中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりが「紬きもの塾」を開講しました。このブログはその記録を中心に着物、工芸、自然を綴ります。

かたち塾お知らせ 「塩香を作り、愉しむ」

2016年08月26日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾
身近な植物が持つ香りについて関心を寄せてみたいと思います。
9月18日の第8回かたち塾「塩香(しおか)を作り、愉しむ」は少し先のお知らせになりますが、準備の都合がありますので早目にご案内いたします。
“塩香”というのは植物を塩漬けにするモイストポプリです。密閉しておけば、時間をおいても香りが飛ばず、むしろ発酵してまろやかな香りになってきます。

“香り”といえば合成洗剤や柔軟剤、シャンプー、芳香剤、衣類の防虫剤、トイレットペーパー、化粧品、食品等々。身近に強い香りが充満しています。強い匂いに苦痛を感じている方も多いのではないでしょうか?私はこれらの“香り付き”製品が苦手です。押し付けがましい人工の香りは神経を苛立たせて決してくつろがないのです。ご近所から漂ってくる洗濯洗剤の匂いに仕事中も悩まされています。(ーー;)

しかし、草木で染色をする際に煮出しをしますが、その時には思わず深呼吸して匂いを嗅いでしまうぐらい、いい香りがします。植物によってその香りはもちろん違い、ただ木を眺めているだけでは感じられない匂いもあります。
植物がもつ香りは生き物としてのそれなりの役目があると思うのですが、改めて植物の香りを聞いてみましょう。
昔から日本人もその香りを暮らしに利用してきました。たとえば衣類の防虫剤としてクスノキから作る樟脳は今も使われています。


今回は身近な植物、あるいは果物の皮、スパイスなども含め、栃木さんが用意してくださる乾燥させたものをベースに、持ち寄ってもらう生の植物の葉、茎、花、実など、香りを嗅ぎ分けながら、自分に合う心地よいものを数種類ブレンドして塩漬けにしていきましょう。
森林浴などすれば一番ですが、小さな瓶に身近な草木の匂いを詰め、改めて“香り”を確認しましょう。

造形作家でアロマセラピストの栃木美保さんにご指導をいただきながら作業を進めます。
栃木さんは和紙や麻布、植物、精油など使った作品を創られる方です。

この7月にも栃木さんの「 天の川 -七夕まつり- 」と題された展覧会(ギャラリー 水・土・木)で、麻布に竹の葉を挟んで縫い止め(手縫いですごかったです!)、天井からたくさん吊り下げた作品を拝見してきました。
七夕に絡めたものですので、来場者は願い事を和紙の短冊に書き、竹飾りに付けるという参加型のインスタレーションでもありました。

11年の同ギャラリーでの栃木さんの展覧会を観ての当ブログ記事はこちらから。

昨年松濤美術館などを巡回した「スサノヲの到来」展にも展示されていました。細い麻布を272本垂らした円形のスペースで、ふたつきのガラス容器の蓋を開けて、四季を意識してブレンドした植物の香りを体験できる展示でした。
また塩香のワークショップもあり、栃木さんから指導を受けて作りましたが、今もいい香りで工房に置いてあります。透明なガラス瓶に詰めておくと眺めても楽しめます。

昨年の紬塾の染の回では急遽、庭の金木犀の花で塩漬けも作りました。
上の画像の左端が一年後の金木犀です。色は茶色になってますが香りは残っています。
こちらのブログもご参考までご覧ください。

自分が好きな香りの植物を1~3種ぐらい持ち寄りましょう。
庭がないかたでも公園や道端でホンの少し葉をちぎって匂いを調べてみてください。思いがけない発見が意外にあると思います。野菜や果物、ハーブでも使えるものもあるかと思います。

栃木さんは乾燥させたものを用意してくださいますので、みなさんには生の状態のものを用意してもらいます。当日採集か前日などの場合は水に活けておいて、生気ある状態でお持ちください。
みんなで順番に嗅ぎ分けながら、好きなものをチェックし、あとから塩とともに瓶に詰めていきます。
蓋付の瓶1本はこちらで四角いタイプのものを用意します。
一人2本作りたいので、もう1本はご自分でご用意ください。

100円ショップでも密閉瓶は売られています。ジャムの空き瓶などの場合は150~200ccまでの容量でお願いします。上の画像の真ん中、うめジャムの瓶は200ccです。

私は桜の葉を持っていこうと思いますが、そのまま嗅いでもあまり匂いはないのです。煮出していると桜餅の匂いがするのですが、塩に漬けることで香りが出てくるのでしょう。桜餅の葉は大島桜の葉を塩漬けにしたものですから。
とにかくいろいろ試して何か発見なり、気付きがあれば良いと思います。

