中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりが「紬きもの塾」を開講しました。このブログはその記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

博物館に初もうで

2018年01月06日 | 工芸・アート



                   「押出如来立像」飛鳥~奈良時代・7~8世紀

新春のお慶びを申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

お正月三ヶ日はゆっくり過ごすことができました。
頭のなかで織物のことがチラついていましたが、正月の清新な気持ちであれこれ思いを巡らせるのは楽しく満ち足りた気持ちになります。

三日には上野の東京国立博物館に着物で初もうで。北風の強いとても寒い日でしたが、着物の方もチラホラいらっしゃいました。
人出も多かったのですが、佳きもの、善きものたちと出会ってきました。
古い時代でありながら色褪せないものたちに向き合うといい仕事をしなければ、、という気持ちになります。
それは古いからいいとか、新しいからとかでなはい普遍的なものがもつ力だと思います。

たくさんお正月らしいものが展示されていましたが、2点だけご紹介します。
上の写真はガラス越しに撮ったものですが小さなレリーフの如来様です。
キャプションには「個人的な礼拝対象として、また厨子や室内の飾りとして用いる」と書かれていました。釘で固定するよう縁には小さな穴が空いています。見惚れてしまいました。



                        「鈴付銅釧」古墳時代・5~6世紀

もう1点、同じく本館「日本の美術」の部屋にあったものですが、鈴付きの腕輪です。
「鈴の中には石丸が入っており、腕を動かすたびに音色を響かせることができた。装着した人の権威や呪力を高めることができた。」と説明書きにありました。モダンなかたちです。音も鳴らしてみたかったです。石と銅の触れ合う音を想像します。

古の人の精神は今の人にも通じるもの。神聖なものに触れさせてもらい、心洗われるものがありました。

善きものに触れ思うは、平和な日本、世界であるようにと改めて祈ります。

そして本年もいい仕事をしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。








 
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今年もお世話になりました!

2017年12月30日 | こぼれ話



今年の最後は年明けから織るものの整経をアシスタントにしてもらいました。どんなものになるでしょうか・・?

今年もいよいよ押し詰まりました。
本日、工房は仕事納めです。お世話になりありがとうございました。

今年の10月には紬織の修業に入ってから40年を迎えました。この間多くの方に支えていただきました。
40年を振り返りながら、これからの進むべき道を考えるこの半年でもありました。

十数年前10ヶ月ほど無理がたたって身体を壊し織の仕事ができない時期がありましたが、それ以外の日々を紬を織ることに明け暮れ、お陰様でなんとか暮らしも立てることもできました。

修業時代に始まり、苦しいこと辛いこと、いろいろありましたが、この仕事をやめたいと思う日は一日もありませんでした。
苦しいこと、辛いことがあってもいつの間にか糸と向き合えば無の境地に入って仕事を進めています。糸や色や布の風合いが美の世界へ引っ張ってくれるのです。
人は布を織るように生まれ、布がなければ生きていかれないように生まれついています。

紬塾へもこの9年間、一人二人とどこからともなく!?(^^)お集まりくださり、来年は10期目になります。
紬とは、美しいものとはなんだろうと・・と関心を持って一緒に学び、深く考えてくださっています。

創るにせよ、着るにせよ、こんな時代であっても、温かく力強い紬布に惹かれる人は絶えることはないように思います。一人でも多くの方に紬や着物をいいものだと思ってもらえたら嬉しいです。
来期、10期の募集については1月の下旬にご案内いたします。

手仕事なら、紬なら良いとは思いませんが、善い紬を絶やさないようしっかりした技術を後進に伝えながら制作も進めていきます。
工芸は善きものを作ることが基本にあります。その基本だけは伝えたいと思います。

来年2月の下旬に工房展を予定しています。現在その作品制作に追われていますが、春にも使える新作のショールやマフラーもこれから織ります。またご案内いたします。

お正月は普段できないでいる読書、音楽を聴いたり、年に一度の朝酒を愉しんだり(#^^#)、ゆっくり過ごします。
着物で佳きものを観に外出する予定もあり楽しみです。
新たな年を迎える節目に身も心もリセットして、また染織の仕事をさせていただきたいと思っています。

工房は年明け6日から仕事始めとなります。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

世界が平和になることを心から切望しつつ、読者の皆様もどうぞそれぞれの佳いお年をお迎えください。


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きもの研究家、森田空美さん『Ash&Light 灰色光』 が届きました!

2017年12月19日 | お知らせ

自然光ではやや赤味を含むグレーの節糸の布の表紙。本文の紙の断面は銀が加工され光っています。
背の上下に見えている布(花布)もこだわりのストライプ。草履であれば鼻緒を固定する前坪のような。。


きもの研究家の森田空美さんの著書『灰色光』が届きました。
上の画像の通りとても美しい本ですが、タイトルはきものスタイルブックとしてはややショッキングです。

「色数を控えてなお華やぐ洗練の秘密は、グレイッシュな透明感と淡い光」と。

すべての色を含む灰色。
灰は全てを燃やしたあとに残り、そしてまた大地を豊かにし、色を生み出す再生の原点。

灰色をただ色名の中の一色で選んでいるのではなく透明な灰味を奥行き、深みとして捉える。
上質ならではの奥から生まれる華やぎ。本質的美しさは何かを問う。素材であり、技術であり、今という時代。

雑誌『和楽』に森田さんのスタイリングで呉服屋さんの商品をモデルさんが着用して今までに掲載されてきた中からセレクトとされたものが中心ですが、新たにご自身の着物で「きもの、私の装い」として撮り下ろされたものが後半にあります。

きものに魅せられ40年だそうです。"あとがき"にはこころに沁みる文章が綴られています。
一部抜粋させていただきます。

「私たちがきものを愛し、日常に生かしていくこと。それこそが日本の伝統文化を応援することにつながると感じます。奥深いきものの魅力を、ひとりでも多くの方にお伝えすることが、私の使命なのでしょう。」

このようなご覚悟の上での着物雑誌などメディアでの仕事であり、現代のつくり手による着物のコレクションも、そうした思いで選ばれ、取合せ、それを自らも愉しむと同時に、次世代に伝えるために日々お召になられてきたのだと納得を致しました。

私もたくさんの着物や帯、ショールなどをお召いただき応援していただきました。
心より感謝を申し上げますとともに、私自身も糸や色と向き合い現代の紬を織り続け、伝えることを使命としたいと気持ちを新たにいたしております。創ることも着ることもいのちを懸けることです。





