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第1,095話 QCはオワコンか?

2022年02月06日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

QC(Quality Control)とは品質管理を指す言葉です。50代後半で製造業に勤務経験のある方はQCサークルを思い出すかもしれません。QCサークルというのは、現場で自主的に作業の改善を行う少人数の集団活動のことです。

1980年代の日本の製造業ではQCサークルは非常に活発でした。おおよそ「係」に1つはあったように思います。自主的な活動とはいえ、職場のメンバー全員参加というのが「常識」でした。私もQCサークルのリーダーやQC大会で発表をした経験があります。

QCサークルは90年のバブル崩壊とともに下火になり多くの企業から消えていきました。さらに今世紀になると、勤務時間外のQC活動は「自主的」とはいえ無給の労働と見なされるようになり、ほぼ消滅したようです。

もともと品質管理とは製品やサービスを作り上げ提供する際に、目標とする品質が備わっているかを検証して保証することです。日本の製造業では品質保証部(品質管理部)という部署または「仕事」は必ずあります。そうした組織的な品質への取り組みが「メイド・イン・ジャパン」を世界的な信頼の証にまで持ち上げたことは間違いありません。

さて、現在組織としての品質保証部はしっかりと仕事をしていますが、それ以外の部署、特に間接部門においては品質という概念がかなり失われてしまったように思います。品質保証の考え方に「後工程はお客様」というものがあります。要は、自分たちの仕事はそこで完結するものではなく、後に待っている「お客様」に成果をお渡しすることなのだ、というわけです。

たとえば工場ならば、部品の調達部門にとって製造部門という後工程が「お客様」になります。製造部門の中でも、部品加工なら後工程の組立てが、組立てにとっては検査が、検査にとっては物流が「お客様」です。お客様に提供するものですから、粗相があってはいけません。しっかりと「品質」を作り込みましょうという考え方です。

今世紀に入りQCサークルが消滅するにつれ、マーケティングや営業といった非製造部門からこうした品質に対する考え方も薄れていきました。しかし、改善活動としてのQCサークルが無くなっても、品質という会社にとって大切な考え方まで無くなってしまうのは非常にな危険ことです。

ある大手企業のマーケティング部門では、海外に販売する製品の価格を決定する際に、現地の代理店にあまりヒアリングせず、経営計画に沿った利益率だけを重視していました。同時に経理部門がはじいた為替の変動リスクなども考えていなかったのです。その結果、現地法人の売上が大きく変動したり、為替が乱高下したりするたびに、製品の品切れや過剰在庫といった「症状」に振り回されていました。

問題はそうした「症状」に対していつも対症療法で臨んでいたことです。ちょうど「歩いていたら転んで膝を擦りむいたので絆創膏を貼っておこう」を繰り返しているようなものです。本来は「なぜ転んだのか」を解明して「靴を変えよう、足腰を鍛えよう」といった対策を打ち出す必要があります。マーケティング部門が、エンドユーザーに製品が渡るまでの流れを品質管理という視点から見ていれば、多少の短期的な損失があっても会社としては長期的な利益を得ることができたはずです。

QCサークルはオワコン(終わったコンテンツ)かもしれませんがQC(品質管理)はますます重要度を増しています。今のような経済の停滞期にこそ、しっかりとQCの考え方を全社員に身に付けさせてください。

それが会社を発展させる原動力に必ずなります。

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