一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

羽生九段、勝ち越しなるか

2021-02-23 00:13:46 | 男性棋士
羽生善治九段が18日の王座戦二次予選で佐々木勇気七段に敗れ、1991年の第39期から続けていた本戦トーナメント出場(王座獲得も含む)が、30年で途切れたという。
これはこれで興味深い話なのだが、それはまた別の機会に譲る。今回羽生九段はこの敗戦で、今年度の成績が20勝20敗になってしまったのだ。2月のこの時期に、勝率5割である。これはけっこうな緊急事態ではあるまいか。
常勝の羽生九段はつねに高勝率をキープしており、年度勝率7割は当たり前、好調の年は8割越えもあった。1995年度、羽生九段が七冠を獲った年などは、タイトル戦に出ずっぱりなのに46勝9敗・勝率.836という離れ業だった。
しかしその羽生九段も2016年度に27勝22敗となり、年度初の勝率5割台となった。実はその後もずうっと5割台なのだが、最も貯金が少なかったのがこの年度の「5」で、勝数も過去最少である。
ところが今回はまだ20勝で、年度最少勝数の更新はほぼ確実となっている。貯金も残り1ヶ月あまりで5つは厳しく、棋士生活35年目でワーストの可能性が極めて濃くなった。
問題は羽生九段が、勝率5割をキープできるかだ。ここで、今年度の残り対局予定を記してみよう。

第34期竜王戦1組4位決定戦1回戦 丸山忠久九段
第79期A級順位戦9回戦 三浦弘行九段(26日)
第62期王位戦白組リーグ1回戦 長谷部浩平四段
第6期叡王戦九段戦1回戦 三浦弘行九段
第70回NHK杯4回戦 斎藤慎太郎八段(28日放送)

NHK杯は28日放送だから、もう収録は終わっている。貯金5を達成するには、3勝を稼げるNHK杯での勝利が必須だが、もし斎藤八段戦に負けているようだと、貯金5どころか、貯金自体が黄信号となる。竜王戦が3月中にあったとして、ほかの4局を3勝1敗で乗り切らねばならない。
ちなみに先達の永世名人を見てみると、大山康晴十五世名人の年度初負け越しは、1977年度の27勝30敗(年度末で55歳)。
また中原誠十六世名人は、1997年度の21勝22敗である(同50歳)。
さらに谷川浩司九段は、2004年度の22勝28敗である(同42歳)。
こうしてみると齢50の羽生九段が年度で負け越してもやむを得ないのだが、いったん記録が途切れると、のちの成績もズルズル行きかねない。
中原十六世名人と谷川九段はその後も勝ったり負けたりの成績が多かったが、大山十五世名人は完全復活し、1978年度は39勝21敗(.650)、1979年度は53勝21敗(.716)、1980年度は41勝17敗(.707)という、理解不能の成績を取った。
羽生九段は大山型になるのか、はたまた中原・谷川型になるのか。まだまだ羽生九段から目が離せない。
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山根女流二段、17連勝

