月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

旅の中の忘れられない味

2014-05-19 | 
ゴールデンウィークの話を1つも書いていなかったので、ちょっと思い出して記しておこう。

5月1日~2日は、夫と二人で1泊2日で兵庫県の「湯の原オートキャンプ場」へ。
キャンプ場といっても、泊まったのは冷暖房完備、トイレ・シャワー室付きのきれいなコテージだ。
http://yunohara.net/

それに、敷地内には温泉もある。
自然の中でのんびりして、バーベキューして、温泉浸かって、ゆっくり過ごそうと向かった。
高槻でレンタカーを借り、食材やお酒などを積み込んで走る。

近くの酒蔵「香住鶴」に寄って、酒蔵見学&試飲(私だけ)もさせてもらった。
香住の漁港では美味しいキスとサバの干物も手に入れた。

私たちの借りたコテージはこんな感じ。


この前の庭でバーベキューができる。
山の中で、ほとんど人もいなくて、静かな夕暮れだった。
持って行ったプレモルのクリーミーサーバーできれいな泡のビールを注げば、なんだかプレモルのCMのよう。


夫が横で炭をおこしている間、日が沈む気配を感じながら、プレモルを楽しむ私。
贅沢だなぁ・・・。

炭がいい感じになったので、早速バーベキュー開始。
ワインも開けて、いい気分。
それから、先ほど調達した干物と日本酒も。


さんざん食べて飲んで楽しんだ後も、「今晩は語り明かそうぜ!」なんて言ってコテージに入った。
椅子に座った。
その次の瞬間、夫が「もう寝る」と言って、ベッドに向かうのが見えた。
「え?なんで?もう飲まないの?語らないの?」と夫の背中に問いかけたが、夫は無視してベッドへ。
私もなんだか体が重くて仕方がなく、のろのろとベッドに入った。

夜中、またうなされる。
一時期、うなされて「ぎゃー!」っと叫ぶことが減っていたのに、最近は進化形で言葉をはっきり発するようになった。
それも叫びに近い、大声で。
こんな素敵なコテージにいて、あんな楽しい時間を過ごしたというのに、「ごめんなさい!」と大声で叫んでまた夫をびびらせた。

翌朝、夫に謝りつつも、なぜバーベキューが終わったらすぐに寝たのかを問いただしてまたびっくり。
「かおり、覚えてないの?コテージに入って座ったらすぐ寝たやん・・・」

え?そうなの?
私の中ではコテージに入って椅子に座るところまでの記憶しかなく、その次の瞬間はもう夫がベッドに入るところだったのだ。
その間、寝ていたっちゅうことね・・・。全く記憶がないのが怖い。
勝手に寝るわ、うなされて人の睡眠を妨げるわ、・・・ろくなことしてないな、私。

気を取り直して、庭で朝ゴハンを食べようと外に出たら、なんとゴミが庭じゅうに散乱!!
そういえば、生ゴミや燃えるゴミを入れたゴミ袋を外に置いたままにしてしまっていた。
どうやら獣か鳥が夜中に荒らしたらしい。

「ゴミ袋を外に出しっぱなしにするとか、キャンプの初心者もええとこやなー」と二人で反省。
いろいろと学びを得た。
もちろん二人で1つ1つゴミを拾ってきれいにしたが。

そんなこんなでハプニングもあったけれど、温泉も気持ちよかったし、楽しい一夜だった。
また秋に来たいねーと、二人で話しながらキャンプ場を後にした。

その日は近くの阿瀬渓谷へ。
天気もよくて、新緑が美しくて、本当に気持ちがよかった。
空気を思い切り吸い込んで、木々に挨拶しながら進んで行く。

出会いの滝。


山を下りて、近くまで行ってみた。
水が澄んでいて、涼しい。マイナスイオンが体中に注がれる。




夫はもう少し山を登ろうと言ってきたのだが、山に入る最初のところで「クマ注意」の看板を見た私は、なんだか恐ろしくて先に進めなかった。
「クマ注意」くらいよくあるかもしれないが、この日は何か嫌な予感がしたのだ。
私達以外に1人も人がいないことも怖かった。
こういう時、想像力が豊かだと大変だ。1回変な想像をしてしまうと、もうそこから絶対に抜け出せなくなるのだ。

「あかん、あかん。なんか嫌な予感がする」と私が怖い口調で言うので、びびりの夫は「そんなん言うのやめろやー」と急に怖がり出して、もうそれ以上、無理に山を進もうとはしなかった。
短い散策だったけれど、十分堪能したのでいいか。

