20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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希望

2023年02月24日 | Weblog
            

昨日、行った佐伯祐三は、本当に素晴らしかったです。
写真は、佐伯祐三の一家が、2度目にパリを訪れて、亡くなるまでいたそのパリの風景。
当時、好んで描いたとされる、靴屋さんの風景。
1回目のパリ行きの時の、色彩とは、変わっています。
透明感が出ています。
周りも、彼の画風の変化に驚いたようです。
モンマルトルの坂の上の「洗濯船」も「洗濯屋」と題されて、描かれていました。

でもそれからしばらくして、佐伯祐三も、その小さな一人娘さんも、同じ年の8月に、結核で亡くなり、奥さんは失意の中、二つの遺骨を持って帰国します。

まだ、元気だった頃、パリから治療のために、一家は一時帰国しました。
その時に住んでいたのが、下落合あたり。彼は日々下落合や、外山あたりの風景を描いていました。昔ながらの民家。張り巡らされた電線。川。
夫はその近く、牛込の出身ですが、あまりにも骨董的な風景で、よくわからないと。川ってあったけかな?と。

その点、パリの風景は、まだなんとなく、今の気分を残している風景です。
古い建物を大事にする国と、どんどん新しく開拓してしまう日本とでは、価値観も違うのでしょう。

              

             

ステーションギャラリーは、かっこいいです。
いくつもの階段を、登ったり、降りたりは大変ですが、重要文化財になっている、このレンガを見ると、長い長い、東京駅の歴史と、美意識を感じます。

ネットニュースや、テレビのニュースを見ると、ああ、日本って、本当にサイテーな国と、うんざりします。

でも、こんな古い建物を守ろうとする力や・・・。
野球のこともわからないのに、思わず微笑んでしまうのが、宮崎で合宿をしているWBCに選抜された選手たち。

すぐそばの地続きのところで、その地に住んでいる子どもたちは、選手たちの必死に汗を流しトレーニングをしている姿を見ています。
子どもたちにとっては、まぶしい憧れです。
それを目の当たりに・・・。一緒に走り出す子どももいます。
選手は、それを意識して、彼に声をかけます。そして、フェンス越しに、Tシャツにサインしたものをプレゼントします。

テレビに映った、子どもたちの輝くような笑顔。
野球選手になれるわけではありませんが、それは輝く今を生きている、優しい選手たちに触れた、子どもたちの未来へ向けた、希望の礫です。

それからダルビッシュ。
ああ、いい男だな。と思います。
自ら、若い選手たちのなかにどんどん入っていき、「ダルビッシュ塾」(メディアが勝手に命名)で、若い選手たちに、投げ方の伝授をしています。
自分の技術を惜しみなく、伝えています。

そして、人見知りで繊細で、部屋に引きこもり、仲間に加われない選手
を配慮して、彼の名前をつけた「食事会」を組織し、自分は裏方に回る・・・。
昨日は、「丸々食事会を、彼が準備してくれました。楽しかった」と、ダルビッシュはわざわざ彼の名前を出してTwitterに書き込みます。
それを読んで照れ臭そうだけれど、嬉しさを隠せない丸々選手の笑顔。

若い選手たちは「ああ、こうして人とのつながり、他者を大事にすることが、人間としても、選手としても、一流になっていく道なんだな」と、若い選手たちは学びます。

こうした人間たちの、いさぎよい関係を見ていると、とても気持ちがスッキリします。
元来、人間って、こうやって付き合い、向き合い、気持ちよく生きてきたものなのですから。
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