一足早い除夜の鐘ではない。Ghosn has gone である。驚いた、ニュース速報まで出たが日産のゴ―ン会長が代表取締役とともに逮捕された。有価証券報告書への虚偽記載で金融商品取引法違反の容疑と会社の金の私的流用疑惑とのこと。要は役員報酬を低く記載したこととワンマン故の私的決裁であう。サラリーマンならタクシーを使っただけで経理から理由を質される。もし報道が事実であるならゴ―ン氏の不正を黙認していた取り巻きが必ず居る。こんな単純なやり方で通る筈がない。もし通ったとしてもプロである監査機関は何をしていたのか。従業員のクビは切れても自分が切られることを怖れる連中ばかりだったのか。
ゴ―ン氏については昔会社にも信奉者の役員が居てゴ―ン氏の著書を輪読して勉強会をしていたことがある。確かに斬新な考えや方法が盛り込まれていた。しかし個人的にはもう一つ信頼のおけないところがあった。殆ど感情的言いがかりだが顔つきが映画で見た悪役と似ていたからだ。勿論ゴ―ン氏が名経営者であると誉めちぎった本も何冊も出版されている。事実経営者として抜きんでた才能を持っていたのだろう。しかし名経営者である前に人として失格していた。今となっては褒め称えていた奴出てこいと言いたい。今回は内部通報により地検が何カ月も調査していたという。恐らく社内では不正に気付いていた人は大勢居るのだろう。ゴ―ン氏は多分金に物を言わせて世界から凄腕弁護士を雇うだろうから地検特捜部のエリートとの戦いは見ものである。
日本の組織のトップに外人が座るというのは企業でもスポーツの世界でもメリットデメリットがある。メリットは情や世間体を気にせず思い切った採配を奮う事ができるということである。会社など大きくなるに従い役に立たない社員が高給取りになる場合がよくある。気づいていても中々降格したり転籍させることができない。今までの実績やら本人の生活環境やらが直ぐ頭に浮かんでしまう。工場の閉鎖などになると地域社会との関係がまず思い浮かぶ。リストラでV字回復を果たす手法は日本人は苦手である(偶に居るが)。ゴ―ン氏が、多様化の中のアイデンティティと言った時のニュースが流れた。氏の経歴を見ると多くの国で活躍しているが、裏を返せば多国籍軍、何処かの国や地域へのロイヤリティはどうなんだろうと思ってしまう。それが冷静、冷酷な判断の源泉かも知れないが・・・。余談だがサッカーや野球の監督に外人が就任するのは、時々情に流されない冷静な判断が必要な時なのだろう。
来年の新天皇がパレードに使う車をロールスロイスから国産車に切り替えるようだが、これで日産は落選だろう。敵失でトヨタの勝ちである。いやそれでは如何にも賞罰人事にも似て批判が起こるかも知れない。ここは再びロールスロイスかアメ車にして一旦中立を装うべきか。いやアメ車は政治利用に見えてしまう。元のロールスロイスか。経済誌や評論家が名経営者と謳うのは現役の人は要注意である。これから先何が起こるかわからないのだから。名経営者は歴史の中から拾う方が無難である。それにしても金欲というのは際限なく膨らむものだと改めて思った。もういいだろうという報酬も本人にとっては不足なのだろう。日本にもカリスマ経営者とかワンマン経営の大企業が幾つかある。人の振り見てわが身を直せ、内部告発があってからでは遅いぞ。