ゆっくりかえろう

散歩と料理

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2011-08-22 | フィクション

 仕事が終わると一目散に帰宅する
 今日は外食するのはやめて コンビニ弁当を買って
 家で調べモノをすることにした
 あの化け物をWebで検索してみる

 正体がわかれば 退治する方法もわかるかもしれない
 
 しかし妖怪にはそれらしいものはいないし 未確認生物や
 絶滅した動物でもないらしい

 あとは空想の生き物や 西洋の魔族と東洋の化け物も検索してみたが
 どれも同じものが見当たらない

 ふと 今日新しくした携帯電話が鳴った
 誰からだろう? 
 いつもなら 相手を確かめてから電話に出るのだが
 今日は誰からか確かめもせず 携帯を開いた

 「ぐぐぐぐ はじめまして というか 話したのは初めてダナ」
 「オマエが知りたがっているものの名前を教えてやろうカ」
 ??なんで今俺がネット検索をしているのかわかるのだろう
 俺は窓を開け 外を見渡したり 部屋の玄関までいって
 ドアの外を確かめたりした

 「ココダ ココ」  ??
 パソコンの画面の向こうに あの見覚えのあるやせ細った
 蒼黒い皮膚の気持ちの悪い生き物が 話しかけてきた

 「うわーっ」
 俺はその場でのけぞった弾みで 椅子から転げ落ちて
 したたか頭を打ってしまい
 そのまましばらく気絶してしまった。


 パソコンの画面は 青く光り ゆらゆらと揺れて 意識の薄れ往く頭に
 ぼんやりと焼きついた

 俺は何かに掴まれる夢を見たが そのまま真っ黒で大きな穴に
 落ちてゆく感覚を味わいながら 身体も何もかも溶けてしまったように感じて
 観念してなすがままに身を任せた