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話すことと書くこと

2015年06月14日 | コンサルティング

研修講師の仕事は人前で話すことです。講師の評価はおおむね話す力で決まります。しかし、話すことと同様に書くことも講師にとって大切な仕事です。研修で使うテキストを書くことは、研修の内容を作ることだからです。

研修のテキストは、それを使う講師によってかなりスタイルが異なります。いわゆるレジュメのような、要点だけを箇条書きにしたものから、教科書のように文字をぎっしり詰め込んだものまでさまざまです。

なかには、自分では全くテキストを書かずに他人の文章をそのままコピーして使う講師もいます。もちろん、その文章の意味を十分に理解し、原典を調べ、自分で納得しているなら問題はありません。しかし、そうした講師のほとんどは、俳優やアナウンサーのように単に上手に「喋る」だけです。

「それでなにが悪い?」と問われると、簡単に言葉を返すことができないのですが、聴き手に情報を伝えるだけのインフォメーションは果たして研修といえるのか疑問です。

私たちの使うテキストは、講師である私たち自身が書きます。一文一文、研修で話すときのことを考えて、書いては直しを繰り返します。もともと文章を書くプロではありませんから、誤字脱字や表現の不一致など、ミスは必ず起きてしまいます。

それでも、時間と労力をかけて知識を集め、何度も内容を確認し、わかりやすい表現に変えていくことは、研修の場で話すことと同じようにとても重要なことです。そうしたプロセスがあってはじめて、受講者に本当に届く言葉が生まれてくるのです。

私たちがテキストを書くのは、話す力は書く力によって支えられていると信じているからです。

※ 画像はイメージです。実際はパソコンで書いています。

(人材育成社)