太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

痛快だった市民講座

2019-07-14 07:51:38 | 日記

昨日の市民講座は「移民政策の課題」がテーマであった。現役の慶応大学の教授であるが分かり易く明快な解説で痛快と言えるものだった。端的に言うと「労働力不足は国内問題である」という主張だ。ここで国内問題というのはまずは国内の労働力を最大限に活用せよ、守旧の社会制度が不足の最大要因であると。例として国内大学の博士課程を終えた人の就職率は40%を切っている分野もある。一部人気分野は80%くらいあるが多くは5、60%である。博士課程を出ても就職難、人材が生かされない社会で、そもそも海外から高度人材をというが国内で使い切っていないではないか。先の入管法改正で特定技能については無期限(2号)となっており永住許可のハードルが大幅に下がった。永住をその国で一生住む人と規定するなら事実上の移民政策と言える。何処の国でも保守党は移民に反対するが日本は逆である。同じように保守は賃上げを抑制しようとするのが通例であるが、日本は保守が賃上げを言っている。特異な国と言わざるを得ない。

技能実習生の対象職種を拡大し、在留期間も最大10年となる。これは単純労働が主だが、彼らが働いて税金を納め、GDP向上に貢献し、その上社会保障の恩恵に与らないそういう人を望んでいるのか。新たな在留資格による受け入れの根拠として5年後の不足人数を示した(たしか国会でも出た)表で、建設業で現在2万人不足が5年後には21万人不足となっている。多分一部のヒアリングを全体に適応したのだろうが正しい推計とは言えない(教授は過去内閣府の統計委員会の室長をしたことがある)。労働市場と人口問題は分野ではなく時間軸で捉えるべきである。例えば短期では五輪のための建設労働者が不足する、中期では「1億総活躍」(今では色褪せたスローガンと皮肉を言っていたが)では介護、保育、高度人材が不足する。長期では深刻な人口減少問題へのお対応という具合に。そもそも世界の殆どの国が人口減少に向かっており、外国人材で補完しようとするのは無理がある。例えば中国では2100年に人口が4億人減少する。この中国が海外に人材を求めたら日本どころか世界中が労働力不足になる。現在の硬直的(昔ながらの)な社会制度を維持したいがための外国人労働/移民政策は不適切であると。長期的視点に立って是非を見極めるべき。何とも歯切れ良く問題点を指摘していく。Q&Aで、

Q.入管法の改正の時に一体誰が人材不足と言っているのか不思議でしたが今日の講義で分かりました。痛快な講義だったと思います。質問ですが先生のような正論は何故主流にならないのでしょう。人口減イコール労働力不足といった単純な図式に騙されているのでしょうか。是非国会の参考人か何かで意見を述べるべきではないでしょうか。

A.国会で参考人などで意見具申しても結局与党が多数だから結果は変わらないのです。一度野党から入管法のことで国会で喋ってくれないかという依頼もありました。しかし国会に法が提出された辞典でもう遅いのです。私はこの問題をそれより数年前から出版もし考えを述べてきました。依頼してきた野党党首の方に、その時委員会などで議論していたら様子も変わったかも知れません。その頃貴方は何をしていましたか。今となってはもう遅いのです、とお断りしました。これ以外の問題でも委員会(審議会)に上がった時点で既に結論が決まっている場合も沢山あります。委員会ですら議論の場ではなくなり、著名な委員の方々がお墨付きを与える場に過ぎないのです。これが今の社会です。参院選も近いですね、良く考えて投票しましょう。(太陽光発電に関する審議会や委員会でも似たようなことは多々あった。議題になった時結論は出ているのである。多くは慶応の先生ではなく東大の著名な先生がお墨付き附与に貢献する。)

考えたら与野党ともに投票先が無くなってしまった。それにしても入管法や委員会(審議会)というのもに対する考えが全く同じだった。こういう先生ももいるのだ。NHKの日曜討論にも出たが入管法反対の席に座らされ数分の決められた時間に意見を言わなければならず、討論では無かった。単純に賛成、反対の色分けなどできない問題であると多少不満も述べて、最後に、あいつは煩いから呼ばないというのが最近の委員会の通例ですと自虐ネタを付け加えて終了した。