太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

もういい加減勉強したらどうだ

2018-01-26 10:34:18 | 仕事に関すること

新聞の1面を使って「再生エネ 日本は周回遅れ」の記事が載った。新聞社の編集委員が書いたものだからスポンサー記事ではない。もし宣伝で出そうと思うと全国紙の1面だから数千万はかかるだろう。見出しは河野外相のIRENAでのスピーチの引用であり、大手新聞社の何か目新しい着眼点があるのかと思い読んで見たが子供が書く記事である。相変わらず①再エネは出力が不安定である。②FITの賦課金が国民負担増大③太陽光はFITで普及が増大したが競争原理が働いていないため発電単価が高止まりしている④②や③の原因は各国に比してFITの買い取り単価が高い。

まあ良くこれだけよく化石論的理屈を並べられたものである。極めつきはドイツの場合北部の風力発電を需要地の南部に送る送電線に問題があり、余剰電力を隣国(国際連繋線)に売るなどしている、とある。記者は電気に色が付いていると思っているのだろうか。系統には様々な電源がぶら下がっており、何が余剰を発生しているのかなど分かりはしない。余剰を隣国に売るのは経済原理である。売ったほうが儲かる時には売る。儲からない時は経済性の低い電源から調整(下げ)して行く(メリットオーダー)。再エネは限界コストがゼロに近いから当然切り離して調整したりすることは無い。調整力のある電源でしかも限界コスト(燃料代と言っても良い)が高いものから調整や切り離しを行う。持って行き場のない風力だから隣国に売るのではない。

FITの買取単価はFIT制度自体が再エネの普及を目指したものであるから、当然再エネの普及率との相関がある。低圧で2012年に太陽光をドイツと比較してドイツ22円、日本40円、2016年ドイツ9円、日本24円とグラフ化している。普及率のファクターも無ければ、ベースとなる電気料金の比較も無い。どう読んでも日本の再エネの遅れは再エネ側に問題があるとしか読めない。FIT賦課金の国民負担は17年度で2.7兆円、30年度には最大4兆円になると試算もしている。2019年には低圧、2031年には高圧でFIT買取期間が終了したシステムが出て来る。それらは発電自体は継続している。一体幾らでその電気が市場に出回るのか。当然電気料金には下げ圧力として働く。この効果を試算(業界ビジョンでは試算した)せずして国民負担の事ばかり煽るのは将来を過つ原因となる。

大手紙が未だにこのレベルの話を何千万も掛けて掲載すること自体が周回遅れどころか逆走している。その先の未来を描け。