刳ったものが最近は多いのですが、そうではなく肩山線を後ろに回すことで、肩周りがバイアス使いになり着やすくなるのです。
五分袖は肘の汗を取ってくれます。


もちろん着物用の肌着として一年を通してお使いいただけます。

サイドのスリットがお腹周りに沿ってくれますので、私でも窮屈感はありません。多少息を詰めていますが・・^^;


身八つ口と袖下の開きが放熱してくれて、和服の文化ならではの機能です。
これは室内着として着るときにもとても有効です。


この上質の素材感とヘンプの共布で作っていただいた少し細目の紐も自信作です!


あと蚊帳生地のヘンプ・リネンタオル2本でバイアスの汗取りを縫われた方が下記のようなコメントをくださいました。
「汗取りタオルのバイアス縫いは、面白かったです。ただまっすぐに縫うのとは、違う感覚ですね。ずっと続けて縫っていたいなあ・・・と思うような、今までにない縫い物の感覚でした。
タオルは初めは切らずにそのまま作りましたが、先生がおっしゃっていたように、少し切って短くした方が、身につけた時に、おさまりが良いようです。」

M~Lサイズの方は2本ですと少し長いので、生地幅分ぐらいをカットして、つなぎ合わせて作ると良いです。余り布は、端をかがって布巾やハンカチに。
ウエストの細い方には補正の役目も果たします。

ヘンプ・リネン蚊帳タオルもshopで一緒にご購入いただけます。(2,052円/税込)
2本必要になります。縫い方説明書をお付けしています。
ご注文フォームの備考欄にお書き添えください。

肌着のshopこちらから。

着物用の肌着として書いた前回の記事および、ステテコ、肌襦袢モニターアンケートにお答え下さった方のコメントもshopから是非ご覧ください。とても参考になります!!

生地の調達が難しく限定品ですので、お早めにお求めください。

尚、工房の夏季休業は8月12日(金)~15日(月)となります。

ヘンプの肌着のご注文はこの間も承りますが、発送作業は16日(火)以降となります。


柿の葉が夏の日差しを遮ってくれます。柿の実もだいぶ大きくなってきました。秋には美味しい柿の実が食べられます。染にも使います。

衣食住、身近な自然の恵み、自然エネルギー、昔からの知恵を再確認して、心地よい夏を過ごしましょう。
    











コメント
この記事をはてなブックマークに追加

一崩し着物と格子帯

2016年08月02日 | 着姿・作品


お客様にお求めいただいた紬の着物が仕立てあがってきました。
「一崩し」という色糸効果による織りです。
「一崩し」は若いころから好きで色を変え何反も織ってきました。こちらは藍とヤマモモで染めたもので、男女問わず着られる色調です。
この崩し縞には二崩し、三崩しなどと呼ばれるものもあります。網代織りなどもこの類です。
紬織りの根源的な魅力があります。

一見単純に見えるかもしれませんが、直に見ると真綿紬糸の太い、細い、色の濃淡、立体的な風合い、奥行きに見飽きることがありません。
一般的には濃淡2色で織りますが、色の濃淡プラス、糸の番手の違うものなども混ぜながら織っています。まずは力のある手紡糸でなければこの味わいは出ませんが、さらにはこの織物には相反する性質のものが混在しています。そのことが奥行や立体感に通じているのです。
案外設計も難しい織物です。糸選びにいつも時間をかけています。
ただ、わざとらしさが出ては品が悪くなりますので、気をつけなければなりません。

お客様は当初、袷で仕立てるということでしたが、いろいろ検討され単衣で冬も着るという決断をされました。
普段から気軽にたくさん着たいということで、長襦袢や肌着で調節することにしました。
この着尺は一般的な紬よりも太めの糸でしっかり織られたものですので、
後ろ身頃に裾までの居敷き当てを付けただけでも十分だと思います。
ただ、背の高い方で、仕立ての方には長く着るための最善の策を考えていただきました。
剥ぎがあるのですが、とことん着尽してほしいと思います。


                          
帯はお手持ちの二本とも合いそうでしたが、上の画像の私の帯(節糸紬「山笑う」)も決めて下さいました。
着物と帯、襦袢、小物の取合せも季節だけでなく、場、目的、年齢の変化など、一様ではありません。こちらも一生をかけて学び、楽しみ、磨くものと思います。
白地の更紗、濃い茶地に細い縞帯、そしてこの格子の三本の帯で時に応じて使い分けていただきたいと思います。