本の印刷では実際の色より濃く上がったようですが、私の着物は写真写りが悪くて、、(~_~;)、微妙な織と色が印刷や画像では伝わりにくいのです。
今回このご本の中で森田さんがお召くださっている着物と帯の生地アップ画像も恐縮ながら併載させて頂きます。


紬織縞着物「木の葉時雨」
少しずつ残った糸を繋ぎ、ごく僅かの濃い残糸も繋いで配した規則的でもあり不規則性も覗かせるように意図した縞です。
緯糸も濃淡のある糸を混ぜながら小さな格子を織るような感じで織りました。私が太めにつむいだ絣状に染めた糸を4~5寸間隔で一越だけ斜子に織っています。上の画像で太い糸が見えてますのでわかると思います。これが微かなアクセントにもなります。


紬織吉野格子帯「錦秋の光」
秋の深い色と季節の終わりにいのち燃やす激しさも秘めて色を選びました。格子は光沢のある玉糸、地糸はマットな質感の真綿紬糸を使いました。
森田さんは、木の葉時雨にこの帯を合わせ「紅葉から落葉へと、季節の移ろいを伝えるような気持ちで着こなします」と書かれています。
ここでの小物の取合せは茶の帯揚げ、紫の帯締、ともに帯に馴染ませる感じにされています。


もう1点、添田敏子さんの型染め帯と合わせて頂いたモデルさん着用のものもベージュ系ですが色の再現泣かせの着物です。。
ベージュ地の細かなヨコ段です。柔らかで何気ない印象のものです。
隣り合う色をどれくらいの濃淡で入れると立体感や華やぎ、深みが出てくるのか、何気ない仕事のようではありますが時間を掛け糸を選びます。糸の色だけではなく番手の違うもの、紬糸も真綿系、繭から直接引き出す座繰り系などがありますので質の違うものも織り交ぜます。ヨコの段が強すぎず弱すぎず、とても難しいです。陽の光と相談しながら織り進めます。

あとがきには「真の美を求めるつくり手の、創造へのひたむきさと尊い刻(とき)の重みが、輝きとなるからでしょうか」とも綴られています。

そうあらねば、そうありたいと私も願います。


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本は限定部数で、すでに残り少ないそうですが、当ブログ、又は櫻工房FBページをご覧になったことを明記の上でしたら、この本の編集をされた田中敦子さんにメールでお申し込みいただけるとのことです。
ご希望の方はお早めに。<価格 17,280円(税込み)>
atsukotanaka521☆gmail.com(☆を@に換えて送信してください)


森田さんは着物のスタイリング、着付けの指導もされています。
自然で美しい着姿を学べます。
お教室のオフィシャルサイトはこちらです。







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着物でパーカッション

2017年12月18日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾
永井さんリードのもとで演奏中。

先日パーカッショニストの永井朋生さんを講師にお願いしてかたち塾「音を体験するワークショップⅢ」を開催致しました。
ワクワク、ドキドキあっという間の3時間でした。余韻が未だに残っています。

2014年の冬、永井さんの心揺さぶられる演奏に出会ったことから音のワークショップが始まりました。

音を探すところから、鳴らし方、響き、リズム、そして自然な情景を写した映像と重ねてみると、ほぼ無作為に奏でた私達の音が思いの外合うことなどを体感しました。

また、合奏になることで一人だけではない他の様々な音に触発されたり逆に控えたり、人との会話のようになります。
リズムやルールが発生すると、そのことにとらわれがちになり、ノリまでに至るにはもう少し時間がかかりそうです。

ただ、このワークショップを音楽というジャンルでくくるというだけではなく、自然素材、身近な素材を日々使い、作り、ものと関わって暮らす中にたくさんの音があり、音そのものを大切にしたいという思いが湧いてきました。

音の世界も自然の合理、物理的要因の中で生じる素直なもの。いい音の出会いがいいコミュニケーションを作り世界を開きます。いい言葉を投げかければいい言葉が返ってくるように。

音の根源は生き物の原点、本能。古くなったり、色褪せることもなく、色付け、イメージ付けされたプリミティブではなく、音そのものと向き合うことがプリミティブ。

原始と現代は自然界において一続きのもので、広義のアート(紬も)は日々を根源に立ち返らせてくれる。それは安らぎ、喜び・・こんなことを終了後も思いを巡らせています。


今回3回目もそれぞれが音の出るものを探して持ち寄り、更に永井さんの方から様々な打楽器も持参してくださり、その両方をルールを作って取り混ぜたセッションとなりました。終わった時にはみんなが思わず緊張から開放され笑顔と拍手が起こりました。拍手も根源的音ですね。


こけしが打楽器?と思われるかもしれませんが、鳴子こけしの首を軽く回すと“キュッキュッ”と鳴るのです。バーズコールという楽器と同じような原理です。卵ケースに米を入れてきた方もあります。


私は庭の椿の実をガラス瓶に少量入れてみました。茶筒も叩くと案外いい音です。ペットボトルに少量の水を入れて振ったり、、。


縦長な大きな松かさの鱗片をはじくと小さいけれど乾いた音が出ます。永井さんがいたく気に入ってました。

私の中では音楽というジャンルとかではなく音という素材をまず楽しむという感じで参加しています。
紬を織る時にさまざまな糸や色糸を混ぜながら織ることにも似ています。望む姿勢は同じです。
しかし今回はリズムとグルーブ(ノリ)を主眼に置いたものでしたので、好きに鳴らせばいいわけではなく、結構大変で汗をかきました。

さて、今回は3人が着物で演奏をしましたが、袖とかも邪魔にもならず、洋服より体幹が決まる感じでパーカッションと着物いいかも、、です。
鳴子こけしを持参された方は私のグレーとグリーンの段の半幅を黒地の結城に締めて来てくださいました。時間がなく写真に収められず残念でした、、、がとてもカッコよかったです。


松かさを持参した人は工房作品の着物と帯です、帯や小物も限られていて十分な取合せではありませんが、紬塾にも参加した方でこれからの方です。いずれHP着姿集にもUpします。

私は久米島に自作の太い引き出し真綿の糸を使って織った縞の半幅縞帯です。文庫に結びにしました。


プリミティブな物に向き合い、しかもみんなでセッションするというのは自分だけではできないいろいろな学びがあります。
今後もまた機会を見て続けたいです。今回は部屋の関係ですぐいっぱいになってしまいましたが、次回よかったら“根源”に興味のある方ぜひご参加ください。音楽の知識や技術はいりません。

