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チーズは主体的に探しにいかなければならない

2017年10月18日 | コンサルティング

 近所の大型スーパーが売り場の装いを新たにしたとの広告を見て、久しぶりに訪れてみたところ、売り場が改装されただけでなく、商品自体も大幅に変更されていました。

もちろん、マーケティングに基づいて品揃えを変更したのでしょうが、個人的にはこれまで継続的に購入していた商品の中で売り場から消えてしまっていたものも多く、少々残念な気がしました。

このように、各売り場で様々な変更がされていたのですが、中でも一番大きく変わっていたのは、食料品売り場のレジの無人化が進んでいたことです。たぶん、これまでの3割くらいがセルフレジになっていたように感じました。

ここ数年、AI(人工知能)に今後取って代わられると予想される様々な職業がマスコミ等で紹介されていますが、レジの仕事もその1つなのでしょう。

このスーパーのレジには、これまでアジア系の外国人も多数採用されていましたが、日本人よりもコストが安いと言われている外国人でさえもAIに代替されてしまったということなのでしょうか。今後、AI化が様々な分野でますます進んでいくことは明らかです。もちろん、日本においてはさらに労働人口がどんどん減っていくわけですから、AIに変わっていくことは危機ではなく、有り難いことであるとも考えられます。

しかし、一方で自分の職業が消滅してしまう可能性があるとしたら、それはやはり脅威です。先日あるサイトで、「社内でなくなる可能性のある仕事」が紹介されていましたが、そこには、対人影響力を要するためAIでは難しいと考えられていた人材育成の仕事も入っていました。それでは、こうした変化に対して私たちは一体どうすれば良いのでしょうか。

そこで思い出したのが、スペンサー・ジョンソン氏の「チーズはどこへ消えた?」です。この本は、2,000年にベストセラーになり、全世界で1,800万人に読まれたそうです。(折しも、スペンサー氏は今年の7月に78歳で亡くなられたそうですが。)

私も当時この本を読んだ一人です。内容は2匹のネズミと2人の小人は毎日同じ場所でチーズを見つけて食べ続けていました。しかし、徐々にチーズの量が減っていき、ある日なくなってしまいました。ネズミはチーズが毎日少しずつ減っていることに気づいていたので、いずれなくなることを覚悟していました。そして、チーズが無くなるとすぐに新たなチーズを探しにいったのです。一方の小人は、チーズが無くなってしまっても、いつかまたチーズは戻ってくるだろうと考えて、動かずに待っていたという話です。

 動き出した変化を止めることは誰にもできません。そうであれば、私たちはそれに備えるしかありません。

 「なくなったものが戻ることはない」

これを肝に銘じて対応するしかないということを、今後AIに取って代わられる可能性のある「人材育成」の仕事をしている私も危機感を持つ必要があるということです。

 さて、冒頭で紹介したスーパーでレジを担当していたアジア系の外国人は若いイケメンの中国人(名札を見て分かった)の男性でした。レジを通すのがものすごく速く、さらに生ものをビニール袋に入れるのもとても丁寧で、ほれぼれするような働きぶりでした。

当時、私は彼がいるレジを好んで選んで会計を済ませていました(彼がイケメンだったからではありません)が、彼は2年くらい勤めた後、ある日突然そのスーパーからいなくなってしまいました。転職したのか国に帰ったのかはわかりませんが、彼の働きぶりを思い出すと、彼なら今頃次のステップで必ずや成功しているのではないかと想像しています。

これからの時代、私たちはネズミのように、新たなチーズを探しにいかなければなりません。

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