ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

ドイツでの農場体験(11) <別れと出会い >

2014-03-05 22:49:01 | 日記
2013年9月20日(金)、ここラーデンに到着して1ヶ月が経つところです。朝9時、同僚でもあったポーランド人の娘(こ)が母国へ帰ります。乗り合いタクシーのようなマイクロバスが迎えにきました。見送ったのは私一人でした。ホスト家族との別れは前夜行っていたので最後の見送りはしなかったのでしょう。この日は私も含めて全員シンミリした空気に包まれていたように思います。ホストの奥さん(Eさん)が言っていました。この別れがつらいのです・・・と。2・3週間程度の滞在者であれば情が移ることも少ないのでしょうが、ポーランド人のこの娘の場合は7月20頃からの2ヶ月間と言うこともあり、記憶に残る一人になったのでしょう。
(写真: 寂しくなった食堂)

さて、仕事は発泡スチロール材の接着作業が続いていました。少し小さめのスチロールボックスがこれまた大量にあるので、その種類を分別しながら同じ型のものを多段に接着しながら積んで行くのです。高さが2m強ぐらいになるように積み重ねて行きます。接着が終わったらその上に重しを載せて2日間ほど放置します。Barnと呼ばれている作業小屋に保管されていたほぼ全ての発泡スチロールボックスを数日間で完了させました。

9月も下旬に入ってきて、気温も結構下がってきているようです。この日の夕方、今後のサイクリング時に着用するタイツのようなズボンを探しに街に出かけました。この街にもスポーツ用品店が2店はあります。靴とスポーツ用品の両方を扱っている店に行きました。やや地厚で色はブラック、サイクリング用として売っています。この上にスポーツ用のハーフパンツを履いて自転車に乗れば、ペダルやギア・チェーン等でズボンの裾を引っ掛ける恐れもなく快適に走行できるでしょう。これはドイツに入ってよく見かけるコスチュームでした。タイツは40ユーロで購入しました。これでサイクリング時の寒さ対策は十分でしょう。

夕食の時、ホストのOさんが「味噌汁」の本格的な作り方手順を教えて欲しいと言うので実演して見せることになりました。具はその日にあったもので、ジャガイモ、椎茸(自家製)、そして私が日本からハンドキャリーしていたカットワカメです。ホンダシの素も使い、最後に味噌を溶かしながら加え一煮立ちさせたら完成です。Oさんはその手順をメモしていました。しかし、この日の夕食は、ポーランドの娘が居なくなってシンミリした雰囲気が続いているのでした。

翌日の夕食時の話です。ホストの奥さん(Eさん)がワインのことで私に尋ねました。日本ではワインを作っていますか?と、Eさんの知る限りドイツで日本産のワインを見たことがないと言うのです。私はもちろん作っていますと答え、代表的なものとしては北海道(十勝とか)、山梨県あたりで有名なワインがあると説明しました。ご主人のOさんが意見をはさみました。多分、日本では葡萄畑のための十分な広さの土地が確保できないので、国内向けのワインは生産できても輸出ができるまでの量は確保できていないのではないか?と。

そう言われても、私は日本のワイン事情に詳しいわけではないし、日本でのワイン総生産量や国内消費量、輸出量、輸出の伸び率・・・、詳しくはわからないのでした。ただ、日本酒同様に輸出拡大のための努力はしているのではないかと思った次第です。同時に、確かに海外で日本のワインは見かけたことはありません。一方、日本酒に関してはここラーデンのスーパーマーケットにも一品種だけですが置いてあったのを思い出しました。これには驚きました。

さて、22日(日)は、片道15kmぐらいの場所にある旧型風車までサイクリングで行くことにしました。もちろん前々日に購入したサイクリング用のタイツで防寒対策は万全にしたのです。途中までは以前走ったことがある道なので順調に進みました。そして目的地まで残り2・3km付近で右折しなければならないポイントがあり、この交差点だろうと思って右折したのですが、かなり進んでも目標物(風車)が見えてきません。(ちなみにラーデンからかなり離れているので、この地域の地図は持っていないのです。)道に迷ったようです。たまたま家族連れと思われる3人連れの人がいたので道を尋ねました。「この近くにある風車」へ行きたいと伝えたのですが、この辺りには3ヶ所の風車があってそれのどれか?と言うのでした。意外な答えでした。

結果論ですが、右折ポイントが1本早かったため、その道は単に右折したのではなく、Uターンに近い形で目的地から遠ざかる方向に走ってしまっていたのでした。私は地名としてはDestelと言う場所にある風車であることを伝えました。それならばと言うことで、3人連れはDestelに向う道をスマホを取り出して私に見せ、現在地がここで目的地はこちら・・・ルートはこれ・・・と説明してくれます。それにしても、当初のルートを大きく外れているようなので、止む無く最初のミス地点(右折ポイント)までトレースバックするのが安全と思い、3人にはお礼を言いつつ戻ることにしたのです。

