鴨着く島

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ぼったくり男爵

2021-05-08 15:24:10 | 日本の時事風景
アメリカの有力紙「ワシントンポスト」は東京オリンピックを中止したほうが良いという記事を書いているそうだ。

そしてIOCのバッハ会長を「開幕国を食い物にする悪癖がある」として、ニックネーム「ぼったくり男爵」を贈呈した。

大会をどうしても開催したいそのモチベーションはズバリ「金(マネー)」だという。

大会に必要な施設は開催国任せにし、イベントなども開催国の費用負担で行い、そこから上がった収益はIOCのものとしているそうである。

他のニューヨークタイムズやサンフランシスコクロニクル紙なども、感染拡大をもたらすものだとして東京オリンピックの中止を訴えている。

理屈の上ではその趣旨はよく分かる。これだけ世界で感染者が終息を見ない状況では当然の見解だ。

しかし「金(マネー)」に関しては、そもそもオリンピックを金まみれにしたのがアメリカなのだ。

1984年に開かれたロスアンゼルスオリンピックで、史上初めて「黒字」つまり儲けたのがアメリカ(のメディア)なのである。

その手法は今と同じ「放映権」によるコマーシャル収入だった。テレビで独占的に放映する代わりにその対価をIOCに払うのだが、その放映に関してスポンサー企業を募り、多額のスポンサー料をゲットするやり方である。(※ロス五輪では当時その額は450億円だったそうだ。)

今度の東京オリンピックが本来なら気候の良い秋に開催すればよいものを、真夏の超熱い時期に開催されるようになったのも、アメリカのテレビメディアの横槍であった。だからアメリカのメディアが「金食い虫のIOC」と揶揄するのには非常に違和感がある。「もとはあんただろう!」と叫びたい。

秋の一番儲かる放映時期(アメリカンフットボールや大リーグ最大の見せ場があって儲かる時期)をずらして真夏に持って行かせ、その代わり言う事を聞くなら、多額の資金(賠償金)を支払うという契約(?)を交わしたはずだ。

IOCはその金に目が眩んだとしか思えない。真夏の東京がスポーツには向かないという点を完全に無視してしまった。

ことほど左様にオリンピックは本来の「アマチュスポーツの祭典」というテーマを逸脱してしまった。また、アマチュアスポーツであればこそ、その栄冠は個人に帰すべきなのに、ナショナリズムがこれを阻んでいる。

オリンピックは「国家の威信をかけたスポーツ競技」に成り下がってしまったのである。

今こそオリンピックの本義に還り、「金メダルだ、銀だ」のような「チンコ比べ」を離れ、国際的な親睦と融和のイベントに立ち返るべきだ。

今度の東京オリンピックから、そのような大会に立ち戻って欲しいと思う。高校野球やサッカー、駅伝、そして実業団のスポーツ競技など「金にならない多種多様なアマチュアスポーツの王国・日本」なればこそ世界に訴えかけられる「祭典」になって欲しいと思う。

しかし現実問題として、これだけ新型コロナが世界中でまん延していることを思うと、今度の東京オリンピックはさらに一年延期すべきだろう。中止は簡単だ。延期ということにして欲しい。その間に国産ワクチンが出来てるといいのだが・・・。