もう田植えの季節

　田舎で従妹が農家を継いでいる。拠無き事情で女手で継ぐことになったが既に両親は亡く一人でやるには無理があり次第に伝畑を狭めてはいるようだが。田植えの時期に聞いたことがある。田植えとか草取りとか農業も大変だろうね。今頃何をするかマニュアルでもあるの、と。そんなものは無い。隣が何をするか見ていて同じことをすればいいから難しくはないよと言っていた。
　昨日、自転車散歩に出掛けるとバイパス沿いの田圃は代掻きが終わり水が張られていた。早い所では田植えが終わっている田もある。もうそういう季節なのだ。小さい頃は本当の田舎にいたので思い出がある。稲が少し伸びた頃田圃にはパラチオンという農薬が散布された。害虫駆除のためであるが毒性が強くその後使用禁止になった。パラチオンが撒かれた田圃には小さな赤旗が立てられ、今パラチオンを撒いているという印である。ガキ大将からは今は用水路の魚を採るな、田圃に入って魚を追いかけてもだめだと教えられた。大雨の後など用水路が溢れて魚が田圃の中に入り込む。ほとんどが鮒だったが背びれが見えるくらいの大きいやつを稲を踏まないよう網を持って追いかける。ガキ大将の後にくっついてバシャバシャ走るだけで捕まえたことはないのだがこの時ばかりは魚採り禁止である。今の時代パラチオンは無くとも田圃に入って魚を追いかける子供などいないだろう。田圃を見ながら本当に同じ時代を生きているのだろうかと不思議に思う。塾などなく学校は勉強のために行っているのだからそれでよしと親も思った時代である。三つ子の魂百までと言われるが良し悪しに関わらず相当な部分今でも性格に影響を受けていると思う。ウクライナの子供たちが大きくなって思い出す時一体どんな影響を受けているだろう。これからは過去を忘れるくらいの楽しい想い出を積んで行って欲しい。

贅沢なものを見た後で

　ソメイヨシノが終わり、八重桜も散り始めた。代わって道路沿いの植栽にサツキが咲き出した。ピンク、赤、白と大変美しい。冬が寂しく感じられるのはこういう景色を見るからであろう。先日12奪三振の好投で勝利投手になった大谷選手、昨日はDHでのホームランを期待してLIVEで中継を観た。初回から連続3三振である。思えば贅沢な望みで観ていたのだ。投手なら三振已む無しだが彼の場合はホームランも期待してしまう。これは贅沢な望みと言わざるを得ない。巨人の選手などは例え負け試合でもヒットを打った選手をデカデカと写真入りで褒めちぎる。購読紙からして仕方が無いのだが扱いが大谷選手より大きいのは如何かと思うが。読者全てがジャイアンツファンではないのだから。今日本のプロ野球が面白くないのは大谷選手とつい比較してしまうからである。同じ時代にプレーする選手には気の毒でもある。いやこれは今だけの問題ではない。大谷選手が何かとベーブルースと比較されるように今後の選手たちも大谷選手と比較されてしまう。そして物足りなさを感じるだろう。ウクライナの国民は今地獄を見ている。しかしこれ以下はない。これからは良くなることしかない。ロシア国民が見ているのは天国なのだろか。そうだとしたらもう落ちるしかない。いやロシア国民は今いる所が何処であるのかさえ知らされていない。
　昨日は北海道で観光船が行方不明になった。何年か前初夏にせがまれて北海道にパック旅行で行った。集合場所の成田空港では驚くなかれ20名くらい全員が皆同じ年恰好の夫婦であった。ターゲットを絞って参加募集をしたわけでもない。リタイアした人が奥さん孝行でやってきたのであろう。運動靴が新品の人も多く明らかにこのために用意した感がある。長年苦労を掛けたお詫びの最初で最後の旅だろうと勝手に思っていた。ウトロで二手に分かれる選択肢があった。その一つが今回行方不明の知床半島の断崖沿いに走るものでそちらを選んだ。船酔いするので躊躇していたが観光船は比較的大型で揺れも少なそうだったからだ。ところが大型故かなり沖合を直線的に走り断崖絶壁や滝からは相当離れている。小型の観光船は断崖の傍を出入りしながら絶景を楽しんでいる。今思えば暗礁も多く吃水の浅い小型しか近づけなかったのだろう。捜索が続いているが手がかりはない。あの辺りはちょっと寄ってみる観光地ではない。何かの目的で遠くからやってきた人達だ。多くはどちらかの孝行という目的だろう。何とも痛ましい事故である。

