朝間詰めのベイト反応は、魚探が真っ赤になるくらい。
「これは、良い感じかも」
そう思って、気持ちも自ずと高ぶっていた。
ベイトの正体は、鰯や鯖子。
でも、潮の動きがイマイチ良くない。
北東の風が強くなる前に、なんとかして釣果を上げたいのだが…。
針掛かりしてきた鰯を、そのままにして落とし込み釣り状態にする。
「来た!」
松元さんの竿が、いきなり突っ込んだ。
3度、4度と突っ込みを見せているが…。
次の瞬間、リーダーが切られた…。
次は、赤木さんの竿が突っ込んだ。
「今度こそ」
しかし、非常なもので針が外れた…。
口惜しい思いからの、スタートになってしまった。
出足にこうなると、気持ちが少々焦ってしまう。
気持ちを落ち着けて、次のポイントに移動する。
東原さんに、アタリが来た。
30センチクラスの鰺が、ヒットしてきた。
「鰺が居るなら、青物もいるかも知れない」
少しだけ期待感を持って、船を流していく。
しかし、思うようにアタリが来ない。
赤木さんにヒットしてきたのは、ウッカリカサゴ。
松元さんに、ヒットしてきたのもウッカリカサゴ。
なかなか思うようなアタリを、捕らえられない。
鰺場なら、何かが居るかもしれない。
そう考えて、浅場の鰺ポイントに移動する。
ペイトン反応はあるのだが、なかなか厳しい。
そんな状況の中、松元さんの竿が突っ込んだ。
「来た。今度こそ」
竿を持つ手に、力が入る。
「ゆっくりやって下さい」
と、タモを準備するが…。
「あっ…」
又しても、針が外れた…。
その後は、東原さんにイトヨリダイ。
松元さんに、グチがヒット。
グチは、海に帰す。
楽しい大アタリは来たのだが、針が……。
口惜しい思いは、釣りに付き物の思い…。
そう思うと「口惜しいな」の思いが、強くなった。