どなたでも参加できます。準備の都合がありますのでお早めにお申し込み下さい。
不明な点はお問い合わせください。

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第8回かたち塾 「塩香をつくり、愉しむ」
造形作家、アロマセラピストの栃木美保さんを講師に迎えて、
塩香=“香りの塩漬け” 作りのワークショップと、「香りと匂い」をめぐるレクチャーを行います。

ゲスト: 栃木美保(造形作家・アロマセラピスト)
コーディネーター: 笹山 央(かたち塾主宰)
日 時: 2016年9月18日(日)13時15分~16時30分
会 場: 小田急線成城学園前駅近くの施設(お申込の方に詳細お知らせします)
受講料: 3,500円 材料代、茶菓子代込(かたちの会サポート会員は3,000円)
持ち物: 身近な植物の花や葉など香りのあるものを1~3種類
    ※塩香の材料(瓶、塩、植物等)はご用意いたしますが、お好みの香りのものをお持下さい

お申し込みと詳細はこちらから。

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お盆に小千谷縮でお墓参り

2016年08月16日 | 着姿・作品


お盆休みには二度、着物を着ました。
60年ぐらい前の小千谷縮みで母が遺してくれたものです。

糸質が今の輸入のラミー麻と違い張りがあり、風の通りがとても良いものです。
当時のごく普通の呉服商品だったと思いますが、母が好きだった色味です。
裄だけ私の寸法に直してあるのですが身幅が狭く、、全身像はUpできません。。。^^;
自分の本体の寸法を少し詰めたいのですが、、秋から本気でやろうと思っています。運動しなければ・・
帯留めは今は亡き金属造形作家の濱口恵さんに20年前に帯留めとして作って頂いたものです。銀の籠に色違いの真珠が入っています。

一日は青山のお墓に参り、もう一日は帯を替えて、カジュアルなコンサートへ行ってきました。帯は共に自作の夏帯です。
暑い日でしたが、下着はもちろん櫻工房オリジナル、大麻肌着に蚊帳タオルの汗取りも使いました。一日は汗取りなしで着用しましたが、ないほうがむしろ暑く感じられました。ヘンプ蚊帳生地使えます!!日本の織物の撚糸や密度などの知恵、技術もすごいものがあります。
夏の着物は少し気合を入れないといけないのですが、着てしまうとシャキッとして案外気持ちのよいものです。


ガラスの帯飾りで少しでも涼しげに…してみました。

さて話が飛ぶようですが、短歌か俳句を勉強したいと思っています。
予行演習で初めての短歌を一首詠んでみました。(家人の添削済み)

・墓参後の会食の坪庭(にわ)に舞いきたる 
      アオスジアゲハを亡母(はは)かと想う  

ご説明いたします(^^@)。
亡き母の好きだった小千谷縮を着てお墓参りし、そのあと懐石料理を頂いたのですが、その店の小さな坪庭に青いアゲハ蝶が西から現れ、東方向へひらひらとゆっくり舞い、一往復して去っていきました。その光景はただならぬ感じで、水色が好きだった母が化身となって会いに来てくれたようで、夜になっても興奮が覚めなかったのです。
今年は母の十三回忌、父の七回忌でもありました。
アオスジアゲハは今までにも1~2回見たことはあったのですが、名前を今回初めて知りました。店の人は見たことがないと言ってました。
蝶の写真はこちらをご覧ください。

母も自己流ですが短歌や俳句を詠む人でしたので、文才のない私も少し苦手なことにもこれから挑戦してみようと思っています。

母が自分の母(私の祖母)を亡くした翌年だと思うのですが、短歌や俳句をいく首か遺しています。俳句を一つだけ挙げておきます。母が42歳のときです。

[母]        昭和40年8月25日
・夕涼みニラの花にも母の顔

私は子供で何も苦しさをわかってあげられませんでしたが、辛さを一人、誰に話すでもなく短い言葉に込め、耐えていたのだと今更ながら思います。
実家は紀州の山の中で、結婚して東京へ来てから会うことも少なく、親孝行できなかったことの辛さでもあったと思います。
祖母は看護師をしていて、村でお産や病気で困っている人のお世話などをよくしていたようで、質素でしっかりものだったようです。畑の縁の土留めとして植えられたニラ花と重なったのでしょう。私も母を亡くして2年ぐらい何を見ても母を思い出し泣いて暮らしていました。
人の絆はモノや自然物を介してつながっているものかもしれません。

