中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,015話 OJTでやってはいけない3つのパターン

2021年04月18日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

このブログでは度々OJTについて書いています。今回もOJTに関する話です。そして、同じ話を繰り返します。OJTは「先輩が後輩に仕事のやり方を教えること」といった単純な行為ではありません。OJTとは、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを合目的・計画的・継続的そして組織的に指導し、修得させることで社員を育成する活動です。それを未だにわかっていない人が多いことに愕然とします。そこで、今回は実際に当社が見聞した「ダメパターン」を多少アレンジして「新人と先輩の掛け合い」のかたちお見せします。

ダメパターン1:「余計なことは知らなくていい」
新人「先輩、いま教えていただいた加工作業の後、この製品は仕上げの工程に運ばれますよね。そこではどういう作業をするんですか?」
先輩「目の前にある仕事もロクにできないうちは、そんな余計なことは知らなくていいんだよ!」
(なぜダメか)
新人が後工程や前工程に興味を持つのは、会社の製品について強い関心を持っているからです。新人にとって大切な知識とは、目先のことだけではありません。それは長い目で見れば製品の品質を維持することにつながります。この先輩の発言は、将来、製品の品質低下をもたらす可能性があります。

ダメパターン2:「えーと、とりあえず」
新人「先輩、次は何をやればいいですか?」
先輩「えーと、とりあえずこれをやっといて。」
新人「それは先週やりましたけど。」
先輩「あ、そう。じゃ、このマニュアルを読んでおいて。」
新人「は、はい。でもこの内容は難し過ぎてわかりませんけど。」
先輩「え?どれどれ・・・あ、間違えた。こっちの方だった。」
(なぜダメか)
OJTには「目的」があります。それは、新人の知識とスキルを「OJT期間内に、このレベルまで到達させる」という明確なゴールが示されているものでなければなりません。それがないと、この先輩のようのに「とりあえず適当に教えとけばいい」という態度になります。これでは、時間の無駄というだけではなく、新人に不信感を与えることになります。

ダメパターン3:「OJT担当じゃないから」
新人「課長、今日はOJT担当の先輩がお休みなので、代わりに私の作った書類をチェックしていただけますか?」
課長「えー!俺、今忙しいんだよ。」
新人「昨日先輩から課長に見てもらえって言われたんです。」
課長「新人の教育はOJT担当の仕事なんだよ。だから明日、先輩に聞いてくれよ。」
新人「わかりました。お忙しいところ、すみませんでした。」
(なぜダメか)
OJTは「OJT担当者専任」の仕事でありません。職場のメンバーや上司どころか他部署の人間も含めて「全社員」がOJT担当です。なぜなら、会社は単なる人の集まりではなく「チーム」だからです。忙しくて教える暇がないなら他の人に頼んでください。頼まれた人は、極力受けるようにしてください。頼まれたあなたがたとえ社長だとしても。

上記以外にも様々なバリエーションがありますが、まずはこの3つの「ダメパターン」を徹底的に排除するようにしてください。それができなければ、会社の製品やサービスの品質が低下し、社員同士がお互いを信頼できなくなり、最終的には会社の存続さえ危ぶまれることになります。決して大げさなことではありません。

今こそ新人のOJTを「利用」して、会社をより良く変えていこうではありませんか。

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