“着物でパーカッション”もいいですよ。







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第9回紬塾「自然で楽な着方」――着物を着る

2017年12月05日 | 紬きもの塾 '17
紬塾も残す所あと1回です。いよいよ着物の着方に入りました。

全く着物を持っていない方、着たことのない方も浴衣や私の紬を使って着てみたら、案外形になっていたのでご本人もホッとされたようでした。
下着や襦袢はいいものを揃え、きちんと着て、滑りにくい生地の紬や木綿の着物は楽にゆったり着れば良いと思います。
帯も仮紐を使わないでなんとかお太鼓の形になりました。

あとは何を纏うのか、どんなものを着たいのか、じっくり研究して自分にふさわしい、一生大切にしたい上質の佳い着物と出会うことです。

幸田文『きもの』の中にるつ子が好きな格子のきものを胸から下はハギだらけになっているけれど着続けている話が出てきますが、そういうものに出会えると良いと思います。

あと、着物や帯の仕立の寸法の話も今回は時間をかけました。
合わないものを初心者が着るほど難しいものはありません。

一般に身丈、裄丈は大きめに作られがちですが、紬や木綿の普段着をゾロっと着るのはヘンです。微妙な寸法は着ていかなければなかなかわかりませんが、どういう着方をしたいのかも追々自分で追求していくと良いと思います。

着物は簡単ではないけれどちょっと乗り越えさえすれば奥深さがわかってきて、むしろもっと着たくなるものではないでしょうか?
また、取り合わせる帯や小物を選びあれこれ逡巡する時間も自分を磨く楽しい時間です。

受講者のお一人、お茶をされている方が染めの着物しか持っていないということで綸子縮緬の着物でいらっしゃいました。
20歳頃に作られた着物を一度染め替えをされたものです。質の良いいい色の着物でした。
ただ、裾の八掛が擦り切れてしまっているということで仕立て直しをしたいということでした。

そんな時に自分のサイズを見直してまた一生着続けられると良いと思います。
上質の着物は長く使うことができ、愛おしさも増してきますし、結局お得なのだと思います。

染と織では生地感が違いますのでやはり着付けも微妙に違えると良いと思います。
私はコーリンベルトは使いませんが、滑りやすい素材の場合などはそういうものもお使いになれば良いかと思います。


着物の着方を簡単に言ってしまえば、着物を羽織る、自分の体型に沿わせて着物の裾を床スレスレに決め、動かさないようにして前身頃を合わせ身を包み、腰紐でおはしょりを作る。上身頃、おはしょりを整え衣紋を抜いて衿を合わせ胸紐(伊達締め)で押さえる。
これだけのことをクリアすればよいだけです。

お太鼓結びは慣れるまで少し時間はかかりますが、お茶の割り稽古のように服の上に伊達締めだけ締めて練習すると早く覚えられます。

自然で楽そうで、なおかつきれいな着付けの方を見るとうっとり、ホッとします。
きっちり補正下着で整えた木目込人形のような着方は私は苦手で息が詰まりそうになります。不自然な感じがします。
少なくとも紬の着方に関して言えば自然で楽なのがいいと思っています。


本日の私の着姿は地厚な3シーズン単衣紬(修業時代の最後に真綿から糸をつむぎ母のために織ったもの)にオールドの両面使えるジャワ更紗を締めてみました。

毎日着ているわけではないので完璧な着付けもできません。
静止画像は恐ろしくもありますが、、、写真に収めることで着方のチェックにはなります。
できれば自撮りではなく誰かに後や横からも撮ってもらうと参考になります。

帯も暫く使ってないと手を長めに取ったほうが良かったのか、短めが良かったのかなど忘れていたり、生地質や、帯芯の堅さも違います。お付き合いを長くしていかないとそれぞれの帯の個性を自分のものとしてこなすことはなかなかできません。

帯揚げの処理なども慌てるときれいにできてないこともあります。
しかしなんとかなる範囲であればとりあえずいいかな・・?と思います。(^_^;)

撮影用のモデルさんの着付けのようにしなければと思うと本来の着物を着る楽しみから離れていきます。
自分の体型に沿わせて着物の前身頃を合わせ身を包み、おはしょりで着丈を決め衣紋を抜いて着れているなら、多少の皺や襟元の緩みぐらいは徐々に直していけます。

とにかく着てみようという気持ちを大切にしてほしいです。

次回最終回はもう一度名古屋帯の仮紐なしのやり方をおさらいします。
帯が短い場合や地厚な生地の場合のクリップ使いもやってみます。



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木守り

2017年11月21日 | こぼれ話


今年は工房の柿が豊作でした。台風も2回も接近、通過しましたが、たくさん収穫しました。

柿の実は紬塾の参加者の方と共におやつに食べたり、ご近所にもお福分けもしましたが、サラダや白和えの料理にも、柿酒にも、さらには冷凍にもしました。柿は糖分が多く、そのせいか、、、2キロ近くまた太りました。(-_-;;)
でも今年は風邪を引かない気がします。(^^ゞ

柿が実る頃には母や祖母をいつも思い出します。

柿の実の絵がついた安価な徳利を「かきえもん」(有田焼の柿右衛門を意識して)などとふざけていっていた母、羽織の絣模様の色が柿の実の色に似ているのがあって、畳紙に「柿色の花の羽織」などと書き込んだものがありました。

子供の頃は柿の木に登ってお腹いっぱい柿の実を食べていたようです。
祖母は柿の実を家族が採っていると、「取り尽くすなよ!鳥にも残しておきなさい」といつも言っていたそうです。
そんな話を私にする時にはいつも故郷の三重の山中の風景を思い浮かべて語っているようでした。

自然の恵みに感謝して恩恵を受けるけれど、また来年も木が元気であるよう、鳥たちも元気で生きられるよう共存の姿勢、生き方は誰に教わるでなくても自然が教えてくれるものかもしれません。

工房の柿も私ばかり食べたのではなく、(~_~;)、野鳥たちにもたくさん残しました。
ムクドリの大群も詰めかけていましたし、ヒヨドリも、メジロも順番に来ていました。

雨が多かったので水分たっぷりトロトロになって随分地面にも落ちていました。
鳥たちも食べ尽くしたのでしょうか、上の写真の通りで数個の柿の実を残しています。


ぶどう棚の下に植えた小菊は長い間いい香りを放って咲いてくれましたがもう蕾はほとんどなく、最後の花たちが咲ききろうとしています。
小菊は大好きな花(特に白いのが好き)です。


ホトトギスも長いこと次々と咲いてくれました。挿し木で増やしたものです。


庭の隅の南天も実を鳥に食べられたのでしょうか?まばらになってます。


昨年ふた株鉢に植えたヤブコウジは元気にしています。
着物や蒔絵の模様にもよく使われますが、大好きな植物です。実はお正月までもってくれるでしょうか?野鳥達も好きみたいです、、。
栄養をつけて冬を乗り越えるのですね。