少しの着物を遺してくれていたことが、今の私を支えてくれていると実感するお盆でした。



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麻(ヘンプ)ローライズステテコ&肌襦袢 [2] ――室内着使用例

2016年08月09日 | 和装肌着/大麻ローライズステテコ&肌襦袢

残暑お見舞い申し上げます。

この夏は梅雨明けが遅く、割りに気温が低い日が続いていましたが、このところは暑さが本格的になってきました。今日は今夏最高の暑さですね。

お陰さまで工房は高台にあり、風の通りがよく、まだ冷房は使っていません。
庭の桜や柿の木が日よけになってくれていますし、ヨシズも使ってますし、四方の窓を開け、自然の風に吹かれ、風のない日はエアコンの送風で凌いでおります。

とは申しましても、着るものは究極の形でなければなりません。
衣服は限りなく楽にしております。でも仕事着(作業着)はだらしなくはならないようにしています。

素材は薄手の綿麻の織物生地(肌に密着しない張り感や、シボのあるもの)。
形はゆるく、風の通り道を確保したもの(エントツ効果)。
ただ肌を露出するのではなく、薄い生地が汗取りの役目を果たしてくれます。
カットソーは真夏には着ません。

今日は大変ご好評をいただきました和装用の麻(ヘンプ)の肌襦袢とステテコを
冷房なしで過ごす方向けに室内着としても着てみましたのでご紹介します。
室内着としても本当に涼しいです!!!

麻の中でもヘンプは特に放熱性、抗菌性、消臭性、即乾性も高く夏に最適です。
麻は接触冷感と言われ、身体にヒンヤリした感触があります。

それにしても、日本で「麻」といえば大麻草を指すものでしたが、今は麻と言ってはいけないというのが不思議でなりません。日本の文化の根幹をなすものだったのに、「指定外繊維」と表示しなければならないとは、、、?

麻福さんと櫻工房との共同企画で作りましたが、はじめは着物を快適に着てもらうためのものとして作ったのですが、最初から着物用ではなく室内着用あるいはスカート下にお求め下さった方もあります。

上の画像はインド綿のカットワークのチュニックブラウスとローライズステテコを組み合わせました。
白で透け感があるので、室内着といえども家族や他人の目もありますので、それをカバーするのがポイントです。とても涼しいです!


こちらはヘンプ肌襦袢と綿のワッシャー加工のイージーパンツの組み合わせです。
インナーは蚊帳生地(綿)のタンクトップす。
前身ごろの合わせは、紐で加減してください。
前の合わせのところから風が通り抜けとても快適です。
着物用に買われた方もぜひお試しください!!!
着物下着の場合は下前の紐は使わなくても良いです。


首筋なども肌あたりも柔らかく、チクチクして麻が苦手の方にもおススメです。
着物の肌着として着用の時には、繰越を下げるために背中心を少し引き気味に着用します。
初めから繰越を大きく刳ったものが最近は多いのですが、そうではなく肩山線を後ろに回すことで、肩周りがバイアス使いになり着やすくなるのです。
五分袖は肘の汗を取ってくれます。


もちろん着物用の肌着として一年を通してお使いいただけます。

サイドのスリットがお腹周りに沿ってくれますので、私でも窮屈感はありません。多少息を詰めていますが・・^^;


身八つ口と袖下の開きが放熱してくれて、和服の文化ならではの機能です。
これは室内着として着るときにもとても有効です。


この上質の素材感とヘンプの共布で作っていただいた少し細目の紐も自信作です!


あと蚊帳生地のヘンプ・リネンタオル2本でバイアスの汗取りを縫われた方が下記のようなコメントをくださいました。
「汗取りタオルのバイアス縫いは、面白かったです。ただまっすぐに縫うのとは、違う感覚ですね。ずっと続けて縫っていたいなあ・・・と思うような、今までにない縫い物の感覚でした。
タオルは初めは切らずにそのまま作りましたが、先生がおっしゃっていたように、少し切って短くした方が、身につけた時に、おさまりが良いようです。」

M~Lサイズの方は2本ですと少し長いので、生地幅分ぐらいをカットして、つなぎ合わせて作ると良いです。余り布は、端をかがって布巾やハンカチに。
ウエストの細い方には補正の役目も果たします。

ヘンプ・リネン蚊帳タオルもshopで一緒にご購入いただけます。(2,052円/税込)
2本必要になります。縫い方説明書をお付けしています。
ご注文フォームの備考欄にお書き添えください。

肌着のshopこちらから。

着物用の肌着として書いた前回の記事および、ステテコ、肌襦袢モニターアンケートにお答え下さった方のコメントもshopから是非ご覧ください。とても参考になります!!

