ゆっくりかえろう

散歩と料理

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あの世とこの世の交差点 1

2013-08-14 | さんぽ
 観光客のこない素顔の京都

 これだけ沢山の人が毎年 京にお越しになりますが

 素顔の京都を覗いてみようとする人は少ないように思います


 去年は肉親に旅立たれ 元気な頃母が毎年お参りしていた盆の行事を

 今年は私がやってみようと思いました

 
 京都東山の地 昔は鳥葬の地 鳥辺野(とりべの)へのいり口に あの世とこの世を分ける交差点があります。

 その場所のそばには 盆の初め 人々が先祖の供養の準備の為 こぞってお参りするお寺があります。

 この日は異常高温注意報が出され よほど行くのを躊躇いましたが

 翌日はこの日より 更に厳しい気温上昇の予想が出ており

 やむなく電車とバスを乗り継ぎ 祇園の外れ 五条坂の下にある このお寺にたどり着きました。

 道筋は案外短くドアからドアと歩く距離は最短でたどりつけました。

参拝の人は多いですが お寺の受付はスムーズで効率的で 水塔婆に父母の戒名を書いて

それから次 あの世へ届ける鐘つきの順番待ちに並ぶのが おおわらわでした

 

鐘つき自体は すぐに終わる行事なのですが 順番に並ぶのがあまりに長蛇の列で

気が遠くなるような長さで お寺の門を出て路地(ろうじ)を出て先に先に交差点を曲がり

 ぐるっと大きなお寺を回りこみ 裏側の更に先へ これを見たときは気が遠くなり
自分の体調を考えて

「やめよかな・・・」と思いましたが 沢山のお年寄りも多数並んでおられるし

とりあえず 並んでみました。

 気温は10時で30℃オーバーでしたが 幸いうす曇りで建物の影もまだ出る方向だったので

 なんとか無事終えることが出来ました。

 人々は行儀よく譲り合って並ばれています。

 おかげでスムーズに引導鐘を突くことが出来ました。


 あの世に届ける引導鐘については ここだけではなく 他にもあります。

 上方落語「天王寺まいり」にもそのエピソードがありますね



 鐘つきの後は お塔婆を水で清め 僧侶にお預けして終わり あとは境内をすこし見て周ります。

 このお寺は閻魔庁へいくいり口があって 平安時代のお公家さま 小野篁(おののたかむら)が

 閻魔様のお仕事の手伝いに通われたという伝説が残っていて あの世への抜け道の井戸があります。

 (まるで朱川湊人さんのあかしや商店街みたいでしょ?)

 

お寺自体は平安時代創建のとても古いものだと思われますが やがて今は

 臨済宗建仁寺派に属し 行事のない普段はとても静かで 僧侶も見かけず

 地域の人がお守りされているお寺です。(昔はとても大きかったそうです)

 寺内にはあの世にまで聞こえる引導鐘(いんどうがね) あのよに抜ける井戸

 お岩明神などがあります


 さらにお付き合いを・・・

 
 


 

 
  

 

あの世とこの世の交差点 2

2013-08-14 | さんぽ
 閻魔帳 めくる風さえ 生ぬるく・・・・


 夏日和 衣冠を脱ぎたい閻魔殿

 
 風が吹き これが地獄のあまり風

 とにかく熱いです(暑いではありません)


 野相公も 暑さで冥土(めいど)へ逃げ帰り・・・


 この日ばかりは お坊様が涼しそうで うらやましかったのですが その実は

 直射が当たって却って暑いそうです。

 実は私は去年もお盆にここへ来ておりましたが 旧盆まんなかの13~15日では行事には遅く

 閑散としており 出遅れたのを知らされました。

 寺内のお岩明神のいわれに詳しい人と会うためには 7~10日に間に合うように来たかったのです。

 幸い今年はお社に詳しい僧侶にお会いでき お話を聞けました。

 