桜も葉を少なくしています。落ち葉掃きは家人の朝の仕事です。私は眺めています(#^^#)。

冬芽を膨らませています。

身の引き締まる冬の到来です。






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第8回紬塾「取合せの美」

2017年11月09日 | 着姿・作品
紬塾のカリキュラムでは染織実習コースが終わると、いよいよ実際に着ることの話になっていきます。
残りの3回にギューっと着るための大事な話が凝縮されています。
今回の「取合せの美」もそこに至るまでの肌着や腰紐、伊達締め、長襦袢などの素材選びの話などから始まり、最後は上モノの着物、帯、帯揚げ、帯締を実際に取合せてみるワークショップまで行いました。

毎回そうですが、話すことがたくさんあり、1時半から5時過ぎまで、途中の10分ほどの休憩以外はほとんど話し続けていて、終わったら喉が痛かったです。>o<

今期は全く着物を知らない方、着付け教室で着物の着方は習ったことのある人もほとんど詳しいことはわからない方ですので説明に結構難航します、、。(^_^;)


しかし、感覚的なものはお持ちですので取合せのワークショップでは素敵な取合せを考えてくださいました。
織り味のある2点の紬着尺と5本の帯を自由に選び、小物も取合せます。まずは頭の中だけのイメージで決めてもらいます。いつ、どこで、どんな心情、状況で・・。みなさん真剣に取り組んでいます。

相談などはしないで決めます。終わって全員のを発表、だまって見てもらいます。
次はもう一度一人ずつ改めて取合せた後に、私の方から補足やアドバイスなどさせてもらいました。

こころ落ち着かせて一人で外出の時、あるいはみんなで会食など楽しい時、梅の咲く頃のお出かけなど、、、それぞれが2パターンずつ考えてもらいました。

取合せも無限にありますが、たった2つの注意点だけ抑えることでとても良くなります。

色合わせに遊ぶだけではない、上質な力のあるもの同士を取り合わせることが最も重要な事です。
初心者ほど大事だと思います。今日話しきれなかったことは最終回で補足したいと思っています。


この日の私の取合せは、似合わない着物をカバーする時の参考例として度々着ている着物です。
着物が肌色と合わない場合も帯や帯揚げ、帯締を自分の肌と合う色に変えることでかなりカバー出来ます。着物姿は帯や小物にまず目が行くので、そこは洋服とちょっと違うところです。
草紅葉をイメージした着物に3シーズン使える藍の縞帯、ダークな色の帯締、帯揚げで秋の深まりを表してみました。

着物の取合せはまず自分の肌や髪の色との取合せから始まりますが、譲り受けた着物やいまいち似合わない着物、年齢で似合わなくなってきた着物を着ることもありますので参考にしてください。

日本の取合せは異なる素材や形、色、季節、場、心情などをものに託して静謐さの中にも深さや豊かさを盛り込みます。日本人の心意気や周りへの配慮なども含まれます。
そんな着物の取合せが出来るよう日々ものを見つめ、使いながら審美眼を磨きたいと思います。

着物は奥が深く簡単ではないけれど、必ず自分を成長させるものがあります。
紬塾で学ばれる方たちにはぜひ上質の着物をまとうことの一歩を踏み出してほしいと思います。
それはとても楽しいことです!


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裂織、繋ぎ糸織

2017年11月03日 | 着姿・作品

先日織り上げた帯の後に経糸が5寸ほど残りました。
経糸を捨てるのはもったいないので小さな卓布を裂き糸で織ってみました。何の裂かおわかりになりますでしょうか?


アップにすると小さな水玉です。修業に入る少し前の40数年前、気に入って着ていた赤茶色の細いボウタイのブラウスでした。生地は上質の薄手の綿です。バイアス仕立になっていました。

修業に入ってからは工房と家を往復するだけの毎日でしたので、擦り切れたGパンにトレーナーやTシャツ、インド綿のザックリしたシャツなど作業着で一年中過ごしていましたので、もうそのおしゃれなブラウスを着る機会もなくなり、年月が経ちしまわれていしまいました。

晩年の母は、私達が着なくなった服や、子供の頃に着ていた古い着物、布団側など、使えるものは生地として生かし、使えないものは布を裂いて玉にして置いてくれていました。裂けない生地は細くハサミで切ったものもありました。いつか時間が出来たら織りなさいと――。

ブラウスはバイアス断ちのものでしたので四角い布を裂いたのとは違う、裂き止まりのところが不規則にポコッと表れ、それが面白いと思いました。
着ることは一生のこと。洋服でも思い出はたくさんあります。織りながら若かりし日々のこと、母のことをたくさん思い出しました。

昔、擦り切れてどうにも使えない布は裂いてまた織って、仕事着や敷物やこたつ掛け、帯などにして使ってきた歴史があります。
若い頃からそうした古い裂織も博物館などで見てきましたが、今の恵まれた時代からは想像もつかない厳しさの中から自ずと生まれてきた布です。ただ、そこには貧しさやみすぼらしさということではない裂き織りならではの面白味や美の世界、アート性も時に表れてきます。
それはなぜなのかをずうっと考えています。いくつかの要因がありますが、今ここでは述べないでおきますが、裂き織りは新しい布を簡単に裂くものではないし、新たに再生させていくというきちんとしたコンセプトをもって臨まなければならないと私は考えています。




こちらは以前試作で作ったトートバッグで、私が冬になると使っているのですが、大学生の時に着ていたコットン、シルクの紬風チェックのワンピース生地を使った裂き織りです。
ベースの糸は赤城の1500デニールぐらいの節糸でしたが、この糸は手に入らなくなりバッグの制作も中断したままになっています。裂き糸を生かせるベースの糸も重要ですので。
現代の裂織にどんなメッセージを込め、いいものに再生できるか、今後の仕事の一つとして温めています。


織の最後には短い糸を繋いだものや僅かな残糸などで織り仕舞いのために1寸ほど織ります。経て継ぎ用に経糸を1尺残すためです。
繋ぎ糸も思いがけない模様が浮かび上がってきて、着尺や帯に意図的に使うことがあります。
実は今回織った帯も繋ぎ糸をアクセントにしたものです。現代感覚ですが、、。
また次の展示会でご覧いただきましょう。
この織り仕舞いの1寸の布も捨てません。これも裂き織りの材料になります。修業時代にこの端っこだけで卓布を織らせていただいたことがあります。裂くことは出来ませんので、ハサミで7ミリ幅ぐらいに切りました。ものすごく濃厚なものでした。