生地の調達が難しく限定品ですので、お早めにお求めください。

尚、工房の夏季休業は8月12日(金)~15日(月)となります。

ヘンプの肌着のご注文はこの間も承りますが、発送作業は16日(火)以降となります。


柿の葉が夏の日差しを遮ってくれます。柿の実もだいぶ大きくなってきました。秋には美味しい柿の実が食べられます。染にも使います。

衣食住、身近な自然の恵み、自然エネルギー、昔からの知恵を再確認して、心地よい夏を過ごしましょう。
    











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一崩し着物と格子帯

2016年08月02日 | 着姿・作品


お客様にお求めいただいた紬の着物が仕立てあがってきました。
「一崩し」という色糸効果による織りです。
「一崩し」は若いころから好きで色を変え何反も織ってきました。こちらは藍とヤマモモで染めたもので、男女問わず着られる色調です。
この崩し縞には二崩し、三崩しなどと呼ばれるものもあります。網代織りなどもこの類です。
紬織りの根源的な魅力があります。

一見単純に見えるかもしれませんが、直に見ると真綿紬糸の太い、細い、色の濃淡、立体的な風合い、奥行きに見飽きることがありません。
一般的には濃淡2色で織りますが、色の濃淡プラス、糸の番手の違うものなども混ぜながら織っています。まずは力のある手紡糸でなければこの味わいは出ませんが、さらにはこの織物には相反する性質のものが混在しています。そのことが奥行や立体感に通じているのです。
案外設計も難しい織物です。糸選びにいつも時間をかけています。
ただ、わざとらしさが出ては品が悪くなりますので、気をつけなければなりません。

お客様は当初、袷で仕立てるということでしたが、いろいろ検討され単衣で冬も着るという決断をされました。
普段から気軽にたくさん着たいということで、長襦袢や肌着で調節することにしました。
この着尺は一般的な紬よりも太めの糸でしっかり織られたものですので、
後ろ身頃に裾までの居敷き当てを付けただけでも十分だと思います。
ただ、背の高い方で、仕立ての方には長く着るための最善の策を考えていただきました。
剥ぎがあるのですが、とことん着尽してほしいと思います。


                          
帯はお手持ちの二本とも合いそうでしたが、上の画像の私の帯(節糸紬「山笑う」)も決めて下さいました。
着物と帯、襦袢、小物の取合せも季節だけでなく、場、目的、年齢の変化など、一様ではありません。こちらも一生をかけて学び、楽しみ、磨くものと思います。
白地の更紗、濃い茶地に細い縞帯、そしてこの格子の三本の帯で時に応じて使い分けていただきたいと思います。

毎回みなさんそうなのですが、特にまだ若い方ですし、大変な決心だったと思います。何か強い思いもあったと思いますが、ものには人を突き動かす力もあります。

作り手としては表層に流されず、ものの本質を見失わないよな創作をこれからも続けたいと思います。

一生をかけて着る――、そして次世代へ手渡してもらえたなら幸いです。








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着物の来し方、行く末を詠む

2016年07月27日 | こぼれ話
片付けものをしていて見つけたのですが、30年近く前に銀座の呉服店「むら田」さんで、インドの古渡り鬼更紗の帯を購入し、その際にいただいた冊子、「きものの話あれこれ― 追想 村田吉茂」が出てきました(発行年が書かれてないのでいつのものと明記できないのですが、先代の吉茂さんの雑誌掲載コラムも収められています)。

その中に[「むら田」と母 ]と題された後藤田夫規子さんの寄稿文があり、その86才で亡くなられたお母様がむら田さんで着物をお作りになられていたようです。娘さんはあまり普段は着物を着ないご様子が文中から伺えます。
決して贅沢だったと思えないお母様であったとのことですが、遺されたたくさんの着物を前に、どう受け継げば良いかを逡巡されている文でもあります。
お母様の後藤田恵以子さんは短歌を詠まれる方で、いくつかの歌集から着物にまつわるものを選んでそこにあげておられます。
着物に対して厳しい目をお持ちだった村田吉茂さんへの追想とともに着物を通してお母様への追慕が綴られています。

着物をある程度知っている方、あるいは年配の方にしかわからない歌もあるかもしれませんが、一昔前の日常の中に、生きることとともにあった美しい布を慈しみ大切に着た時代が浮かびあがってきます。
そして僅ばかりとはいえ我が身の着物の来し方、行く末に思いを巡らせています。
大切に選び、大切に扱いつつとことん着る。自分で着れなくなったものはどなたかに継承してもらえるものはお譲りし、最後は着物の短歌か俳句の一首も残して終わりたい、、終われたらいいなぁ、、と思いました。^^;