統計の読み方

肩の腱板断裂で手術をした友人からリハビリの様子が時々メールで送られてくる。順調に回復しており何よりだがお医者さんが「腱板断裂と言うのは、70歳超えると30%の人がなっており、その60%の方は痛みも感じない。」とのこと。意味が良く分らない。70以上の日本の人口は2791万人（2020現在）である。837万人が断裂しておりその内502万人が痛みを感じない（自覚症状なし）ということか。あまりに多いし健常者を無作為抽出して腱板断裂を調査したものではないだろう。肩の痛みで来院した人を調べるとその内70以上の人の30％は断裂があったということにが正しいのだろう。これはありそうだが先の数字に60％は痛みも感じないというから痛みで来院という前提が崩れてしまう。多分医者は珍しい病気ではないという事を伝えたかったのだろうが数字は謎である。
　このメールを貰ったとき自分も過去2年くらい肩の痛みが続いていよいよ医者かと思った頃自然治癒（痛みが無くなり砲丸でも投げられる状態になった）してしまい一体自分はこの医者のいうどれに該当していたかという疑問が湧いた。コロナにも似たような報道がある、陽性率だ。自覚症状があって検査した人と念のため検査した人が入り混じる（分母）となると一体この陽性率は何を表しているのか。フランス小咄をひとつ。
ー先生覚悟をしています。本当のことを言ってください。
ー安心しなさい。大丈夫治りますよ。統計によると、この病気は百人に一人の割で助かっています・・・。
ーそれで？
ーあなたはちょうど百人目で・・・そして今まで私はこの病気で誰も治していませんから。
（河盛好蔵訳）

無駄な時間はどうしても

　無駄な時間はどうしても発生する。こんな筈では無かったのにということである。ご近所から馬酔木を庭木にと頂いた（実が生るのではなく花木なのはちょっと残念だが）。折角貰ったのに枯らしては申し訳ないと庭に植えることにした。もう隙間も無いくらいに雑木（植えた覚えのない木）や野菜の苗が植わっており、仕方なしに名も知らぬ雑木を掘り出してスペースをつくることにした。結構根が伸びて撤去は大変だと思っていたが何とかスコップと鋸で片づけた。ところが今度は石が沢山出て来てコンクリの破片やこぶし大の石がゴロゴロである。これが森友ならクレームをつけて値段を負けさせるところだが30年前の建て売り、今更言いようがない。次に出て来たのがＵ字型をした鉄筋。多分基礎工事の時の鉄筋の余りだろう。引っこ抜こうとしたがビクともしない。両端は土深く埋まっている。悪戦苦闘をして3時間、腰が痛くなって諦めようとしたが50㎝くらい掘ってようやく引っこ抜けた。人力ではＵ字をＩに延ばすことも出来ず意地の鉄筋堀りだった。片側の端には継手だろうか直方体の突起がありこれが引っ掛かかって抜けなかったのだ。鉄筋は真っすぐ伸ばせたら２ｍくらいあった。家を買った時は美しく平らな庭だったがまさか庭に建設残材を埋めてあったとは。たかが花木のために随分無駄な時間と労力を費やしてしまった。もう何があっても30㎝以上は掘らない。今後に生かせる経験にはなったがもう何も植えないだろう。今日は全身の筋肉痛。家内のために取りつけた手摺がこんな時に役に立つとは。残り時間を考えると無駄な時間を費やすことはできないのだがだからと言って有用な時間を思いつかない。不要不急の外出は控えているが宅内で重要至急などということはまず無い。あったら大変である。

初老あるある

　釣り場でも市民講座でも出会うのは殆ど同じ年代の人達だ。体調とか病気の話がよく出て来る。特に病気については最近知り合いがこういう病気になったとか言うと必ず俺の知り合いも同じ病気でどうなった、こうなったという返し、あるある。最近腰が痛くってなどと言うと半分以上の人が自分もそうだ特に冬場は、あるある。ファーストフード店員の説明が速すぎて聞き取れない、これもある。集団で出て来て歌い踊る歌手、殆ど何言ってるか分からない、名前なんか覚える前にこちらがくたばるよ。3人を超えるとだめだね。でも彼らは懐メロには出てこないよ。全員が揃わないから。揃っても老け顔には差が出るだろうね。韓流ドラマがやたら放送されるが韓国女優の顔の見分けがつかない。皆美人だけどね。3回目のワクチンは殆ど済ませている。4回目の覚悟もできてるね。通販番組に出て来る女性の声はかん高くて皆同じだね。あれはＡＩが喋ってるのかね。でもネットショップよりTVの通販番組だね。何せ商品が全て中高年むき。買い物には考える時間が欲しいよね。ナビの案内につい応えてしまうね。このところ喋る相手がいないから。
　ＴＶで放映されるスティ－ブン・セガール、絶対負けないね。クリントイーストウッドの映画は必ずひねりがあって全て平均点以上。ローハイドのロディの頃は今の姿が想像できなかったよ。立派になった。フェイバーさんはだいぶ前に亡くなったろう。ウィシュボーンはもっと年が行ってたから多分亡くなっているよ。ララミー牧場やカートライト兄弟、ボナンザ、拳銃無宿やライフルマン、もう一度再放送してくれないかね。今でもララミー牧場のジェスハーパーが一番の早撃ちだと思っているんだが。
　マリウポリのアゾフスターリ製鉄所の攻防は名作映画スターリングラードを思い出す。映画のスナイパーには信義があった。現実はもっと残虐非道なのだろうが。昭和世代のつぶやきぼやきは止まらず。