布や糸をとことん使いながら、その思いがけない面白み、味わいを現代にも生かしたいです。
ただ、そのもとにあった歴史もこころに留めておかなければいけないと思います。

いつか紬塾を修了の方たち向けに裂き織りの講座ができたらと思っています。
自分が使ってきた古布と向き合い、もう一度蘇らせるために。
布は何かの役に立ちます。簡単に捨てられないものです。捨てられないから何を買うかも問われてきます。
裂き織りがたくさんのことを教えてくれます。「布買ってくる、自分買ってくる」ですね。

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雨コートで外出―「味覚のシンフォニーを愉しむ」

2017年10月23日 | 着姿・作品
先週末、台風が近づいていた雨の日に、朝から着物で外出しました。
一日中シトシトと雨は降り続きました。

かたち塾の「五感の探索――味覚のシンフォニーを愉しむ」が行われました。



雨コートは藍染大島紬の仕立て替えたものを着て行きました。肩裏は付いていますが単衣仕立てです。
7年前に亡くなった父のアンサンブルで、とても生地質がよく、細かな経緯絣でコートにするのはもったいないぐらいのものでした。
ただ、私は着物として自分で着ることはないと判断し、思いきってコートにしました。羽織からは道中着も作りました。
仕立替えをお願いしした店の年配の店主が生地を撫で「いいものですねぇ」と眺められていました。
大事に着ていきたいと思ってます。

衿は千代田衿にしてもらいました。

雨コートも紗、単衣、袷があるとやはりいいです。
古い着物などからでも防水加工をして自分の寸法に合ったものを作るのが良いと思います。
ただ、対丈になりますので、身丈が難しいですね。
私のは身長から割出した標準寸法(身長×0.83)ですが、幅で取られるようになったせいか、、、ちょっと短めです。(^_^;)
ただ、長いと階段などで前身頃を踏んでしまうようなことにもなりますので、着物を着る時に、雨の日は短めに着付けるか、裾をまくりあげて帯のところでクリップで止めるのも良いかもしれません。

履物は雨下駄を履きます。階段は今も慣れませんが、なるべくエスカレーターやエレベーターを利用して足元の負担を軽くしています。
草履よりも下駄のほうが好きです。

雨の日には着物はやめようか、、と思うこともありますが、真綿系紬に関して言えば汚れも付きにくく、また汚れも落ちやすく、濃い地色のものなどはコートの備えさえしておけば土砂降りではない限り着たいと思います。

着物初心者にはハードルが高いかもしれませんが、一つずつ揃えながら自分に力を付けることは、とらわれない自由を得られるようなものです。
階段を一段、また一段と登ることは楽しみでもあります。


この日も最初は雨で心配もしましたが、行ってみれば日本料理店の坪庭の緑も雨に濡れ、美しさを際立たせていました。
部屋の照明も少し落としていただき、一品一品五感を澄ませて味わわせてもらいました。着物もその場の助けになったように思います。

店主で料理人の方への質疑の時間もあり、お話を伺えてとても納得するものがありました。
季節や自然観を大事にしながら、食材の少ない時期にも創意工夫されていることなど伺いました。
掛け替えのない大切な時間を参加者の皆さんと分かち合わせてもらいました。
帰ってからも余韻が残りました。。。

会の内容はかたち塾の会報を楽しみにして下さい。 
会報は一部売はしておりませんが年間5回分で3,000円となります。(今期で終了します)
ご希望の方はメールで、かたち塾問合せ から笹山さん宛お申し込み下さい。




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第7回紬きもの塾ー紬布を織る

2017年10月14日 | 紬きもの塾 '17
染織実習コースの4回目。小さな布を織る実習です。
小さいと言っても中身はかなり濃いものとなっています。単なる織体験ではありません。

私がいつも使っている経糸は節や毛羽もあり扱いにくいのですが、それと同じものを用意しました。
私が織る時と同じような杼の投げ方、踏木の踏み込み方、筬打ちの仕方、1時間半ほどの間にたくさんのことをしていただきました。
みなさん真剣勝負で一生懸命機に向き合い、自分にも向き合っていたと思います。
普段余り使わない脳の部分をかなり使ったと思われる高揚感がみなさんにありました。


今、ご入院中のお祖母様に見せてあげたいと、一番バッターで一生懸命織りました。色の響き合いがとてもきれいです。


織る人の傍らで、次の順番を待ちつつ緯糸を管に巻いている人。


足元は滑りにくいよう木綿の足袋を用意されました。


一分方眼紙に3寸の長さでメジャーを作ります。慣れていれば即興でやれることですが、初めての方ですので大まかに糸量を計算し、目安を作っておきます。5本書かれていますが右端が本番用です。つむいだ糸もストローに巻きました。


機の前にコンピューターを使ってデザインを拡大したものを用意した方もあります。
しかし、紙に書いたようにはいかないのが紬織りです、、。(^^) 


経糸の中に挟まれた緯糸をご覧ください。織前に対しての入れる角度(傾斜)も糸の太さによって毎回変えます。一つ上の写真の方は浅い角度です。太さの違う糸をたくさん使っていますので。
初めての方にはかなりハイレベルな実習ですが、初心者向けなことを低く見てはいけないのです。やる意味がなくなります。
仮に上手く出来なくてもなぜうまくいかなかったかを考えればそのことこそが学びになります。


メジャー通りではないですが、途中アレンジも加えながら柔らかな奥行きのある美しい布が生まれました。


おやつは庭の無農薬の柿と、天然酵母、国内小麦の鶴川の隠れた美味しいパン屋さんのココア生地のパン、有機栽培インスタントコーヒーでした。

さて、以下は今期の4名の方が織り終えての染織実習のレポートです。
普段文章を書き慣れていない方の中には思いをうまく書ききれなかった方もいると思いますが、行間にある素直な思いをお汲み取りいただきながらお読みいただければと思います。

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この染織実習は、下記の4回の講座で構成されていました。
①角真綿から糸をつむぐ
②その糸を柿か桜で染める
③織りの設計をする
④織る