作る人も、売る人も、着る人も真剣勝負でプロとして生きた時代にもう戻ることはできないかもしれませんが、忘れないでいたいと思います。
そして洋服の形であっても「着るもの」をおろそかにしてはいけないと改めて思います。
掲載されていた八首すべてをご紹介いたします。

・わが生もおおかた過ぎしと思いつつ今年の夏の着物ととのふ

・染めあがりし着物ひろげて部屋に居り冬の日のさす畳あたたかし

・おほ母の古き藍染めの麻ごろもけふ着て吾のいのちすがしも

・まれに来て銀座に立てば群衆の中に和服を着る人を見ず

・染料の樹皮煮るにほひ暑き日に黄八丈織る島にわが来つ

・一日にしばしば着物替ふるなど寒暑によわくなりしと思う

・老いてわが背丈小さくなりゆきて去年も今も着物をなほす

・少女の日着し菊模様のちりめんを媼わが着る半てんとして

                           後藤田恵以子


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第4回紬きもの塾ー真綿から糸をつむぐ

2016年07月16日 | 紬きもの塾’16


本日は染織コースの方が糸つむぎをしました。
本当にわずかな「真綿(2.4g)を1時間半以内でつむぐ」を課題としました。
そして着尺用の2~3倍の太さを目標にしました。一定につむぐのが一番難しい太さです。
全員が時間内につむぎ終えました。


やや!?太細のあるタイプの糸。


こちらは一定の太さをキープした糸。

4名の方の指導を順番につきっきりでしていると時々「あ~っ↓」と私がため息をついてしまうときがあります。

現代の暮らしは何でもタイマーやらお任せコースのスイッチポン!ですから、単純な道具を使いこなす訓練をしていないので、勘というか、全体と細部を同時に見渡し、瞬時に察知するようなことが少し弱いように思います。

ただ、終わりかけるころにはみなさんコツをつかみ始めましたが・・・

この糸は次回9月に染め、11月によこ糸として使います。どんな風合いの布になるのでしょう・・^_^



午前中に塾の準備をしながら、ヘンプのシーツや肌襦袢、ステテコ、蚊帳生地汗取りなど曇り空の中で洗濯をしましたが、やはり乾きが早く、この時期は麻に限ります。ラミー麻の長襦袢も炭酸塩で洗いサッパリしました。麻は抗菌性もありますし、毎回洗う必要はありません。水も無駄にしたくはないですから。汗だけの洗いには炭酸塩(絹には不向き)はすすぎも楽で本当にオススメです!!

糸つむぎ終了後には汗取りのバイアスに縫うやり方の説明もしました。
前回のヘンプの伊達巻の運針で力がついたようで、汗取りに挑戦する人も出てきました!

紬塾でなぜ運針?なぜヘンプ?と思う方もあるかもしれませんが、みんな一つながりのものと思います。

今日は参加していなかった方ですが、前回の運針の宿題を自宅でされた方がメールをくださいました。
写真と共に一部ご紹介します。

「教えていだだいた麻の伊達締めですが、家に帰ってから2日がかりで
3回やり直し、無事完成しました! 写真を添付させて頂きます。



もっと運針したいなと思い、古い着物を解いたものがあったので、
袷の時期の襦袢用の替え袖を縫ってみました。なかなか真っ直ぐには
縫えませんが、練習したらスピードは速くなりそうです。



前回の先生のお話にあった、着物をコートなど別の用途に着回すこと、
古くなった布を小さく切ってヒモや風呂敷にすることなど、私の祖母や
親の世代まではわりと普通に行われていたことだったのかもしれません。
他の方からお話があった、ハタキや、先生がおっしゃっていた布団や
座布団のがわなど、実家にはたくさん使い回しているものがあったなと
思い出しました。その知恵と技術を受け継げていないのが残念です。」


みなさん本当に真摯な姿勢で紬塾に参加して下さりとてもうれしく思います。
私もため息ついてないで頑張りま~す! 








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武蔵野美術大学特別講義「紬きもの塾移動教室⑦」

2016年07月06日 | 「紬きもの塾」移動教室

黒い紙に綾振り状にして巻かれた糸。


横から見ても美しい!!


