モノ・語り

現代のクラフトの作り手と作品を主役とするライフストーリーを綴ります。

金子司さんの陶芸

2009年02月14日 | モノ・こと・ことば

「かたち21」のHP







2月7日付の記事で紹介した金子司さんは山口県萩市で活動している陶芸家です。
萩市といえば、「萩焼」というやきものがよく知られています。
萩焼は抹茶や煎茶のお茶道具の代表的なブランドで、
肌色に近い土の色合いがひとつの固定したイメージになってますが、
金子さんの作品はそれとはゼンゼン違っています。
いわゆる、伝統にこだわらない新世代の陶芸家ということですね。

金子さんの創作の面白いところは、
自然界の動きと人間の手の動きとを組み合わせて、美の世界を生み出しているところです。
しかも美のヴァリエーションをほとんど無限なぐらいに生み出していくシステムを
作り出しているというところがポイントです。観点を変えて言えば、
自然と人間の共同作業で美を作り出していくシステムを考案していくことに、
金子さんの創作性があると言えるでしょう。



 
(左)ティーソーサ (右)部分(ソーサの中央あたり)




例としてティーカップ&ソーサを取り上げると、
その模様は一見シンプルなストライプ模様のように見えます。
筆で描いてるんだろうと先入観で判断していたところが、そうではありませんでした。
色のついた液状の土がお皿の土の上を流れていくという自然の作用と、
それを皿の縁から中心へと方向づける作者の行為とが組み合わさってできているのです。



 
(左)ティーソーサ (右)部分




それが手で描いたものであってきれいに感じられると、
私たちはその職人技を褒めたりします。
金子さんの仕事には職人技の要素もありますが、
偶然の美しさ、もしくは自然の現象が作り出す美しさの要素ももう一つの柱です。
このことは、特にソーサの中心部あたりをクローズアップした
写真を見てもらえるとわかるでしょう。
このあたりが金子さんの創作のミソなんですね。




ティーポット



彼にはオブジェ系の創作もあります。
それについてもおいおい紹介していきたいと思ってます。



金子 司さんのティーカップ&ソーサとポットはこちらでも。




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