「(公財)自然エネルギー財団」より資料が配信されてきた。1編は「九州エリアにおける太陽光・風力発電の出力抑制に関する分析結果」他は「再エネ特措法に対する提言」である。同団体は2011年SBの孫正義氏によって設立されたものであるが当初は利益代表の権化であるが如く扱われていた。しかし、年を経るごとに報告書は提言は時宜を得たものとなり内容的にも充実してきた。これほど短期間に成長してきた団体は稀である。
国内では1987年に当時の京セラ社長稲森和夫氏が代用世話人となって設立された任意団体「太陽光発電協会」がある。後に「太陽光発電協会」と改称され、2008年には任意団体から一般社団法人に移行した。懇話会設立は当時様々な陳情を中央省庁にお願いする中で、役所から、答えようにも窓口が無いような団体ではどうしようもない。まさか個別の会社にお答えする訳にもいかないというアドバイスから発足したのではあるが、政策提言をするようになると、任意団体の提言を国が受ける訳には行かないと冷たくあしらわれた事もある。ところがいざ法人格(当時は「社団法人」)を得ようとすると同様な活動をする団体が他に在れば認められないということだった。後に状況は変わったが似たような活動団体は資エ庁所管の財団法人「新エネルギー財団」NEFである。後に一般社団法人に移行したが国の補助金の執行機関であり天下りがトップに座るなど圧倒的存在感を示していた。特に国の力は強かった(補助金を通じて)時代であり活動も新エネ普及の最先端を走っていた。
国際的に自然エネルギー財団と似たような活動をしているのはIRENA(国際再生エネルギー機関)である。2011年の設立で同時期ではあったが、確かドイツのNGOやロビイストにりその前身活動があったように思うが今や世界158ヵ国が加盟している。団体設立の経緯からして活動自体を偏った信条に基づくものではとの危惧もあった。しかし今やその刊行物はIEA(国際エネルギー機関)の該当物を凌ぐ内容である。IEAがWorld Energy Outlookなど早くとも年刊であるのに対しIRENAは時宜に適ったレポートを公表する。内容的にも年々素晴らしいものになってきた。自然エネルギー財団とIRENAは似たような経緯で団体としての力をつけてきている。
両団体に共通するのは豊富な資金力による活動、例えば外部識者やコンサルを有効に使うなど貧乏団体である太陽光発電協会では真似できないところもあるが、基本は活動自体を何に依拠しているかによる。国内にあっては自然エネルギー財団はコンサル的な活動をしておりカバーする範囲も広く特定の利益代表(自然エネルギー全般の利益代表とも言えるが)ではない。一方、太陽光発電協会は再エネの中でも太陽光発電に特化しており会員構成からして産業の利益代表と言える。活動自体が会員企業のボランティアに支えられており、外部コンサルに委託した調査などは資金面で限界がある。しかし、産業としての経験や技術力を背景に意見を言う団体としては唯一無二である。産業の知見、立場を有効に使って自然エネルギー財団とタッグを組めば相乗的な分析や提言が可能だと思う。特に技術的なところで資エ庁の下請け的作業が多く見受けられるのは惜しい。NEFは一定の成果を上げながら次第に時代の要請からずれて行ったように思う。どのような団体でもその時代の要請に応えるように進化していかなければならない。協会は他の団体と協業を試みる時代に入っている。