2021-02-22 00:13:36 | 女流棋士
18日、山根ことみ女流二段が女流名人戦予選で本田小百合女流三段に勝ち、公式戦17連勝。女流棋戦歴代3位タイを達成した。
山根女流二段は女流名人リーグに3期連続入りするなど実力には定評があったが、ここに来てそれを一気に開花させた感じである。17連勝の内訳も、加藤桃子女流三段、清水市代女流七段、上田初美女流四段、渡部愛女流三段のタイトル経験者に加え、室谷由紀女流三段、中村真梨花女流三段などウルサイところも倒してきている。17連勝に恥じないメンツだ。
ちなみに歴代連勝2位は中井広恵女流六段で、「19」。2010年の達成である。
当時は私たちジョナ研メンバーが、「植山悦行七段が2連勝したら、高級料理店にご招待」という企画をやっていた。たかが2連勝というなかれ。目標を見失ったフリークラス棋士が2連勝をするのはことのほか難しく、達成には結果的に数ヶ月を要した。
そのやりとりを苦々しく見ていたのが中井女流六段で、
「ねぇ2連勝って何? それでご馳走してくれるの? じゃあ私には何連勝したらご馳走してれるのよッ」
と言うから「じゃあ歴代記録の17連勝を抜いてください」と言ったら、中井女流六段はグオオオオオオ!!と奮起し、19連勝をしてしまったというわけだった。
私たちは大いに喜び、小皿が回らない高級寿司屋に招待したのは言うまでもない。
そして歴代1位は里見香奈女流四冠が2015年に達成した21連勝である。当時里見女流四冠は体調不良による休場から明けたばかりだったが、将棋を指せるよろこびに改めて目覚めたのか、2つのタイトル戦を含めて連戦連勝、8ヶ月で21連勝を達成したのだった。
今回山根女流二段には、それらの記録更新も見えてきた。
ところで山根女流二段には謝らねばならないことがある。私は昨年11月9日に当ブログで、女流王位戦リーグの勝敗予想をやった。そこで紅組の山根女流二段を「0勝5敗」としてしまったのだ。
ところが山根女流二段は、リーグ戦で4戦4勝した。つまり私はこの4局、すべて間違えたわけだ。1つか2つの間違いならまだしも、4つ間違いはいかにもマズい。
紅組リーグはほかに全勝と1敗者はいなかったから、山根女流二段は1局を残して紅組優勝が決まったわけだった。
まったく、山根女流二段には何とお詫びしていいかというところだが、言い訳をさせてもらえば、紅組のメンバーは加藤女流三段、渡部女流三段、中村女流三段、石本さくら女流二段、甲斐智美女流五段だった。これなら1局ごとの予想を重ね、たまたま山根女流二段を「0勝5敗」としてもやむを得ないのではないか?
改めて記録を見ると、山根女流二段の17連勝が始まったのは昨年の10月27日である。つまり私の勝敗予想時から、ずーっと連勝を続けていることになる。この事実も恐ろしい。
いや山根先生、浅はかな予想をして申し訳ありませんでした。
こうなったら山根女流二段には新記録を達成してもらいたいが、来月は女流順位戦で渡部女流三段との対戦がある。勝ったほうがほぼA級の大一番だ。いやこれは渡部女流三段を応援しなければならないが、私はどうしたらいいのだろう。
その前にあす23日は、女流王位戦リーグ最終局がある。消化試合の山根女流二段が負ければ、女流順位戦は渡部女流三段の応援に徹すればいいのだが、もし山根女流二段が勝って連勝を伸ばすとややこしいことになる。
ふう……。もう知らん。
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藤井二冠、高校を中退

2021-02-21 00:07:46 | 男性棋士
16日、藤井聡太王位・棋聖が名古屋市の高校を中退したとのニュースが入った。
一高校生の中退など大したことではないと思うが、いまをときめく二冠王の決断となれば結構なニュースで、読売新聞でも記事になった。
藤井二冠は高校3年生。退学の日付は1月末日だったようである。私の高校の場合、3年の3学期は受験勉強もあるから登校日が数日あるのみで、卒業式は3月1日だった。つまり3学期はないに等しく、藤井二冠も似たようなものだったと思うが、あと1ヶ月あまり、なぜ辛抱できなかったのだろう。
ただ記事を読み込んでいくと、藤井二冠は昨年秋ごろから、退学の意思を固めていたという。一刻も早く将棋に専念したかったらしい。だがそれなら学校側も、特例で卒業を認めてやったらどうだったのか。特例、は藤井二冠の場合まさにそうで、高校生でありながら将棋八段、タイトル2期に棋戦優勝数回、順位戦はB級1組昇級を決め、竜王ランキング戦ではいまだ負け知らず。昨年の対局料と賞金は4,500万円を越え、まさに「特例」にふさわしい。学校が卒業証書を渡したって、誰も文句は言わないだろう。
もっとも杉本昌隆八段によると、藤井二冠は出席日数が足りなくなっていたようだ。すなわちこのままいけば留年確定で、卒業どころではなかった可能性があるのだ。
そうなれば事情もやや変わって、学校側もおいそれと卒業証書は出せないところがある。
もっとも藤井二冠において、学歴はもはや必要がないといえる。これが求職中の私になると学歴は重要で、最低限高校は卒業していないと、その時点でハジかれる(いや違う、私は高校を卒業していても、履歴書送付の時点で9割以上不採用である)。藤井二冠は死ぬまで棋士であり、星野良生五段のように企業に就職することもないだろうから、履歴書を書く機会は永遠にない。となれば藤井二冠にとって卒業証書はただの紙切れに過ぎず、もはやどうでもいいのだ。
そういえば藤井二冠は、東京オリンピックの聖火ランナーも辞退した。これも結構な決断で、私が聖火ランナーになったら末代までの自慢で、何があっても走るところだ。
だがこれも庶民の浅はかな考えで、藤井二冠はすでに、末代までの自慢事をいくつも達成している。いまさら「聖火ランナーの栄誉」が加わったところで、何のよろこびもないのだ。
しかし……である。ここまで鬼神のように強かった藤井二冠が、今後は煩わしい高校生活(失礼)から解放され、将棋の勉強に専念する。当然棋力もバージョンアップするわけで、その破壊力は計り知れない。いやはや、藤井二冠はどこまで強くなるのだろう。
もはや不可能といわれる「八冠王」も夢ではない。私が死ぬまでに見たいものだ。
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2月6日の4時から男(後編)

