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20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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石川宏千花さん編・古い歌

2025年05月02日 | Weblog
            

本年度の、日本児童文学者協会賞は、
いとうみくさんの『真実の口』(講談社)でした。

雑誌に載せる選考評に、書いていますが、私は一押しでした。
これで、みくさんは、児童文学界における、賞という賞。
総なめです。

数回の、夏の課題図書選定。
日本児童文学者協会新人賞
河合隼雄物語賞
野間児童文芸賞
ひろすけ童話賞
坪田譲治文学賞.
産経児童出版文化賞
などなど・・・・。(ネットで調べました)
そして、今回の日本児童文学者協会賞。
本当にうれしい。
みくさん、おめでとうございます。
贈呈式などについては、また近くになりましたら告知いたします。

その選考の最後まで残っていた石川宏千花さんの作品。
その中に出てくる、古い曲をYouTubeで見つけてみました。↓です。

      
Luka - Suzanne Vega (lyrics) 和訳「ルカ」スザンヌ・ベガ

本を読みながら、つい気になって、いくつかをYouTube検索しました。
上は、児童虐待をうたっています。

『真実の口』の、いとうみくさんの、最後まで逃げずに人間を追いかけ、深く深く刻みつけ、作者としてきちんとそれを受け止める。その手法。どの作品も本当にお見事です。
受賞作は、弟の存在が、さらに作品に深みを与え、異彩を放っていました。
そういう嘘くさくない人物配置と、それを描く、確かな筆力。
そして登場人物を受け止める書き手としての度量。人間を見る眼差しのあたたかさ。
いとうみくの書き手としての、揺るがぬ強さです。

さて、石川宏千花。
手法は違えども、いとうみくと同年代の作家として、彼女の最大のライバルの1人であることは間違いありません。

彼女のセンスの良さは、デビュー作から、とても注目していました。
本を読みながら、気になった彼女の取り上げた、この二つのYouTubeを探しては、blogに貼り付けていました。
この下の作品からです。

『ヤングタイマーズのお悩み相談室』(くもん出版)。

この作品には、彼女のセンスが溢れています。
その特有な美意識とセンスで、子どもたちが抱えている問題を突き詰めて、ラジオ相談の二人が、あれこれ語り、ヒントを見つけていく作品です。

「デスペラード」(イーグルス)古い、古い歌です。
でも、今との共感性がある。
こんな曲を見つけ出す、彼女の感性はすごいです。
 

「デスペラード、目を覚まさないか?もう長いことフェンスの上だよ。頑固なんだね。理由があるのも分かるけど、君を満足させることが時には君を傷つけることもあるんだ。ダイヤのクイーンは引いちゃダメだ。下手すると君を裏切るだろう。いつだってハートのクイーンがベストなんだ。君のテーブルの上には立派な物がいくつか置かれているけど、君は手に入らない物ばかりを欲しがっている。 デスペラード、もう若くはないんだ。痛みと空腹が君を家に戻すだろう。人々は自由、自由と口にするが、君がたった一人で世間を渡り歩いていることが、抜け出せない原因だよ。冬に足は冷たくならないか?雪は降らないし太陽も照らない。昼と夜の区別もつかない。気分が高まったり落ち込んだりすることもなくなっている。感情を失っていくのは楽しくないだろう。 デスペラード、目を覚まさないか?フェンスから降りて門を開けろよ。雨が降るかもしれないが、君の上には虹が出るさ。誰かに愛してもらうんだ。誰かに愛してもらうんだ。遅すぎないうちに。」


人間っていろいろなんだ。自分が考えているイメージの中だけじゃない。
この曲を聴きながら、そう思いました。

時代とともに、価値観も、見方も違っていて、高齢者は慌てて、脳内をアップデートしようとしている。そんな自らの哀れな姿も浮かんできます。

でも、それも人間だから、と彼女は語ります。

ラジオの人生相談で、流れてくる、さまざまな価値観の問題。他者を見つめる視点の広さ。
そして大人になったら、もっと経験や、頭脳も大きくなることから、中学生の今より、幅広く、いろいろを考えられるようになるという話。

古い音楽と、昔の、愛おしいエンジン車のお話。

昭和なような、でも真っ只中の「今」を感じさせてくれる、石川宏千花の、特有な美意識から生まれる嗜好や、感受性の鋭さに、私は、ただただ、ため息をつきます。
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