作業内容は以下の通りです。
ハンカチ大の角真綿4gから34mの糸をつむぎました。
昨年の紬塾で繭から糸を引き出した時に、糸がきらきらしていたことがとても印象に残っていました。真綿はどんな感じなのか興味がありました。真綿はとても軽くて重さを感じません。まるで綿あめのようでした。糸をつむぐ際にはすっと糸を引き出すことができました。ただ、引き出す量の調節が難しく、糸の太さにばらつきができてしまいました。
糸は柿の枝で染めました。柿の枝を切って、色が出やすいように小さくチップにするところから始めました。植物の量は染めるものの重さを目安に決めます。植物を煮出した時、ほんのり柿の香りがしました。染める作業は重労働で、たくさんの糸を染めるのは大変なことだと思いました。
織りの設計はイメージがつかめず、その上寸、尺といった単位が身についていないので混乱しました。私の糸は太いところ、細いところがありますが、織幅で長さを割る98越し分ありました。3寸の中に約98越し分使えるという計算を立てました。
織りはまず糸を管に巻き取ることから始めました。紡錘状に巻き取るのですが、先生の所にある糸は巻き取りやすいのですが、自分の糸は毛羽で絡まってしまって時間がかかりました。
機に座って織るのは、大変な集中力が必要でした。一つのことに気を取られると、次にすることが後手に回りあれっ?ということになります。3寸の布を織るのにどのくらいの時間がかかったかは覚えていないのですが、かなり集中した時間でした。贅沢なことに先生がお使いの道具を使わせていただき、このような経験ができたことを感謝申し上げます。織りの際には杼を機にぶつけてしまったりと、不調法で申し訳ありませんでした。

「自分で真綿からつむいだ糸を染めて布を織った」ことは貴重な経験になりました。
今回教えていただいた一つ一つの工程は、大昔からたくさんの人たちが工夫してきたことをさらに中野先生がよりよく考えられた方法なのだと思います。本来、一枚の布にはたくさんの叡智が込められていたのだということに気づきました。これから先は、そのことを思って着物を選び、着ていきたいです。 (U.E)


実習では真綿からの糸つむぎ、染め、デザイン設計、織りを体験しました。
糸つむぎの際、無理に綿を引き出さないということや、染める時に湯通しで使った水など使える水は再利用するというように、素材を丁寧に扱うこと、染材として使う柿や桜の枝葉をより細かくすると染まりやすいなど準備に手間を惜しまずに工夫することの大切さを学びました。
デザイン設計では、これまでの紬塾に参加された方々が作られた布を見せていただきましたが、お一人お一人の柄が綴られていて何よりも柔らかな風合いに魅了されました。
織りの際には、織る時に力を入れ過ぎないこと、とのことで柔らかに織ることで柔らかさと同時に堅牢さもある布を作られていることを知り、堅牢さ=強く打ち込むことかと思っていたのでとても不思議で新鮮に感じました。
また、糸が太さや細さによって盛り上がり影が落ちるところや、糸の量、織り込まれた後の色など様々な要素が加わり、想像した柄とは全然違うものになり改めて糸という物を使って作る、織るという行為、さらに蚕から手で紡いだ糸の持つ表情の豊かさに触れることが出来本当にうれしかったです。
そして実習を通し美しく風合いのある布はあらゆることに心をくだき、愛情を注がないと作れないのだととても感じました。
織り実習の後、余った糸を持ち帰らせていただいたのですが糸が、ウェーブしていて光沢がありとてもきれいで命のあるものから頂いたのだと改めて感じました。
実習ではなかなか思うように出来ないことが多く、改めていかに普段の生活の中で手を動かせられていないかを実感しました。
自分が学び取れたことはほんのわずかと思うのですが、少しでも日常に取り入れていきたいと思います。 (S.S)


糸つむぎの実習では、真綿の端を引いていくと長い繊維がするするっと出てきたのですが、中野先生が仰る「自然に自然に」というのが私には中々難しく、それでもとても楽しい時間でした。
また染めの実習では、桜の葉を水で煮出していると桜餅の様ないい香りがして、まるで料理をしているかの様でした。ひとつひとつの植物からどんな色が出てくるのか、とても興味が湧きました。
そして自分でつむぎ、染めた糸でどう織るかを考え、色と色が隣り合ったらどんな布になるのかとわくわくし、いよいよ織るという時にはとても緊張しました。経糸に、真綿の緯糸を一越一越入れていくと、その度に表情が変わるのがとても楽しく、織りあがった布の風合いの良さに見惚れてしまいました。

4回の実習で、大変貴重な経験をさせていただきました。実際に見る、触る、やって見る事の大切さを感じています。 (Y.H)


4回の実習で、角真綿を手つむぎし、柿の枝で糸を染め、設計して、織る、という工程を教えていただきました。
初回の手つむぎの実習では、角真綿から糸の引き出し方、毛羽の押さえ方、ひく時の力加減など、やり方を丁寧に教えていただきました。
なるべく太さを均一にするように気を配りましたが、作業は感覚的でかなり難しかったです。
2回目の染めの実習は、染材の分量や、色の見極め、湯の温度など作業中に常に気配りが必要な工程だと感じましたが、私たちは、先生のおっしゃる通りに進めれば良かったので、桜の葉を煮出す良い香りを嗅ぎ、布や糸が染まっていく過程を観察し、心が癒される楽しい時間でした。
3回目の織り設計では、糸の長さを計算で求め、尺貫法で自分の糸が何越し分あるかを計算し、色糸と合わせて3寸分の布の設計をしました。
この工程は、かなり頭が混乱しました。後の織り実習で分かったことですが、この設計は、必ずしも厳密である必要はありませんでした。3寸の布を織るために、自分の糸だけでは足りないので、足りない分を何色の糸を混ぜるか、指し色は何色にするか、くらいを決めておき、織りながら変更することが可能でした。
そして、最終回の織り実習。実習のクライマックスで、期待を裏切らず感動的でした。自分が紡いだでこぼこの糸が、先生の機織り機で、ひと織りごとに、ぬくもりのある紬になっていったのです!自分の糸がとても愛おしく感じました。

私が今回の実習を経験して一番印象に残ったことは、織りあがった布を見ながら先生がおっしゃった「ハーモニー」という言葉です。「ハーモニー」=「調和」というのは、手つむぎした均一でない糸が経(たて)、緯(よこ)に織りなす風景で、個性の違うものがまとまり、全体としてバランスがとれた美しさだと受け止めました。
「蚕が生み出した糸、植物の温もりのある色、重層的な色の組み合わせによる風合い、こうした素材の持ち味を十分に引き出して布を織り、着物という形に仕上げ、自分で纏う。着物は、着る人の命が果てても次世代へ引き継がれ、着物で着られなくなれば、布になり、紐になり、最後は土に還る。その循環の中に自分がいる。」ということが、中野先生が実践し、教えてくださったことなのだと理解しました。
実習を終え、中野先生への感謝とともに、自然の恩恵、手作業の工程を継承してきた先人にも、感謝の気持ちが沸いてきました。
貴重な機会をいただき、ありがとうございました。 (O.M)