2021-02-20 00:06:05 | 新・大野教室

第3図以下の指し手。△4三金▲3二銀△4四金▲4一銀成(第4図)
以下、Shin氏の勝ち。

私は△4三金と引き、次に△4四歩を見せたが、あまりにも悠長で、負けを早めた。Shin氏の▲3二銀が当然ながら好手で、後手はもう収拾がつかない。
実は△4三金と引くとき▲3二銀が見えたのだが、代わる手もなかった。
以下はボロボロになって、形も作れないまま投げた。

感想戦をやってもしょうがないが、第2図でShin氏は△4二飛を恐れていたという。なるほど、1枚多く4五に利かせるわけか。だがそれも検討を進めると先手がよくなり、クサッタ。
もっともShin氏も反省点はあって、▲2四歩△同歩の突き捨てが余計だったという。これがなければ第3図で▲1一銀と、飛車を殺す手があった。
どの変化もことごとく後手が悪くなり、踏んだり蹴ったりである。次回はもう少しマシな将棋を指したいものだ。
「この前の新宿将棋センターは2人でしたよ」
と大野八一雄七段。指導対局希望者が2人しかいなかったという。同センターは3月いっぱいで閉席となるが、こんな状態ではやむを得ないのかなと思う。
大野七段は少年と飛車落ちの指導対局をやっていたが中断し、私と少年の対局となった。
少年は4人目の棋客で、このコロナ禍において熱心なことだ。
私は飛車落ちでもいいのだが少年が納得するはずもなく、少年の先手で対局開始。また私が四間飛車に振った。彼の急戦もいつも通りだが、今日は▲4五歩と、4筋攻めに来た。
私は定跡通り進めるが、少年が▲9五歩△同歩の突き捨てを入れなかったのが緩着。数手進んで私は、▲2一の馬取りに△5一飛と自陣飛車を打つ。これには▲3三桂と打つ一手だが、私は△5五歩(第1図)と打って指しやすさを感じた。

少年は▲同角と取ったが△同銀で、駒得になった私が有利になった。
だが少年も妖しく力を出し、形勢は不明になった。この少年と飛車落ちで指そうとしていたのだから、私も無謀といえば無謀だった。

そこから数十手進んで第2図。ここで私は△4七歩成▲同歩△1九角成とし、▲3四馬△5五馬以下ネチャネチャした戦いになった。しかし第2図ではシンプルに△6五桂▲6六銀△5七歩と攻めたほうがよかったかもしれない。

さらに進んで第3図、ここで私は△3二角と打ち、▲3一飛成△7六馬▲7七金△2一角▲7六金△同角と進めたが、ちょっとおかしかった。
まず、△3二角と繋いだのが悪手。こう打ったため、△3二角が負担になってしまった。前回Kob君との一戦で、△7六馬に繋いで△5四角と打ったが、Kob君に喜んで▲7六飛と取られ、形勢を損ねた。あの悪夢があったのに、また私は似たような手を指している。全然学習していない。
本譜は少年が▲7六金と馬を取ったので私の被害も最小限で済んだが、▲7六金では▲2二飛とされたら、△2一角の処置に困っていた。
もっともそこから私も攻めあぐね、秒に追われて△7七銀と打ったのが悪手。少年は▲同桂と駒得に走らず、黙って▲6九玉と引いたのが好手で、これで△7七銀がスカタンになってしまった。
戻って△7七銀では△7七歩成と軽く指し、▲同桂△同型成▲同銀△8五桂とし、先手が▲7八玉形のうちに攻めを繋げるのだった。

