石造美術紀行

石造美術の探訪記

あけましておめでとうございます。

2012-01-01 02:37:01 | お知らせ

あけましておめでとうございます。拙ブログサイトもおかげさまをもちまして早6年目に突入、日頃のご愛顧に改めて御礼申し上げます。

 さて、昨年UPできたのは結局32件、紹介記事としては28件にとどまりました。内訳は奈良が13件、滋賀が8件、京都が5件、三重2件、その他が4件でした。奈良が滋賀を抜いて初めてトップとなっています。過去にエントリ実績のあった和歌山、岐阜はゼロ、それと何とかしたいとずっと思っている大阪も結局ゼロでした。最近の傾向としては石仏の躍進が目立っています。石仏はひなびた味があって訪ねて楽しいものです。また、お顔があるせいか石塔に比べると親しみやすいものですが、一層ディープな世界、取り扱いは難しいですね。造形が複雑でより美術的な傾向が強く、それだけに時代色が出にくい事例が少なくないように思います。細部の表現にヒントが隠されていることもあるので注意深い観察が大切ですが、一方で全体のまとめ方、衣文や面相表現、醸し出される雰囲気など「作風」をつかみとることも忘れてはならない気がします。しかし何でこれが鎌倉でこっちが江戸やねん?というのがけっこうあって難しいです。

 それにしても石造物は依然として等閑視されています。小生の住む近くでも最近、大きい由緒ある墓地で無縁墓標の整理が行なわれ古い石造物がごっそり無くなってしまった例がありました。寂しい限りです。

 身近にあって次第に失われてゆく石造物ですが、そもそも「石」という素材が古人にチョイスされた理由の一つには、堅牢な材質がもたらす永遠性への期待感があったからに他ならないと思います。何かを長く後世に伝えようとしたわけで、そうした祖先の思いを汲み取ってあげるのは我々子孫の努めかもしれません。また、石造物の大部分は信仰対象であることから、単にモノとしてだけでなく内なる世界、ココロの世界をも垣間見る材料になりうるものです。忘れ去られた往昔の社会の様子や心の世界を紐解く貴重な資料になりうる潜在性を秘めたまま、次第に失われゆく石造物の価値はもっと顕彰されて然るべきではないかと思います。というわけで、余暇を利用してのマニアックな道楽は今年も続きます。まぁボチボチとやっていきますので、どうかよろしくお付き合いの程、お願いいたします。恐惶謹言

 

P.S.はなはだ心もとない内容ですので、勘違いや遺漏等のおそれこれなきにしもあらず、ご批正、ご意見、疑義、情報提供等の建設的なコメントをお待ちしております。(ただし内容に関係のないコメントはご遠慮ください。(2008年6月15日付お知らせ記事参照))