そして、そして、この日のお昼ごはんが最高だった!!
私の「美味しいものアンテナ」は健在だ。
いろいろ調べていて、「ここ!」とピンときたのが「三椒庵」。
http://www.sanshouan.com/



川沿いに建つ庵。
5組限定で、1組ずつ囲炉裏があって、そこで焼き物ができる。
十割蕎麦の評判もいい。

私はとにかく川魚が好きなので、絶対に「やまめの塩焼き」を食べたいと思っていた。
最初はまあ、ロケーションの良い店で、やまめさえ食べれれば満足・・・と思っていたのだが、お店のご主人がとても感じよく、おすすめを教えてくれる。
なんだろ・・・ものすごい「歓迎」なのだ。
大げさな言葉などはないけれど、笑顔や言葉から「こんな山奥のお店を見つけて寄ってくれてありがとうございます!美味しいものを精一杯提供しますので、お楽しみください!」というような気持ちがひしひしと伝わってくるのだ。
もう注文しているときからなんだか気持ちが良くて。

ご主人に勧められるままに、若鶏松葉肉、原木しいたけ、やまめ、蕎麦を注文する。
夫には申し訳ないが、どうしてもビールを飲みたくて、1人で生ビールも注文。
基本的に車で移動の時は、私も夫に合わせて飲まないのだけど、あまりに気分がいいから飲まずにはいられなかった。

炭を囲炉裏に入れてくれて食材を焼き始める。
焼き方のポイントも丁寧に教えてくれた。


先に焼き上がった鶏肉を口にして飛び上がった。

う・・・うまいっ!!

なんじゃ、これ。なんじゃ、なんじゃ。
ヤバイ、もう泣けてきた。

夫と二人で「うまい、うまい」と言いながらむさぼり食う。
こんなうまい鶏肉は初めてだ。

そして、次に原木しいたけ。
分厚く香りの良いしいたけに、醤油をほんのひと垂らし。

ぴゃー!!
これまたうまい。うますぎる!!

数年前まで「俺、しいたけ嫌いやねん」と言っていた夫が、泣きそうに「うまい、うまい」を連発している。

そして、やまめ。これも当然うまい。
やや塩がきつすぎるのが残念だったが、ジューシーでほわほわの身で、味わいも濃厚。
普段は絶対しないのに、夫に頭を下げた。
「ごめん・・・日本酒頼んでもいい?」

夫は顔を引きつらせながらも、「いいよ」と了承。
ごめん、ほんまにごめん。
でも、このうまいやまめを日本酒と合わせたら・・・という欲望には打ち勝てなかった。たとえ、これで夫との仲が冷めようとも!!

そんな固い決意により、こうなった。


私は川魚は頭も骨も尾も完璧にすべてを食すので、最後は串だけが残った。
あまりに満足しすぎてて、蕎麦の存在を忘れるほどだったが、蕎麦が運ばれてきた。



なぜか塩が添えられている。
お店の人が、「最初は塩で召し上がってください」というのだ。
蕎麦の味をしっかり確かめられるらしい。
次に、山葵だけで食べる。
その後は、薬味を好みで使いながら、普通につゆに浸けて食べてほしいと。

こういうややこしいこと言う店、大好き!
もうワクワクが止まらなくなる。
お酒も入ってふわふわした頭で、にやける顔を抑えながら、言われた通りに食べてみる。

塩、いい!
蕎麦粉の甘味や香ばしい感じがいいバランスで伝わってくる。
最後はつゆまで飲み干して、昼ごはん終了。

久しぶりに「幸せ度MAX」を経験した。

美味しいものはよく食べているほうだと思うのだが、こういう素朴な料理の極上に出会えると、たまらなく感動する。
そう。「美味しい」は当たり前。「感動」がほしいのだ。感動すると、「また行きたい店」になる。
できれば年に2回くらいは来たいと思った。

余談だが、4月末にかどやとびりけんに行ったときのローストビーフと生ベーコンも神がかっていたなぁ。


15年近く通った店だし、何十回と食べているはずのローストビーフなのに、あまりのうまさに感動した。
肉自体をあまり食べない、好まない私なのに、この日はよく食べた。
写真の皿はかどやと二人で分けて食べるのだが、これを2回おかわりしてしまった!
また、びりけん特製の醤油麹をつけると、これが最高にうまい。
あの日は本当に神がかっていた。今でも時々思い出して、口の中がヨダレでいっぱいになる(笑)

「三椒庵」も本当にいいお店だったなぁ。
偶然見つけたとは言え、忘れられないお店になった。
極上の素材。それを最高に生かせる方法で調理する。そんな料理が一番好きだ。

1泊2日の短い旅だったけれど、とても楽しかった。
若鶏松葉肉がまだ忘れられない。