3人は少し心配してくれたようです。母親らしき人は「どこからきたのか?」・・・ラーデンから来た。「どこに住んでいるのか?」・・・ラーデンのマルクトシュトラッセ(マルクト通り)に滞在している・・・等々。一応は近くではないものの近在からサイクリングにきていることを確認してそれなりに安心してくれたような印象でした。最後に年配の男性が一言「Good luck!」(幸運を祈る!)と言ってくれました。それにしても親切な3人との出会いでした。有り難うございました。(ちなみに、やりとりは全て英語でした。)

そして、振り出しに戻りました。このロスタイムは約1時間でした。気を取り直して正しい右折ポイントを目指します。数百m進んだところでそれらしき交差点が現れました。右折して2・3百mも走ったころ、左手前方に風車の羽が見えたのです。やった~! そのまま覚えていた道のりに従って目的地にたどり着きました。ここまでたどり着くのに2時間半ほど要してしまいました。
(写真: 遠くに風車が・・・)

ここでも風車の周囲は小さな公園になっており、およそ20人ぐらいのグループがバーベキューを楽しんでいる最中でした。どうもアーチェリーをするグループのようです。子供がアーチェリーに挑戦していました。写真を撮って少し休憩し帰路につきました。帰り道は迷うことはありませんでした。16時頃、およそ1時間半で戻ることができました。後からインターネットで経路を計測しましたが、この日の走行距離は35kmぐらいになりました。疲れました、ハイ。
(写真: 風車とアーチェリーのグループ)
(写真: アーチェリーの練習をする子供)

この日はそれで終わりではありませんでした。19時頃、いつものレストランに向かいました。お気に入りの席に座り、ビールを注文、料理を選んで運ばれて来るのを待っていました。しばらくして、2カップル計4人の男女が斜め向かいの席に座ったのです。最初は特に私も気が付かなかったのですが、ちょうど向いになった一人の男性の顔、誰かに似ているような気がするのです。

ここはドイツ、外国、外人には似たように見える人がいても不思議はないと思いつつ、それでも「誰だろう?」、「どこかで見た人?」・・・。2・3度確認するためにその人の顔をチラッと見てみました。思い出しました、9月の初旬(1日)、初めてのサイクリングをした時に道で挨拶を交わした犬の散歩をしていた男性、その人に似ているのです。でも服装も変わっているし、やはり似ている人が他にいても不思議はないし・・・。念のため、持っていたカメラを取り出し、当日撮影したものを拡大して顔を確認、間違いなくこの人に似ているのでした。

でも他人の空似・・・なのかも、しかしあの場所はここから7・8km離れた場所だし・・・と思いつつ、もう一度そちらを見ると向こうもこちらを気にして見ています。エッ?!やはり当人か? 思い切って右手を上げてみました。すると向こうもニヤッと笑って立ち上がりました。間違いありませんあの人だったのです。道で挨拶したのが9月1日(日)、この日は9月22日(日)、そうです3週間前に会った人だったのです。
(写真: サイクリング中に挨拶を交わした人)

その人は席を立ってこちらにやってきました。お互いに突然の再会に驚いているのです。彼は「Do you remember me?」(私を覚えていますか?)と言いました。私は「もちろん」と言い、手に持ったデジタルカメラの液晶画面を見せて、9月1日のその写真を見せました。このレストランがラーデンでは古くからある有名な店であることが手伝った結果ではありますが、まさに奇遇といった感じでした。
(写真: 吊るされた串にはポーク、マッシュルーム等・・・旨い!)

それ以上のエピソードではなかったのですが、私にとっては記憶に残る出来事の一つになったのです。

ここ2・3日の出来事に相関関係はないものの、別れや出会いの一つとしてドイツ滞在の中でも印象深いポイントになったのでした。 ~続く~ 

ドイツでの農場体験(10) <買い物を楽しんだ午後 >

2014-03-05 15:21:41 | 日記
2013年9月18日(水)、午前中はマッシュルーム栽培用の地下室の後片付け的な作業で終わりました。そして、前2日間の超過勤務(?)の代わりとして、午後はフリーとなったのです。平日の昼間に自由時間が訪れるとはラッキーなことです。

昼食後、近くのスーパーマーケットに買い物に行きました。いつもは夕方の時間帯にあわてて買い物に行くイメージなので余裕を持って品定めをすることはできないのです。しかも、日曜日はスーパーは休みなので買い物もできません。だから、この日は時間的な束縛なしにノンビリと店内を見ることができました。
(写真: 近くのスーパーマーケット)

一方、ドイツ滞在予定期間の半分以上を残している時期でもありましたが、スーパーで買える日本への「お土産」を探すのも楽しみの一つなのです。観光地や国際空港等のお店で買うのとは随分違うものがあります。地元の人々が通常口にしたり、使用したりしている「普通のもの」の方が私には記念になるし、現地の実態を伝える手段にも思えるのです。

赤のモーゼルワイン(2本で8ユーロ)、ポテトチップス(これは250gぐらい入って0.66ユーロ)、果物ナイフ(10ユーロ)、他・・・のお買い上げでした。ところで、ヨーロッパのスーパーで買い物をされた方はご存知でしょうが、買い方の流れは次のようなものです。


