太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

テルヒン・ツァガーン湖

2020-02-15 08:51:12 | 思い出話

ブログで一部紹介したことがあると思うが。モンゴルに太陽光と風力のハイブリッドシステムを設置したことがある。僻地のソム(村)3か所に設置した。50日に及ぶ風呂なし生活だった。泥棒に摑まりそうになった話、急性アルコール中毒になって命がけだったこと、オカマに迫られたことなど珍しい経験は山ほどあった。その中の一つアルハンガイ県にこの湖はある。ウランバートルの西600kmくらいに位置する。湖の傍にソムがありその中に大きめの診療所があった。ハイブリッドシステムはここを電化する。勿論村にはディーゼル発電機で電気の供給はされているが1日数時間の時間給電であった。旧ソ連との約束で燃料ディーゼル油は永遠に供給されるとの約束だったらしいがソ連崩壊後契約は反故にされメンテナンス部品も手に入らなくなったとのことで故障はしゅっ中である。村の近くにテルヒーンツァガーン湖があり1日の工事が終えるとその支流や湖に釣りに出掛けた。夏場だから5時に仕事を終えても夜10時くらいまで陽が昇っている。持って行ったルアーで釣るのだが50~70cmクラスのレノック(ニジマスの大きいやつ)、ノーザンパイク、30cmくらいのヨーロピアン・パースなどが一投ごとに釣れる。近くの別の支流では知人が1mを超えるイトウを釣り上げて土産だと持ってきて皆で食べようとなった。

崩れかけた古いロシア映画に出て来るような病院跡を宿泊所にしていたがある日珍しく若い白人のお嬢さんがやってきた。ヨーロッパから来たツーリストでウランバートルで知り合ってグループを作ってトレッキングのためにやってきたと言う。今でこそ観光地化されているが当時は外国人は殆ど見掛けないし、日本人も初めて会うという村人が殆どだった。そのグループの一人の若者が昨夜から行方不明になっているという。テントでキャンプ生活しているとのことだ。貧乏旅行で捜索しようにも車が無いとのことで我々のランクルを見つけて一緒に探して欲しいと言う。勿論この車はウランバートルで運転手込みで我々がチャーターしたものだからタダではない。運転手に事情を話すと、湖の反対側には熊も出るし無事ではないだろうと素っ気ない。金は払うからと説得して捜索に出掛けた。近くに火山の火口があり底に落ちたのではと思い捜しにも行った。1日探したが残念ながら見つけることは出来ず諦めた。部下の一人が捜索隊は職権乱用で不公平だという。何がと聞くとぎゅうぎゅうに詰め込んだランクルの中で私が何時も可愛い娘の隣に座っているからだという。フランス人だttが確かにスパイ映画に出て来るようなピチピチの革ジャンのような上下を着ていて可愛い娘だった。こちらは車から最初に降りて皆に捜索の指示を出す役目だったからドアの傍に座ったが言われてみればそうだったかも知れない。これは不徳の致すところだ。帰路チンギスハーンの都カラコルム遺跡のエルデネ・ゾー寺院近くの宿に泊まったところで若者のグループに偶然再会した。迷子の青年はどうなったと聞くと、翌日にひょっこり帰って来たが心配して捜索もしたのにと怒ったらグループを離れて行ってしまったとのこと。急造のグループではさもありなんと思った。

この頃の海外での様々な奇異な体験はブログの初期2015/5月頃に沢山出て来る。普段読み返す事はないのだがちょっと当時のブログを覗いてみるとユーモアや洒落、皮肉物、正論物など中々よく書けている。言い換えれば今は駄筆が多いということだろう。ついでにグーグルマップを見たらテルヒン・ツァガーン湖周辺は手に取るように見ることが出来る。釣り人も多いようだ。観光客も多く捜索で覗き込んだ火口も観光スポットにもなっている。当時は仕事と言うより冒険旅行の感が強かった。今では出張で出掛けた僻地の奥地もグーグルマップで簡単に見ることが出来る。冒険の要素ゼロだから普通の海外出張になっているのだろう。20世紀おじさんの思い出は皆今は昔物語である。



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