真っ直ぐな巻き方もきれいです。


みなさん無心で繭から糸を引き出しています。

先月、武蔵野美術大学工芸工業デザイン科テキスタイルの学生に特別講義をしてきました。毎年、遠くて朝早くて大変だな~と思いながら、かれこれ7年になります。
いつものように絹糸の根本の話から始まり、染め、デザイン、織り、そして着物を着ること、着物をたたむことまで話しました。

親も祖父母も着物を着ない。
振袖や浴衣を着るくらいでほとんど着物とは無縁に育ったわけですが、今年のクラスも「紬」という言葉を知っている学生はほとんどいませんでした。


自分の半幅帯を持ってきてくれた学生に私の紬を着てもらいました。
そばで見ているスウェーデンから来た学生も一度見ただけでほとんど自分で半幅を結びました。
時間がありませんのでさっと纏ってもらうだけですが、二人とものみこみが良かったです。そして何より嬉しそうでした。
紬や麻、木綿の着物を着ることは誰でもできます!


着終わってから、着物を包んできた畳紙の上でたたみ方も見てもらいました。
教室の机の上の狭い場所でも、あの大きな着物をなんなくたためるのですから着物の仕立ての奥深いところです。

講義の始めはなんとなく聴いている感じですが、、、繭から糸を繰り、真綿をつむぎ、草木の色に触れ、紬の着物を着ることを目の当たりにし、狭い場所でもコンパクトにたためる着物の合理性を知るころにはみなさんの表情が確実に変るのを感じます。

素材や技術の話も大事ですが、使う文化があってこその着物、工芸、美術、モノです。
本当の意味で「使える」「使う」ということは作ることと同様に厳しくもあり、高度な感性も必要になります。

「作る(創る)」こと、「使う」ことは「生きる」ことそのものです。そして何より自分を高め豊かにしてくれる楽しみでもあります。

短時間ではありますが、作ることの根本から、使うことのトータルな話をしてきました。学生のみなさんの今後に役立ててほしいと思います。
 
終了後、講義の感想をまとめたものを送ってきてくださいました。
それぞれが特に印象に残ったことを書いてくれていますが似た感想が多いので、その一部をご紹介します。















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草木の色は無限

2016年06月29日 | 制作工程
 

身近な植物を煎じていくと、赤と黄色の色素が出てきます。
植物によって赤が多いもの、黄色が多いもの、その両方が拮抗しているもの、あるいは同じ植物でも部位によって、また煎じる回数、煎じ方によって赤味、黄色味の違いがでるものもあります。
数種類の植物からたくさんの色相を得るには、それらのことを考慮しながら染め分けていきます。

今月はヤマモモを中心にたくさんの色を染め分けました。
もちろん媒染剤の違いもありますが、部位の違い、煎汁の違い、同じ染液を染重ねていくなどによりかなり違いのある色を得ることになります。

一本のヤマモモの木の小枝や葉や少し太い枝の樹皮だけ、あるいは芯材だけと分けて染めたりもします。
またヤマモモの無媒染の色も私は自然な柔らかな色でよく使います。
染重ねていくと灰味が顔をのぞかせてきて、鉄媒染のグレーとは違う微妙な奥行きのある色合いになります。特に葉っぱに少し黒味も含まれているように思います。黒味も重要な色の要素です。その黒味が濁らず、深味になったところで染重ねをやめないといけません。

また、被染物としての糸や布の性質により、染めあがりの色が違うのは言うまでもありません。
どのような精錬方法かによってももちろん発色は違います。それも視野に入れて染を展開すると更に無限の色が染まるわけです。

そんなわけで、桜の色は何色かと問われても私には答えられないのです。
桜は桜としてその地で生きていくために地中から養分を吸い上げ、必要があって花を咲かせ、種を残すために葉を紅葉させ、落とし、来年へと繋ぎ生き抜いているわけです。

その枝葉の一部を私たちは使わせてもらい、身を包み、身を飾るためにその成分を糸や布に移します。
自然の営みを受け手もよく理解した上で使わせてもらいたいものです。私もまだまだ勉強不足ですが。。

人が“美しい色”と感じるのは何なのか・・・

あるファストファッションメーカーが30色の多色展開の服を広告に上げているのを見たとき、私にはある種の一色にしか見えませんでした。
奥行のない同じ性質のすぐに飽きのくる色の羅列にしか感じられませんでした。

草木で生き生きとした色を染めさせてもらうことを続けていますが、飽きることを知りません。
創意工夫を重ねていくと、毎回新たな発見が有り、心から美しいと思うことが多いです。もちろんうまく染められる時ばかりではありませんが。。。

草木の生木の状態での染色は何分煮るとか何%の染材、媒染剤でできるものではなく、絶えず状況を観察した経験を積みかさね、素材と実践で得られた知恵や経験則、環境や状況がいろいろ絡み合ってその時に生み出されてきます。
私は細かなデータを記録することにあまり興味はなく、どんな色が生まれるだろうかという毎回新たな発見への興味のほうが強いです。
また自分の思い通りにならない色をどう扱えるかがだいじです。思い通りの色などないのだと思います。