お社に失礼なので まともに写さず足元しか撮っておりません。

勿論丁重に合掌したあとです。

お話はこうです・・・

この近所(たぶん五条)に 文楽の人形を持っているお宅がありました。

大事に預かっておられたようですが この人形に宿った念が強く 障りがあったそうで

異変があり その結果 とても一般のおうちでは預かれないと判断し このお寺で

丁重におまつりすることになったそうです。

お社の中は 文楽でつかう頭(かしら)を始め 仕掛けや全部一式(お岩様は

平常の顔から怖い顔に仕掛けで変わりますね)がおまつりされているそうです。

お話を聞くだけで背筋が寒くなってきました。



これはもうひとつの六道の辻

六道の辻は先ほどの 六道珍皇寺の境内とする説と 西福寺というお寺の角とする説があります

 南へ行けば程なく 平家で有名な六波羅蜜寺があり 一帯が古くからの平家の地でもあると
しれます(西福寺は弘法大師ゆかりの真言宗)

本来六道とは 地獄 極楽 畜生道(動物界) 修羅道 餓鬼道 現世と六つの世界で

死んだ人を選り分けるところ 閻魔様は裁判官で 鬼が役人です

お地蔵様はその案内人とも 閻魔様の化身とも 守り神とも言われ そこから六地蔵信仰も生まれます。

西福寺は小さなお寺ですが とてもアットホームな感じです。



暑さを避けるように ひやしあめを売っている露天を見つけました。地域の人が出されているようです

水分補給にまた足を休める為に 立ち寄って一休み

ひやしあめは昔からの飲み物で 生姜を溶かし込んだあめ湯を冷やした飲み物です

冷たい飲み物ですが 生姜は身体を内部から温め 身体に良いのです

地域の人と世間話をしていると 幽霊やお化けの話になり このあたりはそんなモノは珍しくはなく

 日常茶飯事でなくなった人や 何か分からないものの目撃例はあとをたたず 夜だけではなく

 まっぴるまでも出会うそうです。

”ああこの人は 見える種類のひとなんだな”と思い聞いてみると 案の定そうでした。

でもここではそんなことは関係なく 誰でも見えるものも沢山通るそうです。

本当ならそうとう怖いな・・・・

汗がどんどん引いてゆき 冷や汗が出てきます



これはそんな話のひとつ 昔からある あめ買い幽霊でおなじみのお店

お話を書いていると きりがないので興味のある人は「飴買い幽霊」又は幽霊飴で調べてください (江戸の話にもあります)

この辺はむかーしから こういったお話が いっぱいあります。

更に続きます おつきあいを



 



あの世とこの世の交差点 3

2013-08-14 | さんぽ
 さてミステリーゾーンの真っ只中から離れるには 一番俗なところへ行くのが

 昔からの習いです

 六道の辻のだらだら坂を西へ下っていくと 花街に出ます

 
 祇園では南に位置する宮川町を通って南座まで抜けました

 途中食事をしようかと思いましたが 昼間の花街はしんと静かだし

 観光客向けのところへはいきたくないので どんどんやり過ごし

 (ご縁がないともいいます)あまりに暑いので 途中のスーパーで

 涼んでみたり(勿論買い物はしましたよ)ぶらぶらと・・・・

 

 京都は花街であっても 崩れたところがなく襟を正した よそゆきの顔が常にあります。

 そこが庶民的な大阪とは違うところです。

例えて言えば 正座と崩した座りかたの違い みたいな・・・

花街を支える人たちは どこまでも伝統と格式を守ってゆきます。

それはお客さんも同じです。

やっとたどり着いたのは 阿国踊り(歌舞伎の原型)の故地に立つ南座の向かいの

古い欧風レストラン

案内嬢が奥の涼しい席に案内してくれたのに 敢えて暑い日の当たる表の席に座りたがる 変な客でごめんなさい。

ここに座ると自然光が料理をきれいに見せてくれるし 外の景色を眺めていると

飽きないのです。

しかしそれにしても ここ数年の日本人のスタイルの良さ 容姿の美しさはどうでしょう

モデルさんが街中にあふれていて 美しさなら欧米人にも勝るとも劣らなくなりましたね

 少なくとも観光に来ているアメリカ人や 欧州の人より スタイルは素晴らしいです。

 

そんなことを考えながら 汗が引いてひんやりした風に吹かれていました。