店に入って先ず、買い物カゴを持ちます。店によっては、牽引用のレバーを出してカゴの片側底(車輪付き)を床につけて曳いて行くタイプもありますが、ラーデンのこの店は日本でもなじみの普通のカゴです。精算をする時はレジに並びますが、自分でレジ前のコンベアに商品を載せて行きます。前の買い物客との品物が混ざらないように、近くに置いてある区切り用のバーを境目にポンと置きます。空になったカゴはコンベアの下あたりに置くことになります。

そして、自分の番になります。ほとんど100%、レジ係りの人は「ハロー」(アローと聞こえる)と挨拶をしてくれるので、こちらも「ハロー」と言います。(日本では「いらっしゃいませ」と言われることが多いので、「今日は」とは返答しずらくて無言になってしまうことが多いのですが・・・) 品物が一つずつ精算されてコンベア上に置かれて行きますので、買い物袋を予め開いておいて即座に詰め込んで行きます。この動作を機敏に行わないと、次のお客の精算が始まりますのでチョットあせることになるのです。

支払額をドイツ語で言われますが、残念ながらそのドイツ語は理解できない私なのでレジの表示を見ます。ちゃんとお客に見える向きに表示されていますので、あわてずに支払うことができます。お金を渡しレジ係りがお釣りを用意している間に残りの品物を買い物袋に詰めます。そして大抵の場合、レシートは必要か?と聞いてくれますので、「Yes!」とか「Ya!」と言えばレシートも渡してくれます。

そして必ず「チュース」とか「ダンケ」と言ってくれますので、こちらも「チュース」と言います。まァ、サヨナラのくだけた挨拶の意味合いです。ここで「アウフヴィーダーゼン」とか「ヴィーダーゼン」と言ってしまうのは、丁寧過ぎるやりとりになるので場違いと言うことになるのでしょうね。

さて、買ったものの中でポテトチップスの値段は日本の半分以下の印象です。また、以前のブログにも記載しましたがドイツのモーゼルワインも1本が3~4ユーロで買えるものもあり、且つ旨いのが嬉しいのです。飲みすぎや食べすぎには要注意ですが・・・。

この日の夕方、同僚でもあるポーランド人の娘(こ)がビールを買いに行こうと誘ってくれたので再び買い物に出ました。昼間の店とは違う場所を教えてくれたのです。ラーデンの鉄道駅に近い方向でしたが、ここにもスーパーが4軒(!)も並んでいます。いずれも大型駐車場が備わっています。ここラーデンの人口は6千人ほどですが、周辺人口も含めると1万6千人とも聞いています。そうした人達がこの界隈にショッピングに来るのでしょう。
(写真: ラーデンの鉄道駅)

で、最初のスーパーに入ってみました。しかし、ビールはありません。ここでは買い物をしないことになりました。出口を探しますが、入ってきた場所にはゲートがあってそこからは出られないのです。出口はレジの横をすり抜けるしかありませんでした。

次に向ったのは隣のスーパーですが、明らかにお酒専門店です。日本にもありますが量販店のアレです。中に入るとお酒が一杯です。ビールコーナーはすぐに見つかりましたが、種類が実に多いのです。ポーランド人の娘は地元ビールの「Barre」を、私はブレーメンを拠点とする「BECKS」(BECKS-GOLD)を選びました。330cc入りのガラス瓶タイプで6本セットのものです。

レジで精算します。私は4.77ユーロでした。お酒は贅沢品の部類に入っているので消費税は19%かかっています。かかっての値段ですよ。為替レートで日本円に換算することも出来ますが、1本あたり1ユーロ以下と言う感覚がとても安いと感じてしまうのです。これは以前のブログに書いたことでもあるのですが、ミネラルウォーターよりも安いと言う話は、一部において事実なのです。

買い物を終えて店を出ると、そこには暖簾(のれん)はついていませんが日本の屋台に似た小さな店が道路沿いに1軒ポツンとあります。周囲は透明のビニールフィルムで囲ってあります。おそらく8人も入れば満員と言った感じのサイズです。中に3人ほどのお客さんがカウンター席に腰掛けてビールを飲んでいるのが見えます。食べ物までは見えませんでしたが、ドイツ名物のブラートヴルスト(焼きソーセージ)でも食べているのでしょうか、男性客だけでなく若い女性客も居て、楽しそうな雰囲気を感じた次第です。

東京は神田や新橋界隈の赤提灯、暖簾をくぐって生ビールやホッピーを会社帰りにちょいと一杯。そんな光景が頭を過ぎりましたが、ここは人口6千人の片田舎(ホストのOさん曰く)の街、駅は近いですが駅員も常駐はしていない規模です。そんな街にもこんな屋台風の店がある・・・。そして時刻は18時半頃、北緯52度で9月中旬、陽はまだ高い(明るい)のです。ドイツ編の最終章あたりで述べることになるのでしょうが、この街で暮らす人々はそれなりに生活を・人生を楽しんでいるように見えました。もちろん、個々には悩みはつきないものでしょうが・・・。

この日の午後はこうしてユッタリとした時が流れたのでした。 ~続く~