中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

自社の利益だけでなく、関係企業の利益も大事にすること

2015年03月04日 | コンサルティング

先日、コンサルティングの依頼をいただいたある企業に見積書を出した時のことです。その企業の経営者から「少し安すぎるのではないですか。安いことは我が社にとっては有難いけれど、私は一方だけが無理をするようなことは良いとは思いません。実は先日工事の発注をしたところ、後から先方の見積もりのミスがあったことがわかったのです。発注後だったので、見積通りの金額でお願いしたけれど、今後どこかで穴埋めができるようにしてあげないといけないと思っている」とのお話をいただきました。

この言葉を聞いて、私は思わず「ありがとうございます」と頭を下げました。

この経営者は自社の発展とともに、発注先である我が社のことも考えてくださっているわけで、まさに「Win Win」の考え方です。

報道などでは、このところ企業の業績が回復していると言われていますが、「それは一体どこの企業のことなの?」「うちは相変わらず厳しいのに。大手だけが潤っているのだろうか」といった話を聞くことはしょっちゅうです。景気回復を実感できている企業は必ずしも多くはないのが実情のようです。

また、下請け企業に値引きをさせて、その結果大手の企業の利益が向上しているという現状もあります。

我々の人材育成のコンサルティングや研修業界においても、導入前の値引き交渉が行われることが時々あります。これは、人材育成に関するサービスは一部のテクニカルスキルを除くと、なかなか目に見えてすぐに効果が現れるといった性質のものではないことに加え、一部には破格の金額で請け負うところもあるために、値引き交渉が行われるのだと思います。

少々話は変わりますが、「日本でいちばん大切にしたい会社」(あさ出版 現在第4巻まで出版)の著者 法政大学の坂本光司先生は、その著書の中で「5人に対する使命と責任」を説明されています。

1. 社員とその家族を幸せにする

2. 外注先・下請企業の社員を幸せにする

3. 顧客を幸せにする

4. 地域社会を幸せに、活性化させる

5. 株主を幸せにする

この順番で、この5人を幸せにするのが、本当の「経営」だとおっしゃっています。

冒頭の経営者の姿勢は、まさに2に該当するでしょうし、私自身この企業とお付き合いをさせていただく中で1と3も強く感じています。初めてこの企業を訪問した際、社員の皆さんが実に楽しそうに、そして前向きに仕事をしていることが強く印象に残りました。おそらくこの企業は、上記の4にも該当するのだろうと思っています。

しかし、私自身経営者の立場になってみて、これらを実現することがいかに大変なことかも、改めて感じています。

 研修・コンサルティング業界に身を置く者として、まずは3の顧客の幸せを追求するのは当然ですが、いずれは5つ全ての幸せを実現してみたい。そのために、一歩づつコツコツと努力していきたいと思っています。

(人材育成社)