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クリエイティブな仕事とはなんでしょう

2014年06月01日 | コンサルティング

「コンピュータが単純作業を全部引き受けるから、人は人にしかできないクリエイティブな仕事に集中すれば良い」時々こんな発言を聞きます。
一見、コンピュータを理解している人の言葉のようですが、実はコンピュータが苦手な経営者や管理職がよく口にするセリフです。逆に、システム開発を担っている現場のエンジニアからこうした発言を聞くことはめったにありません。

先日、ある精密機器メーカで問題解決をテーマにした研修を行ったときに、「社内で最もクリエイティブな仕事は“ろう付け”です」と言う受講者がいました。
ろう付けとは溶接のことで、金属同士を接合する方法です。中年以上の方は「はんだ付け」を思い出していただければよいと思います。

溶接というと、テレビのニュースにたまに登場する自動車の生産ラインを思い出します。生産ラインに乗った自動車のボディに、ロボットの腕が接触して派手に火花を散らしている映像です。とてもクリエイティブではなく、コンピュータとロボットに任せれば十分な作業のように見えます。
そう思って受講者に訊ねたところ「溶接の火花が大きいほど電力と部材がムダになっている証拠です」という答えが返ってきました。

そして「精密部品を内蔵する筐体をろう付けするには、大変高度な技術が必要です。バーナーの調整、その日の温度、湿度、炎を当てる角度、時間など、製品の品質に大きな影響を与えるとてもクリエイティブな作業です」とのこと。しかも、製品の仕様が変わったり作業条件が変わったりするたびに、「想像力」を働かせたろう付けをしなければ、品質を維持できないそうです。

コンピュータやロボットに置き換えられる作業であってもクリエイティブな部分は人の手に残ります。「○○という作業はコンピュータに任せておけばよい」といった単純な発言こそ、実はコンピュータのことをよく分かっていない証拠なのかもしれません。

どんな会社にも、外から見ると単純作業のように見えて、実はクリエイティブな仕事がたくさんあります。
人事部門の方々は、社内のすべて仕事の「真実」を、現場に行って、現物を見て、現実を知ることで理解しておく必要があると思います。
それが人事という仕事をクリエイティブにする唯一の方法ではないでしょうか。

(人材育成社)