ゆっくりかえろう

散歩と料理

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2011-08-28 | フィクション

 ネイビーさんは現在電脳世界の住人だ
 パソコンだって携帯だって ネット環境の中ならどこへだっていける
 俺がアクセスするインターネットの画面に いつでもどこでも現れる

 一人になってからこっち 人嫌いになった俺には 久々の話し相手だ
 「ネイビーさんは ネット環境の中ならどこへでも行けるんでしょう?」

 年長だと思ったらこちらも言葉が丁寧になる 失礼があっちゃいけない

 「なのに どうして僕の傍を離れないんですか」
 「洋一(俺の名前)が仕事ヲしている間は あちこち行ってるヨ」
 「それに洋一のソバが一番居心地がいいのサ」

 「どうして?」
 「私がこの世に現れた日を 覚えてイルカ」 「あの日 何故 洋一を見ていたか 判るカ」

 「お前の食事をする姿は 我々から見れば すごく魅力がアルンダ」

 「我々餓鬼は けちんぼで 強欲で我がままで 食べるコトに固執スル」
 「意地汚いし 食べ物を粗末にしたり 感謝をしなかったから 餓鬼道にオチタンダ」

 「餓鬼が乗り移りやすいのヮ かつての私のような人間 食べ物を粗末にするとカ
 犬食いをしたり くちゃくちゃ音を立てて食べる人ダ 」
 「マナーの悪い人ですか?」
 「作法とか行儀というのは 人間だけができる振る舞いナンだ」

 「そういう人間は 私達の言いなりになるし目になるが 来世は人間ではなィ」
 「生まれ変わって 来世は餓鬼道か畜生道へいくだろウ」

 「洋一は食べる前ヮ いただきますと手を合わせるだろウ」
 「はい」
 「姿勢よく背を伸ばし 行儀よく静かに食事をするだろウ」
 「自然とそうなりますね」
 
 「そして食べ終わったら ご馳走サマというだろウ?」
 「子供のときからの習慣ですから」
 「それが食べるものへの感謝の形ダ 殺してしまった命への礼儀ダ」

  ・・・いやーあの時は じろじろ見られるのが嫌で あまり誉められるような食べ方じゃ
 なかったような・・・・怒ってたし 恐い顔してたし
  まあ 、つとめて見苦しい食べ方はしないように躾けられているし
  犬食いはやろうと思っても出来ないけど

 「あのぉ、僕は年寄りに育てられたんで 食事のときにはうるさく言われました」
 「でも人並みだと思います そんなに褒められるほどのことじゃあありません」

 「今のニンゲンはそれさえできないやつガ多いンダョ」

 「餓鬼はいつか人間に生まれ変わりたいンだ 自分を助けてくれル人間を選ぶんダ」
 「君は餓鬼に好かれても けしてとり憑かれるわけじゃないヨ」

 そういえば あの牛丼屋の客は ほとんどの人が犬食いだったかも
 そんなのちかごろじゃ普通だよね

 しかし・・ 
 食べるところを チラ見されて 怒っている場合じゃないぞ
 餓鬼達に魅入られていたのか・・・

 どうりでみんな一様に異様な目つきだったし しつこかったなぁ


 魔の気配を感じて 背筋がぶるっと震えた