毎回みなさんそうなのですが、特にまだ若い方ですし、大変な決心だったと思います。何か強い思いもあったと思いますが、ものには人を突き動かす力もあります。

作り手としては表層に流されず、ものの本質を見失わないよな創作をこれからも続けたいと思います。

一生をかけて着る――、そして次世代へ手渡してもらえたなら幸いです。








コメント
この記事をはてなブックマークに追加

着物の来し方、行く末を詠む

2016年07月27日 | こぼれ話
片付けものをしていて見つけたのですが、30年近く前に銀座の呉服店「むら田」さんで、インドの古渡り鬼更紗の帯を購入し、その際にいただいた冊子、「きものの話あれこれ― 追想 村田吉茂」が出てきました(発行年が書かれてないのでいつのものと明記できないのですが、先代の吉茂さんの雑誌掲載コラムも収められています)。

その中に[「むら田」と母 ]と題された後藤田夫規子さんの寄稿文があり、その86才で亡くなられたお母様がむら田さんで着物をお作りになられていたようです。娘さんはあまり普段は着物を着ないご様子が文中から伺えます。
決して贅沢だったと思えないお母様であったとのことですが、遺されたたくさんの着物を前に、どう受け継げば良いかを逡巡されている文でもあります。
お母様の後藤田恵以子さんは短歌を詠まれる方で、いくつかの歌集から着物にまつわるものを選んでそこにあげておられます。
着物に対して厳しい目をお持ちだった村田吉茂さんへの追想とともに着物を通してお母様への追慕が綴られています。

着物をある程度知っている方、あるいは年配の方にしかわからない歌もあるかもしれませんが、一昔前の日常の中に、生きることとともにあった美しい布を慈しみ大切に着た時代が浮かびあがってきます。
そして僅ばかりとはいえ我が身の着物の来し方、行く末に思いを巡らせています。
大切に選び、大切に扱いつつとことん着る。自分で着れなくなったものはどなたかに継承してもらえるものはお譲りし、最後は着物の短歌か俳句の一首も残して終わりたい、、終われたらいいなぁ、、と思いました。^^;

作る人も、売る人も、着る人も真剣勝負でプロとして生きた時代にもう戻ることはできないかもしれませんが、忘れないでいたいと思います。
そして洋服の形であっても「着るもの」をおろそかにしてはいけないと改めて思います。
掲載されていた八首すべてをご紹介いたします。

・わが生もおおかた過ぎしと思いつつ今年の夏の着物ととのふ

・染めあがりし着物ひろげて部屋に居り冬の日のさす畳あたたかし

・おほ母の古き藍染めの麻ごろもけふ着て吾のいのちすがしも

・まれに来て銀座に立てば群衆の中に和服を着る人を見ず

・染料の樹皮煮るにほひ暑き日に黄八丈織る島にわが来つ

・一日にしばしば着物替ふるなど寒暑によわくなりしと思う

・老いてわが背丈小さくなりゆきて去年も今も着物をなほす

・少女の日着し菊模様のちりめんを媼わが着る半てんとして

                           後藤田恵以子


コメント
この記事をはてなブックマークに追加

第4回紬きもの塾ー真綿から糸をつむぐ

2016年07月16日 | 紬きもの塾’16


本日は染織コースの方が糸つむぎをしました。
本当にわずかな「真綿(2.4g)を1時間半以内でつむぐ」を課題としました。
そして着尺用の2~3倍の太さを目標にしました。一定につむぐのが一番難しい太さです。
全員が時間内につむぎ終えました。


やや!?太細のあるタイプの糸。


こちらは一定の太さをキープした糸。

4名の方の指導を順番につきっきりでしていると時々「あ~っ↓」と私がため息をついてしまうときがあります。

現代の暮らしは何でもタイマーやらお任せコースのスイッチポン!ですから、単純な道具を使いこなす訓練をしていないので、勘というか、全体と細部を同時に見渡し、瞬時に察知するようなことが少し弱いように思います。

ただ、終わりかけるころにはみなさんコツをつかみ始めましたが・・・

この糸は次回9月に染め、11月によこ糸として使います。どんな風合いの布になるのでしょう・・^_^



午前中に塾の準備をしながら、ヘンプのシーツや肌襦袢、ステテコ、蚊帳生地汗取りなど曇り空の中で洗濯をしましたが、やはり乾きが早く、この時期は麻に限ります。ラミー麻の長襦袢も炭酸塩で洗いサッパリしました。麻は抗菌性もありますし、毎回洗う必要はありません。水も無駄にしたくはないですから。汗だけの洗いには炭酸塩(絹には不向き)はすすぎも楽で本当にオススメです!!

