
水平線の雲間に、朝日が顔を出す。
「今日も、一日宜しくお願いします」
塩田さんが、朝日に手を合わせる。
私も、頭を下げて今日一日の安全と、楽しい時間をお願いする。
気持ち、ヒエッとする朝の空気は、心地よい。
その静寂を、塩田さんの声が興奮の時間に変えた。
「来た!」

ジギングの竿が、大きく海面に突き刺さっている。

ラインが沖に向かって走り出す。
沖の方で海中に白い魚体が見え、海面にガバッと浮いてきた。
3キロ超の真鯛だ。
「私が血抜きをします。まだ居るはずです」
直ぐにジグを落としていく。
「来た!」
連続ヒットだ。

ラインが引き出されている。
「おおっ、走るど」
上がってきたのは、4キロ級の鰤(ハマチクラス)

朝間詰めのチャンスタイムが来ている。
「直ぐに落としてください」
塩田さんがリーダーをチェックして、ジグを直ぐに落とす。
着底して、2,3度しゃくり上げたところで、3連続となるヒット。
「これも、走る!」
ドラッグから、ラインが引き出される。
初卸しのステラが大物を海中から、海面に引き上げてくる。

これも、4キロ級の鰤(ハマチクラス)
「出足良いですね」
「私の仲間達に、メールします」
「潮が、ゆっくりと上っています。チャンスですよ」
船を元に戻し、少し流すコースを変えて、沈み瀬の北側を擦る様に流してみる。
そのコースは、魚探に移っていたベイトボールの上を通るはずだ。
ゆっくりと潮に乗って、船が流れていく。
「来た!」

竿が立てられないほどの、強烈な引きだ。
「糸が止まらん」
塩田さんと魚との格闘だ。
少し巻き取っては、その倍引き出される。
それを繰り返していた時、「あっ!」と声が聞こえた。
針が外れた。
「くっそー、針が外れた」
もう少しで取れていたかも知れないだけに、残念。
悔やんでいても、仕方ない。
コーヒーを飲んで、気分転換。
船を移動し、今度は沈み瀬の南側の掛け上がりを流す。
魚探に海底から5メートルくらい上に、ベイトが小さい群れで幾つも映し出されていた。
ジグのリーダーを再確認し、海底目掛けて落としていく。
直ぐにアタリ。

上がってきたのは、小型のニベ。
ここから、サゴシが連発する。
50㎝くらいの小型のサゴシだが、ジグを取られない様にドキドキする。
今日は、上手い具合にジグは無事だった。
再度、沈み瀬の南側を流していると、又してもアタリが来た。
塩田さん待望の、カンパチ(ネリゴクラス)

良い感じで、アタリが出てくる。
しかし、この頃から潮が下り始め、青味のあった上り潮から、緑色した下り潮になった。
潮が変わると、アタリも段々と遠退く様になった。
鯛ラバに持ち替え、水深50メートルの沈み瀬周りを攻めてみる。
下り潮が、岸に向かって突っかける流れになった。
「ますます、嫌な流れになったな」
そう思っていたら、タカノハダイ(ヒダリマキ)がきた。
「この魚が来るときは、潮は良くないときですよね」
こんな話をしていると、塩田さんにアタリ。


小型だが、真鯛が来た。
この後は、干潮の潮止まりになった。
「今日は、これで帰りましょうか」
クーラーに満足の釣果を納め、帰港した。