あとは織物であればそれらの無数の糸の組み合わせから生まれてくる色、紬糸であれば太細やネップなどの立体感による陰影からも色は生まれてきます。紬織りの糸染の色は平絹系の先染、後染とも違います。

色自体がもつ奥行き感と、糸や布の違い、光線の違いによって複雑に絡み合うのが色です。
色名や色の記号番号にとどまることはないわけです。

また、着物の場合は着る人によって、同じ着物が全く違ったように見えることもあります。
取合せの帯や小物でも違った雰囲気を呈します。

人種などの瞳の色によっても色の識別に違いがあるとのことですから一括りに色については語れないかもしれませんが、外国の方たちにも作品や糸を見てもらうことがありますが、みなさん一様に目を輝かせてその美しさに驚かれます。

トップ画像は右から9枚はすべてヤマモモで染めた帯揚げです。微妙な違いの色で写真には写しきれませんが、モニター画面を少し動かしてご覧頂くのも面白いかと思います。

薄い色でも灰味のあるなしで、着物の取合せの印象も違ってきます。
陰りのある色は秋の陽光の中で取り合わせていただくのも良いかと思います。


6月~9月にかけての絽目の帯揚げは灰味の少ないクリアーな色も染めています。
こちらの画像は左から、白樫、桜若葉、桜若葉、残り3枚は梨です。

美しい色やものは自然の理と深く関わっています。
梅雨空の中でも自然の色は心を和ませ落ち着かせるものですね。

これらの帯揚げも櫻工房内でご覧いただけます。
美しいものについて語り合えればと思います。
ぜひご予約の上、ご都合のよい時にお出かけください。

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「中野みどり紬の会 ’16 夏~秋 ー 紬から始めよう!」工房展

2016年06月22日 | 紬の会

                                     秋単衣の装いに…

終了しました。ご来場くださいました皆さまありがとうございました。

今週末25日(土)~30日(木)まで、「紬の会―紬から始めよう」可喜庵展に引き続き櫻工房内でも展示をいたします。詳細はこちら→
盛夏から秋に備えての装いをご覧ください。
工房内ですので、たくさんの草木で染めた糸をご覧頂いてのご注文、ご相談も対応させていただきます。 

また、お手持ちの着物や帯の取合せも櫻工房の紬とも取り合わせていただければ嬉しく思います。
先日の可喜庵の時にもスマホに着物や帯の写真を収めてきてくださった方もありましたが、できれば実際の着物や帯と合わせるのが一番で、ハギレでもいいので布をお持ちいただくのが良いかと思います。

そして何よりこれから紬の着物を着たいと思ってらっしゃる方には長襦袢、下着のことなどのご相談も承ります。

小物としてはヤマモモの生の枝葉を利用してたくさんのグレージュ系帯揚げも染めているところです。
トップの取り合わせ画像は白っぽく写ってしまいましたが、グレーベージュのとても大人色です。。。

また、前のブログでもご紹介いたしましたが、林まさみつ作の竹バッグ(11万~18万円)、小川郁子作の切子帯留め(3万円~)もセレクトさせていただいたものがございます。いずれも技術、センス、とても秀逸な作品です。ご注文も承ります。合わせてご覧下さい。


前にご紹介しました生平(麻)も夏には涼しげですが、茶系のものは秋口にも良いですね。


紐通しの紐は何気にかわいいです!!

また、大変ご好評をいただいております麻福さんとの共同企画のヘンプのローライズステテコと、お待たせしております肌襦袢(6月25日から販売開始)、蚊帳生地タオルも販売いたします。
肌襦袢はインナーには勿体無いくらいの良い作りです。今までになかったものです。サンプルもございますので手にとってご覧ください。
詳細はこちらもご覧下さい。→


ローライズステテコは使用後にアンケートに答えてくださいましたみなさんによりますと、着物下だけでなく、スカート下、パジャマのパンツとしてご使用くださる方もありました。肌触りが良いという感想が多かったです。私はもうこれなしには生きていけない、、ぐらい^^気に入ってます!

抗菌性や消臭性にもヘンプは優れていますので、これからの季節は特に良いです。
また、ヘンプ蚊帳タオル2本でバイアス汗取りを作って使っていますが、これもおススメです!!綿状の汗取りよりも通気が良く、蒸れにくいです。作り方もご説明いたします。

バイアスですのでフィット感がいいです。運針ができれば縫えます!

