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半数以上が中國などの外国人 「共生」の試み 川口芝園団地

2019年10月25日 10時17分47秒 | 人口(外国人)

川口市芝園町にある都市再生機構(UR)の芝園団地は、築約40年、最高15階建ての賃貸住宅15棟(約2500戸)に約5千人が住む。JR京浜東北線蕨駅から徒歩約7分。東京駅まで約30分。家賃が手ごろで、礼金、敷金不要などの条件が人気を呼び、2015年11月に、中国人など外国人の入居者が半数の2500人を超えた。20年前の10倍。そのほとんどは中国人だ。

中国人は、都内のIT企業に勤める20代後半~40代前半が中心の子育て世代で、比較的高収入の人が多い。完成当初から暮らす日本人の多くは、子育てを終えた65歳以上の高齢者である。

自治会には15年度から中国人の役員もいる。自治会の要請で団地のURの管理事務所が12年、中国語通訳を配置、ゴミの出し方など暮らし方のルールの掲示にも中国語を併記した。14年4月から団地に移り住み、17年から自治会事務局長になった岡崎広樹さんを中心に中国人との人間関係も築かれた。総合商社をやめて松下政経塾で学んだ岡崎さんは、一般財団法人に勤めている。

15年には大学生ボランティア団体「芝園かけはしプロジェクト」が結成された。東京大学大学院の円山王国さんが代表を務め、多くの大学から数十人が活動している。14年には中国人への偏見に基づくベンチの落書きを、日本人と外国人が一緒にペンキで塗り消した。

このプロジェクトで16年から毎月、「多文化交流クラブ」が開かれ、中国人が教師役の中国語教室、書道教室、太極拳体験などを続ける。夏には自治会とともにふるさと祭りを開く。

このような中国人と日本人の溝を埋める多文化共生の取り組みに対し、国際交流基金は1月23日、「地球市民賞」を贈った。この賞は1985年、外国人との連携を深める団体などを支援するために創設されたもので、県内では朝霞市に次いで2例目だ。

県は18年2月7日、「埼玉グローバル賞」の地球国際化分野で、芝園団地自治会(韮沢勝司会長)を表彰した。

中國には自治会がないので、自治会に加入していない中国人も多く、「共生」を目指しながらもも「まだ共存の段階」と語る関係者が多い。

芝園団地は、新幹線を製造していた日本車両製造の蕨工場跡地に建てられたもので、19年10月、「新幹線電車発祥の地」の記念碑が建てられた。