漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「能ノウ」<できる力をもつ>「態タイ」「罷ヒ」「熊ユウ」

2017年07月12日 | 漢字の音符
 ノウ・よく  月部にく             

解字 能力のある力をそなえた動物の象形。金文は、頭と身体らしきものの横に鳥の脚らしきものが描かれているが、何の動物かはっきりしない。(この字が熊の原字という説もある。)能の音符を含む字は、「できる力を持つ」イメージを持つ。
意味 (1)よくできる。あたう。よく(能く)。「能力ノウリョク」「能弁ノウベン」 (2)はたらき。わざ。ききめ。「能率ノウリツ」「効能コウノウ」 (3)[国]のう。能楽のこと。「能面ノウメン

イメージ  
 「できる力をもつ」
(能・態・罷・熊・羆)
音の変化  ノウ:能  タイ:態  ヒ:罷・羆  ユウ:熊

できる力をもつ
 タイ・さま 心部  
解字 「心(こころ)+能(できる力をもつ)」の会意形声。ある物事をできるという心構えがあること。また、そのすがた・かたち・ようすの意味になる。
意味 (1)心がまえ。身がまえ。「態勢タイセイ」「態度タイド」 (2)さま(態)。すがた。かたち。ようす。「状態ジョウタイ」「奇態キタイ」 (3)わざと(態と)。わざわざ。
 ヒ・やめる・まかる  罒部  
解字 「罒(=网。あみ)+能(できる力をもつ)」の会意。できる力のある者が網にかかったように動けなくなる意。
意味 (1)やめる(罷める)。「罷業ヒギョウ」(業務を罷めること) (2)役目をやめさせる。「罷免ヒメン」 (3)つかれる。「罷弱ヒジャク」 (4)まかる(罷る)。退出する。死ぬの丁寧語。
 ユウ・くま  灬部
解字 「灬(火)+能(できる力をもつ。能く)」の会意。火がよく燃えあがること。一説にクマは火の精であると考えられたことから、この字を動物のクマに当てた。
覚え方 「灬(四つ足)+能(できる力をもつ)」の会意。能力のある力をそなえた四つ足の動物であるクマ。火が変化した烈火(灬)を四つ足と見なして覚える。
意味 くま(熊)。「熊掌ユウショウ」(熊の手のひら。および、その肉)「熊手くまで」(熊の手のかたちをしたもの)「熊襲くまそ」(古代、九州南部に住んだ部族の名)
 ヒ・ひぐま  罒部
解字 「罒(=网。あみ)+熊(くま)」の会意。網で捕獲する熊の意。網はオリの意味と思われる。
意味 ひぐま(羆)。クマ科の哺乳動物。大型で気性は荒く、しばしば人畜を襲う。胆嚢は薬用、毛皮は敷物などに利用される。日本では古くから羆を「四(し)+熊(くま)」と解釈して、「しくま」と呼んでいた。
<紫色は常用漢字>


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