タオル2本使いますがM~Lの方ですと少し布があまります。私はキッチン布巾として縁をかがって使うことにしました。乾きがとても早くて衛生的です。

いろいろ盛りだくさんになってしまいましたが、紬の着物に関心のある方はお気軽にお出かけください。

手狭なため恐れ入いりますが、ご予約の上(当日でも可)お越しください。(10時~17時)

わざわざ工房までお越しいただきますので、もしお気に召していただくものがございましたら紬作品はじめ小物類も工房割として5~8%OFFで販売させていただきます(一部除外品有り)。

草木染め、手紡ぎ糸による着尺70万円~、帯は29万円~、ショール(8万円~)帯揚げ1.3万円~です。お仕立ても承ります。

工房へは小田急線鶴川駅からバス(10分)、またはタクシー(1,200円ほど)でお越しください。
ご希望の日時をご連絡いただきました折に道順など詳細はお知らせいたします。
詳細、ご予約、お問い合わせはこちらから。→
お気軽にお出かけください。お待ちしております。



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第3回紬きもの塾 「とことん着尽くす・麻の伊達じめを縫う」

2016年06月13日 | 紬きもの塾’16

先週末は紬塾が行われました。
「とことん着尽くす・麻の伊達じめを縫う」として、着物の更生や、その実例を見てもらったり、日常の暮らしの中でもものを大事にしていくことなど、みなさんが普段気をつけていることなどにも話し合いました。

上の画像の手にとっているものは、母が戦争中に、亡くなったおばが織った着物地から上着に作ったものです。
食べるものは田舎で土地がありましたのでなんとか自給できましたが、布が手に入らず本当に困ったといってました。
緑色の紙風船の柄の風呂敷は母が小学校の時に父親に買ってもらい着ていた銘仙の着物から作ったものです。
父親が早くに亡くなり、母にとっては数少ない父親の思い出に繋がる着物だったのでしょう。
銘仙は弱いから擦り切れるとは言っていましたが、この古い着物を80すぎで亡くなるまで、こうして風呂敷の形にして置いてありました。他にも座布団側や、枕、腰紐などにもして使い切りました。

着物の小幅は接ぎ合わせることで、大きな風呂敷にもしていけます。二幅、三幅、四幅など、布団を包むものも古布を利用してせっせと縫っていました。
広幅で買えば安いのですが、小幅を接ぎ合わせていく合理性もいいものだと思います。
接ぎ目には縫い代を二目落としにして、落ち着かせてあります。日本の知恵、美意識、手業が感じられます。
小幅は正座での仕事において扱いやすいですし、広幅から型紙で作る着物とは全く文化が違いますね。

真ん中にある毛糸の編み物は、古毛糸を繋ぎ合わせ、2本取りにして、孫のおくるみや、ひざ掛け用に編んだものです。私たちにも編んでくれたセーター等、解いて、カセにして、洗って、また毛糸玉にして編んだものです。

紐も腰紐に使えそうな生地や、布団をベランダで干す時にくくり付けるためにたくさん作っていました。プラスチックの布団バサミを使えば簡単なのにです。

奥にあるビニール袋に入ったものは裂き織り用に母が布団側などを裂いて残してくれていたものです。自分の仕事で手一杯で、裂き織りに専念する時間がもてず、たくさん置いたままになっていますが、いつの日か敷物にでもしたいです。

何でも使えるものを使い切ることが気持ちが良かったようです。
擦り切れるまで使う喜びが感じられました。
とにかく古い布を大事にした人でした。
でも新しく買うときにはよいものを選ぶ人でした。

布だけでなく、水や電気、ガスなども大事に使いたいものです。
これから特に活躍する炭酸塩のお洗濯についても説明しました。すすぎが楽です。


恒例になりました麻の伊達締めを縫う時間です。
今期の方にはヘンプの端切れを利用してもらいました。
広幅のハギレですので、二人ひと組になって、地の目を通してハサミを入れ、生地を半分にしていきました。
地の目が通っていると、縫い上がりが綺麗です。

一見できそう・・・

そして運針の時間です。
前回皆さんに「運針はできますか?」と尋ねると、和裁をしている方もいますし、まんざらでもなさそうな感じでしたので、今回は楽勝!と思っていました。
しかし、、、^^;汗だくになりました。
どなたかの、いい汗ではない・・というつぶやきも聞こえてきました。

和裁教室でもあまり運針には力を入れてないようですね。
布を針ですくっているやり方で、あれは運針ではないですね。

いろいろ縫わなくてもいいので、基本縫いをみっちりやると、あとは応用だと思うのですが。。。

来年は作戦を変える決意をいたしました!




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