それは我慢だろう。大相撲の解説に荒磯親方(稀勢の里)が登場した。この日遠藤がインタビュールームで取材に応じた時、口が重く殆ど何も喋らなかった。荒磯親方はアナウンサー泣かせですね、自分もそうだったと笑いを誘った。力士があまりベラベラ喋るのは伝統として良くないこととされているのだろう。荒磯親方も普段は饒舌でジョークも飛ばすと近親者が語っているのは本当だった。放送の終わりに感想を聞かれ、楽しかった喋り足りないくらいですと答えていた。ケガをして出場していた頃とは大違いである。思ったことを喋らないのは相当我慢強くなければできない。
二階幹事長も公の場では随分口が重い。偶にとんでもない発言をして注目されるが、それを説明したり釈明する姿は見たことがない。言いたいこと、思っていることを直ぐに口に出すのはあまり上手な生き方ではない。もし二階さんと麻生さんを並べて間に自分を置いたら圧倒的に麻生さんよりになる。今思えばサラリーマンとしては賢い生き方ではなかった。自己顕示欲が強すぎるというか腕力で勝てないから言葉に頼るというか、黙っていたら誤解されるというか、我慢が足りないというか、子供の頃から口は達者と言われてきた。男は黙って何とかの正反対だ。振り返って損得で言えば損7得3くらいだろう。あの一言さえなければという事が幾つもある。お詫びして発言取り消しなどは政治の世界ではできても普通の人生ではあり得ない。定年後人と接する機会が極端に減り発言で失敗することは無くなったがこれは物理的に相手が居なくなったためで抑制しているわけではない。その証拠に東京に出て人と会った時などここぞとばかり喋ってしまう。溜まった何か、多分ストレスだろうが、吐き出すように喋ってしまう。その後ちょっとスッキリして心地よい疲労感に襲われるのは何か悪い物が出て行ったとしか思えない。ゴーンさんも拘留中は相当溜め込んだだろう。
この性分は子供の頃から変わっていない。関取とさんまを並べて間に入り、次の人生は関取寄りでやってみようと思う。