第4図は私が△5七歩と叩いた局面。ここで少年が▲6五銀と桂を外したのが好判断で、私は△5八歩成▲同玉△6五歩としたが、▲7五桂で先手勝勢となった。
△5八歩成では△6八銀打▲同金△同銀成▲同玉△5八金▲7九玉△6五歩を考えたが、▲7八歩で負けと読んだ。しかし△6五歩では△7七歩成で先手も気持ちが悪い。よって▲7九玉では▲7八玉△6五歩(参考図)となるが、それでも▲5五角ぐらいで先手が余せそうだ。

以下私も妖しく頑張ったが、最後は即詰みに討ち取られた。最終▲8三金打!とした少年の手つきは力強く、私との平手戦初勝利のよろこびがあふれていた。
一応感想戦に入ったが、私は第3図からの△3二角を真っ先に悔やんだ。また△5一香▲5三歩の局面で私は△5三香と走り▲5八金に当てたが、これは5筋の守りが弱くなってよくなかった。
△5三香では△5三金寄とし、次に△6三金寄と戻り、香はあくまでも5一に置いたまま、竜筋を遮断していなければならなかった。
ふぅ……。少年とはこの前まで私の大駒落ちだったのに、ついに平手で負かされてしまった。これだから子供の成長は恐ろしい。
なんだか今日はスッキリしないので、Shin氏に2局目を請う。しかし6時も近いので、見送りとなった。
その代わりというわけではないが、Shin氏が大盤にて、実戦詰将棋を出してくれた(図)。Taga氏の実戦に現れたものだという。13手詰らしい。

私は考えたが、詰め上がらなかった。ただ、最初の3手は合っていたようだ。
大野七段は少年と指導対局のつづき。それが終わり、少年は帰宅した。現在大野七段と少年の手合いは飛車落ちで、今日は1勝1敗だったという。もう、ふつうに定跡通りに指したら少年が勝つらしく、2局目は大野七段が定跡を外し、何とか勝ったという。角落ちになるのも時間の問題であろう。
別の指導対局では、以下の局面が出現していた(図)。居飛車が優勢と見るが、ここでの正着が分からないという。

ためしに将棋ソフトにかけてみると、ソフトは「▲6六金打」を示した。これに△同角▲同金△5七歩成なら、▲4六角からと金を抜こうということか。
「なるほどそう指すのか。いや居飛車がいいということは分かったんだけど、そこからどう指すかという具体的な手順が見えませんでした」
と大野七段。
これが将棋ソフトの理想的な使い方なのかもしれない。

食事は大野七段、Shin氏、私の3人で、いつものインドカレー屋に行った。W氏がいないのが珍しく、この組み合わせは初めてかもしれない。
美味しくカレーをいただいたあと、軽くおしゃべりになったが、時節柄景気のいい話も出ない。なんだか締まらないまま散会となった。
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2月6日の4時から男(前編)

2021-02-19 00:06:02 | 新・大野教室
この6日は埼玉県川口市にある大野教室に行った。午後3時45分ごろ入室し和室に入ると、Ok氏とShin氏が対局中で、それをTaga氏が見物していた。ほかにアマ棋客はいなかった。この緊急事態宣言下では外出も億劫で、その影響がモロに出た形である。おまけに、W氏も休みだった。
Ok-Shin戦は終盤戦だったが、私はTaga氏と対局を始めてしまう。Taga氏の先手で、角道開けの四間飛車。これは角を換わって向かい飛車にする狙いで、Taga氏の十八番でもある。でも私は迎え撃つことにした。
Ok-Shin戦はすぐに終わってしまい、もうほかの組み合わせはないから、中途半端になった。これなら少し待って、私-Shin戦を始めるべきだった。
私は△4四角から△6五銀(第1図)とゆさぶる。しかし狙いが単純で、あまりよくなかった。


それでも数手後に私が香得して十分に思えたのだが、Taga氏も飛車を捌いて悪くない。しかし第2図でTaga氏が▲7三銀と打ったのがどうだったか。△7三同桂▲同馬△8六飛は、この右桂と銀が交換になって、私がずいぶん得をした。
戻って第2図では、露骨に▲8三銀もあったかもしれない。私も△6三香と打ち飛車の取り合いになるのだが、これは先手の銀も遊びそうなので、まあいい勝負だと思っていた。
ともあれこれで私が優勢になったはずだが、数手後Taga氏の▲6四桂△5一金引▲5二香が俗手ながら厳しい攻めで、これで逆転し、Taga氏が良くなった。
だがその直後、Taga氏の▲6二歩成が重大な一手パスだった。こんなに力を溜めなくとも、すぐに▲5一香成~▲5二桂成と迫ってTaga氏の勝勢だった。
本譜は私が△2二玉まで逃げ越せたことが大きく、再び逆転である。私は反撃に転じ、第3図は後手勝勢。

