【写真:民主党代表選の投票を中継するテレビ画面を見つめる同党滋賀県連の朝倉克己幹事長(手前)ら(大津市京町3丁目)】
民主党の新代表に鳩山由紀夫氏が選出された5月16日、滋賀県内の同党関係者や支援団体は「反転攻勢への足掛かりができた」と期待を表明した。近づく衆院選をにらみ、自民、公明、共産の各党はそれぞれ批判を強め、社民はエールを送った。
■民主 反転攻勢へ足掛かり
大津市の民主党県連で代表選のテレビ中継を見守った朝倉克己幹事長は「鳩山新代表には政権交代への決意を感じた。総選挙勝利へ、党の中心で頑張ってほしい」と評価、「岡田克也氏も当然、党運営の要職につけ、挙党態勢をつくるべき」と話した。
ただ、代表選に党員らが投票できなかった点については「投票に参加させていれば、代表選が『親小沢』『非小沢』とはならなかった」と指摘した。
現職の三日月大造衆院議員(滋賀3区)の選対事務長を務める大井豊県議は「鳩山氏は挙党一致の党運営を進めてもらえる人材」とし、「新代表誕生で、下降気味だった支持率も上向くのではないか」と期待を込めた。
同じく田島一成衆院議員(滋賀2区)の選対本部長、江畑弥八郎県議も「小沢氏の献金問題で最近は遠慮気味だったが、今後は補正予算審議などでしっかり論戦してほしい」と話した。
党最大の支援組織、連合滋賀の中村憲市会長は、鳩山新代表について「小沢氏と一緒にやってきた党のマニフェスト(公約集)作成や組織づくりを引き継ぐ点は評価できる」とし、「党への風当たりが強くなりつつあったが、反転攻勢への足掛かりができたと思う」と評価した。
■他党 「体質」変わるか疑問
民主党の新代表に鳩山由紀夫氏が選出されたことについて、自民党県連の吉田清一幹事長は「岡田克也氏の方が地方の人気もあるし、世代交代が進んだことにもなるので、やりづらいと思っていた」と述べ、「鳩山氏には今後、(小沢氏の)傀儡(かいらい)などの批判も出るだろう。プラスかマイナスかはまだ分からない」と今後の動向を注視する考えを示した。
公明党県本部の梅村正代表は「代表選がきわめて短期間で、小沢氏辞任のきっかけとなった政治とカネの問題に対する明確な説明や大局的な政策論議がなかった」と批判。「小沢氏の影響力が残り、民主党の体質がどこまで変わるのかは疑問だ」とした。
共産党県委員会の奥谷和美委員長は「特に感慨はない。西松建設問題が契機となった代表選なのに、鳩山氏も岡田氏も党として問題を究明し、自浄能力を示そうとはしなかった。自民党と変わらない体質だ」と突き放す。
社民党県連の小坂淑子代表は「民主党は新代表のもとで体制を立て直してほしい」と期待を表明し、「野党協力に取り組んできた鳩山氏の代表就任は心強い。関係をより強固にして政権交代を目指す」と述べた。
【関連ニュース番号:0905/101、5月15日;0905/100、5月15日など】
(5月16日付け京都新聞・電子版:17日付けその他各紙も報道)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009051600186&genre=A1&area=S00
【民主党代表選:新代表に鳩山氏 次期衆院選出馬予定の4議員、結束呼び掛け】
◇支持者に結束を呼び掛け
16日の民主党代表選は、鳩山由紀夫幹事長が岡田克也副代表を抑え、新代表に決まった。県内の同党総支部による支持者らへのアンケートでは岡田氏を推す意見が多く、代表選の結果との間に「ねじれ」が生じた格好。次期衆院選に立候補を予定している4選挙区の衆院議員は、代表選直後の鳩山氏のコメント「選挙が終わればノーサイド」を合言葉に、支持者らに結束を呼び掛けた。【安部拓輝、南文枝、稲生陽、豊田将志】
◇アンケート結果と「ねじれ」
投票結果は鳩山氏が124票、岡田氏が95票。党役員室長として小沢氏を支えてきた4区総支部の奥村展三議員は、鳩山氏に投票した。「世論は、新鮮なイメージのある岡田さんにあった。ただ、政権交代のため与党に立ち向かうには野党共闘が不可欠。他の党を含めた統率力にたけた鳩山さんのもとで一致団結していきたい」と理解を求めた。
3区総支部の三日月大造議員は岡田氏に投票したが、「鳩山さんは懐が深い。幹事長を長年務め、力強い雰囲気も出てきた。代表選は1人しか選べないので結果は結果で(支援者らに)報告し、一丸となるよう呼び掛けていく」と強調した。
「結果は残念だが、総選挙を戦う以上、ノーサイド精神で全力を傾注したい」と話すのは、2区総支部の田島一成議員。総支部が支持者らに実施したアンケートでは7割が岡田氏の名前を挙げていた。同支部幹事長の江畑弥八郎県議は「党内に敵も味方もない。応援してくれた支持者には、衆院選に向けて突き進もうと呼び掛けたい」と話す。
1区総支部の川端達夫議員は、岡田氏が党代表だった時に幹事長を務めた。「政策や人柄などから岡田さんがリーダーにふさわしいと判断して応援したが、投票結果は民主党の国会議員みんなの意志。鳩山さんを先頭に政権交代へ進みたい」と力を込めた。
◇
代表選の模様はテレビで生中継されたが、市民からは冷静な声も。大津市浜大津の家電量販店で、テレビ売り場にいた京都市伏見区の自営業、近藤佳臣さん(30)は「今日が代表選とは気づかなかった。もっと時間をかけて宣伝すればいいのに」。妻の七恵さん(33)も「小沢さんの印象が強すぎて、岡田さんも鳩山さんも影が薄い」と話す。大津市の無職女性(30)は「市民には(15日から始まった)エコポイントの方が一大事。どちらの主張も大きな違いはない」と突き放した。
民主党県連の朝倉克己幹事長は「悔やまれるのは国民への密着度が低かった点。民主党が政権を担うことになれば、今回は総理大臣を決める代表選だったのだから、全国の党員が投票に参加できなかったことは課題だ」と話した。
(5月17日付け毎日新聞・電子版:同日付けその他各紙も報道)
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20090517ddlk25010343000c.html
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20090517/CK2009051702000005.html