ゆっくりかえろう

散歩と料理

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2011-08-17 | フィクション

夏だというのに悪寒がして 震えが止まらない 俺は一目散に安アバートに逃げ込み 布団に潜り込んで 早めに寝た。


夜中 どこからか 動物の鳴き声がする。
バツイチ独身サラリーマンの俺にとって ペットとは無縁だ。
猫はおろか金魚だって飼う余裕はない。

そんな金があれば 元 妻に慰謝料を支払わなけばならない。

    ぺちゃくちゃ  ぎー ぎー

    ごしょ ごしょ ごしょ

なにかいる!

?????
不意に目をあけると 暗闇にぼうっと 部屋の隅に灯りが動いている。
????!

昨日帰ってから部屋の隅に放り出したカバンが光っている。

カバンのファスナーが半開きになって 奥から光が漏れている。

グチャグチャグチャグチャ

何かモノが腐ったような 嫌な だけど以前嗅いだことのある
懐かしいような 悲しい不思議な臭いがする。

近所の飼い犬が けたたましく吠えた。

俺は重い体を引き起こした。
昨日 急いで布団に引きこもったせいで 服を着たまま着替えないで寝たらしい。