以下、△2七桂成▲同銀△同香成▲同玉△3五桂まで、私の勝ちとなった。
感想戦は第2図のあたりを中心にやったが、後手十分の変化も多かった。
お次はShin氏との対局である。隣では、Ok-Taga戦が始まった。Shin戦は私の後手で、▲7六歩に△3四歩。一瞬△8四歩も考えたが、矢倉はやる気がなかった。
以下、Shin氏の居飛車明示に私の四間飛車になった。Shin氏は飛車を浮き、左銀を動かさず▲6八金直。Shin氏は最新戦法を取り入れるのがうまく、以前横歩取り青野流の速攻を喰らってひどい目に遭ったことがある。今回の布陣も研究済みで、私も警戒せねばならない。成算はないが、私は△6三銀~△7二金と変化してみた。
右の将棋は、Ok氏がお神酒指しのような形から、△1七角成と歩をちぎっての突貫攻めに出た。Ok氏は以前もお神酒指しだったからマイブームなのだろうが、この攻めに関しては明らかに無謀だ。Ok氏、簡単に大駒を切る癖は克服したと思ったが、またぶり返してしまったようだ。
Shin氏は▲3五歩と仕掛け、私は△3二飛と寄る。

第1図以下の指し手。▲3六飛△2二角▲3四歩△同銀▲3三歩△同飛▲4四角△3五歩▲2六飛△4三金▲8八角△3二飛▲2二角成△同飛▲1一角△3二飛▲6六角成△3三角▲5五歩△4四金▲5六馬(第2図)

▲3六飛と力をためた手に、私は△2二角。さらに▲3四歩以下部分的な定跡手順になった。
▲2六飛に△4三金は手堅いが、金銀がバラバラになるのでマイナスの部分のほうが大きい。
▲8八角△3二飛に角を換わり、▲1一角が好点。角筋を避けた角上がりが、ここでは居飛車に有利に働いている。
ここで△3三角も考えたが、▲2二角成△同角▲8八銀のあと▲4一飛が厳しく残り、後手いけない。よって△3二飛だが、▲6六角成の形は先手が手厚く、十分になった。
△3三角には冷静に▲5五歩とされ、私は△4四金と上がったが、次に△4五歩と打てるわけでもない。▲同桂△同銀▲同銀△同金に▲3四銀があるからだ。

第2図以下の指し手。△4二角▲2四歩△同歩▲4五銀△同銀▲同桂△3六銀▲3三歩△2二飛▲4六歩△2五歩▲2九飛(第3図)

Ok-Taga戦は、Ok氏の角損の攻めが通って、Ok氏が勝勢だ。あの攻めでも勝ってしまうから、また無理攻めがやめられない。ここは難しいところである。
そのOk氏がいう。
「大沢さんもなあ、オレと駒落ちをやったときは、自分の勝ち筋しか言わねえんだもんなあ。もっと下手の勝ち筋を教えてくださいよ」
それはもっともだが、下手は指し始めの時点で優勢なのだから、意外に教えるところもない。それより、上手が逆転したのに勝ち切れなかったことのほうが問題だ。私はその勝ち筋を探しているのである。
第2図で先手は▲3四馬△同金▲4三銀の狙いがある。それを避けて私は△4二角と引いたが、これも覇気のない手だった。
Shin氏は▲2四歩と突き捨て、▲4五銀と待望の進撃である。△同銀▲同桂の局面は先手の駒がすべて捌けて、優勢は疑いない。
ただここで後手の番なので、反撃するなら唯一のチャンスだ。私は△3六銀ともたれたが、▲3三歩△2二飛に▲4六歩と穏やかに指され、△3六銀がボケてしまった。△2五歩と突いたが▲2九飛と引かれ、とても2筋攻めは間に合わない。
もう後手敗勢だが、次の手は負けを早めた。

(つづく)
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