糸つむぎ終了後には汗取りのバイアスに縫うやり方の説明もしました。
前回のヘンプの伊達巻の運針で力がついたようで、汗取りに挑戦する人も出てきました!

紬塾でなぜ運針?なぜヘンプ?と思う方もあるかもしれませんが、みんな一つながりのものと思います。

今日は参加していなかった方ですが、前回の運針の宿題を自宅でされた方がメールをくださいました。
写真と共に一部ご紹介します。

「教えていだだいた麻の伊達締めですが、家に帰ってから2日がかりで
3回やり直し、無事完成しました! 写真を添付させて頂きます。



もっと運針したいなと思い、古い着物を解いたものがあったので、
袷の時期の襦袢用の替え袖を縫ってみました。なかなか真っ直ぐには
縫えませんが、練習したらスピードは速くなりそうです。



前回の先生のお話にあった、着物をコートなど別の用途に着回すこと、
古くなった布を小さく切ってヒモや風呂敷にすることなど、私の祖母や
親の世代まではわりと普通に行われていたことだったのかもしれません。
他の方からお話があった、ハタキや、先生がおっしゃっていた布団や
座布団のがわなど、実家にはたくさん使い回しているものがあったなと
思い出しました。その知恵と技術を受け継げていないのが残念です。」


みなさん本当に真摯な姿勢で紬塾に参加して下さりとてもうれしく思います。
私もため息ついてないで頑張りま~す! 








コメント
この記事をはてなブックマークに追加

武蔵野美術大学特別講義「紬きもの塾移動教室⑦」

2016年07月06日 | 「紬きもの塾」移動教室

黒い紙に綾振り状にして巻かれた糸。


横から見ても美しい!!


真っ直ぐな巻き方もきれいです。


みなさん無心で繭から糸を引き出しています。

先月、武蔵野美術大学工芸工業デザイン科テキスタイルの学生に特別講義をしてきました。毎年、遠くて朝早くて大変だな~と思いながら、かれこれ7年になります。
いつものように絹糸の根本の話から始まり、染め、デザイン、織り、そして着物を着ること、着物をたたむことまで話しました。

親も祖父母も着物を着ない。
振袖や浴衣を着るくらいでほとんど着物とは無縁に育ったわけですが、今年のクラスも「紬」という言葉を知っている学生はほとんどいませんでした。


自分の半幅帯を持ってきてくれた学生に私の紬を着てもらいました。
そばで見ているスウェーデンから来た学生も一度見ただけでほとんど自分で半幅を結びました。
時間がありませんのでさっと纏ってもらうだけですが、二人とものみこみが良かったです。そして何より嬉しそうでした。
紬や麻、木綿の着物を着ることは誰でもできます!


着終わってから、着物を包んできた畳紙の上でたたみ方も見てもらいました。
教室の机の上の狭い場所でも、あの大きな着物をなんなくたためるのですから着物の仕立ての奥深いところです。

講義の始めはなんとなく聴いている感じですが、、、繭から糸を繰り、真綿をつむぎ、草木の色に触れ、紬の着物を着ることを目の当たりにし、狭い場所でもコンパクトにたためる着物の合理性を知るころにはみなさんの表情が確実に変るのを感じます。

素材や技術の話も大事ですが、使う文化があってこその着物、工芸、美術、モノです。
本当の意味で「使える」「使う」ということは作ることと同様に厳しくもあり、高度な感性も必要になります。

「作る(創る)」こと、「使う」ことは「生きる」ことそのものです。そして何より自分を高め豊かにしてくれる楽しみでもあります。

短時間ではありますが、作ることの根本から、使うことのトータルな話をしてきました。学生のみなさんの今後に役立ててほしいと思います。
 
終了後、講義の感想をまとめたものを送ってきてくださいました。
それぞれが特に印象に残ったことを書いてくれていますが似た感想が多いので、その一部をご紹介します。















コメント
この記事をはてなブックマークに追加