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味覚のシンフォニーを愉しむ――第14回「かたち塾」のお知らせ

2017年10月07日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾


今年の曇り空の中での中秋の月。雲の切れ間から顔を覗かせてくれました。住宅街の明かりと共に携帯カメラでパシャリ!
月は雲の中にあっても美しいものだと思います。

さて、第14回「かたち塾」のお知らせです。
秋の味覚をランチのコース料理で静かに味わいたいと思います。
カッコつけない、飾り立てない、自然体の優しい料理です。

かたち塾は初めての方もご興味のある方はどなたでも参加できます。
お早めにお申し込みください。紬塾の方もぜひご参加ください。

お問い合わせ、お申込みはこちらから。
メール確認後、折り返し詳細をご案内いたします。
返信がない場合は080-6775-4892(かたち21)へお問い合わせ下さい。

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タイトル―――味覚のシンフォニーを愉しむ
講 師――――笹山 央(かたち塾代表・工芸評論)料理店店主(料理人)
日 時――――2017年10月21日(土)  お申込みの締切は10月18日(水)
会 場――――東京都港区青山にある和食料理店
受講料――――10,000円  料理とお飲み物代含みます。
受講者数―――10名様まで(要予約)

これまで〈見る〉ことを中心に〈聴く〉〈嗅ぐ〉と五感のはたらきをテーマにした塾を開いてきましたが、今回は“味わう”にスポットを当てます。

私の場合、ここでの食事は単に「美味しいものを食べる」というだけではなく、コンサートを聴いたり、観劇したりするときの時間の流れに浸るような感覚を愉しんでいます。

小さな店ですが、 全席に窓があり、四季ごとに造作が変えられる坪庭の風情も愉しみの一つです。
向かいの壁に植栽の影が映り、それが時々刻々と変化していくのですが、抽象的動画を見ているような面白さがあります。

食後にはご店主にも、質疑応答形式でお話を聴くことになっています。 (かたち塾長・笹山)





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9月の紬の装い

2017年09月27日 | 着姿・作品


お彼岸期間中に着物で外出しました。
自作の単衣紬にシナ布の八寸帯。表が紺、裏が深緑の柳縞
文紋紗の羽織を塵除けとして着用しました。

羽織紐は少し上目についていますが、肩から八寸五分の標準寸法になっています。
最近帯を下目に締めるようになってきたり、衣紋を今までより抜くようになったので羽織の乳(ち)の位置は次の仕立では三分下げようかと思います。

羽織紐が帯締の方までかかるのは帯回りがうるさい感じがして好みではないのと、これは長羽織ではないので上目でいいか、、と思います。
羽織の乳の位置は着方や羽織丈、羽織紐のタイプによって変わってきますね。



9月の取合せはその日の天候により微妙なのですが、この日は夏日で暑かったので、帯締はブルーグレーと焦げ茶の二色使いで涼し気な色にしました。帯揚げは柿で染めた茶味のグレーで科布の渋めの自然な色に合わせました。
この微塵格子のシナ布は透け感が少ないので今月いっぱいは使えそうです。

着物は桜染の此の手縞で本当によく着ています。
一時、大きな赤ワインのシミを付けてしまい押し入れの奥に丸洗いした状態で数年しまわれていたのですが、、、ダメ元でカラー漂白剤に浸けたり、炭酸塩のアルカリで後媒染したりして生き返らせた着物です。^_^;
表裏も返して仕立て直しました。決してオススメはしませんが、紬はタフですね。(^^ゞ

夏の名残と秋の気配が行き交うこの時期、着物には難しい時期ではありますが、自然の声を聞いて取合せを愉しみたいと思います。
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第6回紬きもの塾――織物設計

2017年09月22日 | 紬きもの塾 '17
染織実習コースの方4名と次回の紬布を織るための緯糸のデザイン設計をしました。
自分で紬いだ糸は前回柿でベージュに染めてあり、それを全部使い切ってもらいますが、9寸幅で3寸の長さを織るためには他の色も混ぜながら織らなければ足りません。

私の方で用意してある糸からプラスする地糸を選び、更に色糸を加えることもできますので、糸の本数を考慮して各自2時間ほどかけて方針を決めていきました。それぞれの糸をベタ使いだけではなく、混ぜていく箇所を必ず作ってもらうようにしています。
織物は糸を混ぜることで生まれてくる色があり、それが布の奥行きや陰影、風合いを生み出すからです。

限られた糸ですので糸量を掴まなければなりませんが紬糸は太細もあり、ゲージをきっちり出すことができません。また紬糸は弾力が大きく長さもきっちり出すことができません。
紙の上に鉛筆で描くように、定規で測ったようにはいきません。大まかに掴みつつ、実際の時には臨機応変に対応するということも含め話しました。


上の写真は上から順番に第1期から昨年の第8期までの42名の方が織った布です。織られたものから1寸5分程の幅で資料として残していただいています。真綿の糸を中心とした風合いの良い布が出来ることを確認してもらいました。


経糸に節糸や紬糸があることで、この立体感や存在感が生まれるということも見てもらいました。殆どが身近な植物の色です。皆さんも一人ひとりの布を引き込まれて見ていました。

同じ条件でも、プラスする地糸も数種類しかありませんが、随分違ったよこ段柄になります。
はっきりした色使いのもの、柔らかな色調のもの、可愛らしいもの、クールな感じ、シックな感じ、シンプルなもの、複雑なもの、様々です。3寸ほどの小さな布ですが、初めての方にもかなり高度なことを体験してもらいます。


さて今期の方の布はどんな布になるのでしょう、、。
上の糸の写真は4名の方が真綿から手つむぎした糸に柿の枝で染め、布海苔と生麩で作ったうす糊を付けたもの。
各自、色糸印でわかるようにしてあります。この写真の部分だけで見ると右端の方のがやや細めの糸に見えますが、織ってみるとどうなんでしょう、、、。(^^)

絹糸は叩くと伸びてしまいますので、私はタテ・ヨコ共に糸は叩きません。むしろ縮める工程を加えています。
糸巻きしにくいですが、風合いは格段に良くなります。
糸のウェーブはお蚕さんのいのちの“かたち”ですので。

自分で紬いだ立体的な糸が力強く生かされたデザインになるように考えてください。


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長谷川沼田居美術館を訪ねて

2017年09月12日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾
                                        
                           「かきつばた抽象」1965年頃(長谷川沼田居図録より)

初秋の一日、足利市にある長谷川沼田居美術館を訪ねました。

一昨年、渋谷区立松濤美術館「スサノヲの到来」で、また昨年少しまとめて足利市立美術館特別展示室で拝見しました。
また、同市ある長谷川沼田居美術館も是非訪れたいと思っていました。

