太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

値上げの春(2)

2022-04-02 09:00:42 | 日記
 ロシアが輸出天然ガスの決済をルーブル建てで行うと言い出した。国際取引の決済は通常基軸通貨であるドル建てあるいはユーロ建てで行われる。ロシアの対応は勿論ルーブルの暴落(ユーロ安)を食い止めるためだが決済通貨の為替レートはその国の実力を見誤らせる。
 かって今より円安の時代があった。丁度そのころ日本の太陽電池は圧倒的に国際競争力を有し、価格面でも他国を圧倒し欧米の市場は70%以上を日本製が占めた。自社も世界のシェアで1,2位を争う日々が続いた。製造部門は原価力のある自署のおかげであると誇り、営業部門はいち早く世界の市場を狙って来た成果であると言っていた。太陽電池以外の本業部門では米国向け輸出比率が高い製品を作っておりこちらも莫大な利益を上げていた。
 そんな中異論を挟む者が居た。当時の上司で大変頭の良い人で切れ者だった。為替レートで稼ぐのは一時的なことで何れ破綻する。それを実力と思ってはならない。円安になると輸出は利益が上がる。しかし日本は資源小国で原材料は輸入に頼らざるを得ない云わば加工貿易の国である。円安はこの原材料輸入価格を押し上げるから何れ影響が出て来る。円高や円安は長い目で見れば相殺される。製品が国内消費に向かうなら別だが一時的な輸出利益を実力と思ってはならない、と。この上司は後に社内で経営陣と衝突を起こし辞めてしまったが切れ者故に上が馬鹿に見えたのかも知れない。偉そうなことは言えない。当時は自分も通産省(当時)と面談する時など如何にも実力であると言った風を装っていたように思う。その後円高に進み、日本の太陽電池メーカーは国際市場で衰退していき中国メーカーに取って代わられた。今再び1ドル120円を超える円安になってきたが一度市場から退場すると簡単にそうですかと元の位置に戻ることはできない。
 石油やガス、小麦なども加工して再び輸出製品になるなら春の値上げラッシュも多少緩和されるのだろうがそんなうまい話はない。