プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

次世代に向けて

2017-12-04 13:22:46 | イベント

 昨日、南紀・田辺湾にて開催されたイベント、『南方熊楠生誕150周年記念 よしくまアドベンチャーin神島 おそうじシーカヤック』の講師として参加させていただきました。この時期にしては珍しいくらいの穏やかな海況、天候に恵まれ、充実した一日を終えることができました。

 当店でもこの神島(かしま)での掃除、ゴミ調査目的のシーカヤックイベントは定期的に開催(詳細はこちら)していますが、今回は、
(主催)環境省 近畿地方環境事務所
(共催)田辺市
(協力)アイランドストリーム
    EARTH MATE
    自然遊学Forest

 という形で、参加者は主に田辺市に住む小学3年~6年の親子で行われました。

 朝集合した後、シーカヤックの漕ぎ方を教わり、海に出て練習した後、田辺湾の中に浮かぶ美しい無人島・神島に漕いで渡りました。そしてICC(International Coastal Cleanup)の統一フォームに則って「どんなゴミが、どれくらいあるか」を調査しながら清掃活動。終了後、集めたゴミの袋をシーカヤックに載せて再び漕いで戻ってきました。
 すごく楽しいイベントになりました。

 その趣旨は環境省の開催要綱として、ちょっと硬い文だけどわかりやすいので載せておきますと、

吉野熊野国立公園に平成27年9月に編入された神島は、鳥の巣半島の西側に位置する無人島で、おやまとこやまからなり、浅い岩礁で連絡している。国の天然記念物にも指定され、海岸性の暖地性植物群落の特徴をよく表しており、海と島とが一体となった島の景観とともに、紀南の自然植生景観として非常に重要である。また、今年生誕150周年を迎える田辺市にゆかりの深い南方熊楠が神島の保護に尽力したことでも全国的に有名である。今回、地域の子どもとその保護者に、普段は上陸することのできない神島にシーカヤックで渡る機会を提供することで、神島の自然や文化について学び地域の豊かな自然やその恵みに目を向けるとともに、神島海岸部の漂着物を回収し海域の抱える環境の課題に触れ考えるきっかけとすることを目的として開催する。」

 というものです。

 今回、普段シーカヤックにも海ゴミ問題にもまず触れる機会のない、一般の親子の皆さん、またNPO南紀こどもステーションの方々と共に活動できてなにより良かったと思います。

 たっぷり楽しむ中で、海の自然や生態系について学び、「太平洋ゴミベルト」を主とする「海ゴミ問題」について学び、神島ゆかりの南方熊楠という偉人について学び、有意義な時間になりました。ちなみに「太平洋ゴミベルト」というのは、太平洋諸国沿岸で出たあらゆるゴミが海流によって漂流した結果、太平洋の真ん中に日本列島の約4倍くらいの面積のゴミ大陸が形成されているという、ウソのような本当の現実です。日本列島の4倍って、とんでもない話ですが、なぜか一般的にはほとんど知られていません。多分100人中5人くらいの割合でしか知られていないことだと思います。そもそも社会全体が太平洋に関してほとんど知識も関心もない現状ですが、まーあ無関心にもほどがあると嘆きたくなります。

 と、当日そのような話もさせていただきましたが、頭も感受性も柔らかい子供達は、きっと何かを感じ取ってくれたことかと思います。今の大人はどうも余裕がなくて情けないまでに環境意識が低いけれど、この未来の大人達にはいつかぜひともそんな現状を一掃してもらいたいものです。そしてぼくたちは次の世代にきちんとした自然の知識、智恵を継承していく義務があると自覚を持ってシーカヤッキングやアウトドア活動を続けていかねばと、改めて思いました。


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紀伊田原シーカヤック、ロックガーデン遊び

2017-12-04 12:24:15 | 紀伊半島

 先日、南紀・紀伊田原の荒船海岸をプライベートツーリング。
 この時期この海岸線でよく見られる「海霧」(早朝気温が一気に下がると、暖かい黒潮の海水温との差で、海面に霧が発生する現象)を見るのが目的だったのですが、寝坊して家を出るのが遅くなり、結局昼から出艇し、ロックガーデン遊びに終始しました。

 岩礁が密集している沿岸のことを「ロックガーデン」と言いますが、岩と岩の合間を縫って進みゆくパドリングが面白いフィールド。適度なうねりが入っていると難易度も上がり、うねりが岩礁や隠れ根にぶつかってドーンと勢いよく立ち上がるタイミングを上手く読みながら、すれすれの所でかわしていくのがとてもスリリングです。この日、ちょうどそんなコンディションに恵まれ、楽しめました。

 ウミガメも多くて、この日頻繁に出会いました。 

 この付近は無人の浜も多く、流木も豊富で、キャンプにも向いています。熊野灘特有のパワフルな海の気を濃厚に浴びながらのキャンプは、自分の心も身体も野性的な気で満たされてゆくような感覚で、癒やしとエネルギーを与えてくれます。今回は日帰りでしたが、また春までにキャンプに来たいなと思いました。

 紀伊半島南東海岸は、晩秋から春先にかけて、北西の風の風裏になり、意外といいコンディションになることが多いです。真夏と違って台風や熱低からの巨大うねりも入りにくいし。ただ、風裏ということは「出し風」になるということなので、谷間から抜けてきた風には十分気をつけなきゃいけないし、西高東低がきつい日には出ない方がいいですが・・・。
 冬の本州最南端エリア。他所に比べて断然温暖で、太陽光線も鮮やかです。空気は澄み、冷気はきりっと身を引き締めてくれるけれど、骨身に染みるような寒さではなく、どこか常に春を思わせるような暖気を内に秘めている。

 この荒船海岸は、お客さんをお連れしてのツーリングという意味ではちょっと難易度が高く、いわゆるツアー「商品」としては成り立ちにくい海岸線ですが、自分で楽しむにはとてもよいフィ-ルドです。そしてこのエリア全体として考えると、串本や勝浦、古座川などもテリトリーに入るし、熊野古道や周囲の山々も楽しめる。
 冬にこそ、じっくり何日も楽しみたいエリアだ。


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