そしてこの度のかたち塾としての開催になりました。
作品はかたち21のこちらのサイトでも。

そこは東武線足利市駅から車で15分くらいの浄徳寺というお寺の一角にある小さな美術館です。
沼田居は実力は認められながらも中央の画壇とはほとんど関わらず、生まれ故郷足利で無名のまま生きた画家です。いわゆる売り絵をしなかった画家ですので世の中に名が広まりませんでした。

1965年右目を摘出。ほとんど目が見えなくなり、73年全盲。83年78歳で亡くなります。90年に遺作保存会を中心とする多数の方々の寄付で美術館は建てられたそうです。現在も日曜日だけボランティアの方たちで開館しています。

まずは20点ほど(年4回の展示替え)の展示作品を各自じっくりと拝見し、その後、以前「塩香」を作るかたち塾で講師をしてくださり、「スサノヲの到来」にも出品していた造形作家の栃木美保さんのご紹介もあり、足利市立美術館学芸員で2002年の同館の「心眼の画家 長谷川沼田居」展の企画に携わった江尻潔さんに沼田居の画歴や師のこと、回りの人々との交流エピソード、作品などについて解説をしていただきました。


      図録表紙(二曲屏風「八手」1944年頃、とタイトルに有るのですが、実際は芙蓉が描かれてます)

絵の素晴らしさに加え、沼田居の魅力を江尻さんが図録(2002年足利市立美術館発行)も交えてわかりやすく端的に伺えたことがとても良かったのです。観賞を深めることが出来ました。

市の限られた予算で美術企画を立てるのも大変ということですが、こんなに素晴らしい心ある学芸員さんがいらっしゃるということを知り、嬉しく興奮を覚えました。

上記の図録はまだ在庫があるようです。実作を観るのが一番ですが、図録だけでも取り敢えずご覧になられるのもよいと思います。図版も文章もとても良いです。こちらから電話でのお申込み。
またいつの日か全国を巡回するような展覧会が開催されることを願いたいと思います。

沼田居の作風は多岐にわたります。作品は怖いぐらいの深い闇にたどり着くような凄みがあるものもありますが、初期~中期の作品はのどかな山水や鉛筆画で植物や身近な風景を書かれていたり、軽やかなほのぼのとしたイラスト風のもの、着物の図案のようなもの、抽象、半具象など部屋に飾って愉しみたいような作品も多いです。庭の草花を自ら育て絵に描いています。とは言え作品について簡単に書けるものではありません。

ただ、天賦の才能と、強靭な精神の持ち主であったこと、対象物を真摯に自分の血肉になるまで見つめていたのではないか、、とは思えるのです。

水墨画、日本画、洋画、墨、水彩、インク、鉛筆、クレヨンなど様々な技法や筆具のチャンネルを複数持っていたこと、だから全盲になってからも筆を折らず描けるもので描き続けることが出来たのではないかと江尻さんも話されていましたが、私もそう思いました。
画家として持つべき基礎があった。鍛え方があった。対象の見つめ方があった。


今回の美術館訪問で見た「霖雨(う)」と書かれた書。ピンぼけですが許可を得て撮らせてもらいました。図録には収められていません。

単に絵を描こうとしたのではなく、対象の本質を見つめ筆を、ペンを走らせ続け、肉体、精神の苦しみを乗り越えた身体――全身全霊で今を生きる最先端で、最前衛で描き続けた画家であったと思います。

沼田居を支えた夫人、お寺のご住職など遺作保存会の方々、足利の人々のお陰で今日こうして埋もれようとしていた作品に出会えたことにもこころから感謝をしたいと思います。

ものを創る端くれにいる私自身もその作風、生き方に突き動かされるものがありました。
素晴らしい芸術家はたくさんおられますが、沼田居は私の胸に深く刻まれたことは間違いありません。


沼田居美術館で絵葉書を購入してきました。1000円/8枚入


浄徳寺境内にある大イチョウの木。雷除けとして植えられたそうです。銀杏もなっていました。


樹勢はだいぶ弱っているということですが、根元から新しい幹が出てきています。沼田居も風景の中に描いています。

その後は足利市美、大川美術館をめぐりました。
刺激的でフルボディの味わい深い一日でした。帰りの東武線車中では缶ビールを飲みながら余韻に浸りました。
機会がありましたらご覧いただきたいと思います。

今回ご協力くださいましたみなさま、ご参加のみなさま、ありがとうございました。

さて、次回かたち塾は五感の探索シリーズ、「味覚のシンフォニーを愉しむ 」10月21日(土)昼食を共にいたします。小さな席数の限られた日本料理店での開催となります。こちらは完全予約ですので早めにお申し込みください。かたち塾もあと2回で終了となります。

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櫻工房の実りの秋――リンゴ、梨、柿、柿酒

2017年09月01日 | こぼれ話

櫻工房のリンゴの木に今年は5個の果実が付きました。
4~5年前から1つ、2つと実がつくようになりました。多分品種は“ツガル”と思います。
ほったらかしの自然農です。消毒もしていません。


リンゴの収穫!?です。高枝鋏で釣り上げました!落とすと反対側は急斜面なので緊張の一瞬です。


無事穫れました。ツヤツヤで可愛いいです!!!


まだお尻は青いのですが、鳥との競争なので少し早めの収穫です。
この状態でもパリッとした食感で甘酸っぱく美味しかったです。


一番赤かったのはやはり鳥ちゃんに先を越されていました。
なので餌台の釘に刺しておきました。「お食べ!」


梨の木にも2個実がついたのですが、先日の剪定で1個は切り落とされてしまったのです~~。残念!!!


残った1個は二股の間に挟まって窮屈そうです。今日は向きを変えてあげました。そろそろ収穫です。


柿も色付き始めました。今年は表年で豊作です。柿酒を今年も作ろう!


昨年初めて作ったのですが、美味しくて1月に入ってから毎晩食前に飲んでしまいました。ビタミンCのせいか冬の間、風邪も引かなかったです。


砂糖を使わないで作れます。よく洗って皮ごとくし切り。あれば葉っぱも3枚ほど入れて3ヶ月で飲めます。

リンゴも梨も柿も染めに使わせてもらい、春には花を愛でさせてもらい、柿の葉は夏の日除けの役割もしてくれます。
更に秋には実も美味しくいただき幸せです。自然の恵みに改めて感謝です。

紬塾の方には10月の織り実習の時に食べごろになっていれば、、、お福分けします。



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