第3図以下の指し手。△4三金▲3二銀△4四金▲4一銀成(第4図)
以下、Shin氏の勝ち。
私は△4三金と引き、次に△4四歩を見せたが、あまりにも悠長で、負けを早めた。Shin氏の▲3二銀が当然ながら好手で、後手はもう収拾がつかない。
実は△4三金と引くとき▲3二銀が見えたのだが、代わる手もなかった。
以下はボロボロになって、形も作れないまま投げた。
感想戦をやってもしょうがないが、第2図でShin氏は△4二飛を恐れていたという。なるほど、1枚多く4五に利かせるわけか。だがそれも検討を進めると先手がよくなり、クサッタ。
もっともShin氏も反省点はあって、▲2四歩△同歩の突き捨てが余計だったという。これがなければ第3図で▲1一銀と、飛車を殺す手があった。
どの変化もことごとく後手が悪くなり、踏んだり蹴ったりである。次回はもう少しマシな将棋を指したいものだ。
「この前の新宿将棋センターは2人でしたよ」
と大野八一雄七段。指導対局希望者が2人しかいなかったという。同センターは3月いっぱいで閉席となるが、こんな状態ではやむを得ないのかなと思う。
大野七段は少年と飛車落ちの指導対局をやっていたが中断し、私と少年の対局となった。
少年は4人目の棋客で、このコロナ禍において熱心なことだ。
私は飛車落ちでもいいのだが少年が納得するはずもなく、少年の先手で対局開始。また私が四間飛車に振った。彼の急戦もいつも通りだが、今日は▲4五歩と、4筋攻めに来た。
私は定跡通り進めるが、少年が▲9五歩△同歩の突き捨てを入れなかったのが緩着。数手進んで私は、▲2一の馬取りに△5一飛と自陣飛車を打つ。これには▲3三桂と打つ一手だが、私は△5五歩(第1図)と打って指しやすさを感じた。
少年は▲同角と取ったが△同銀で、駒得になった私が有利になった。
だが少年も妖しく力を出し、形勢は不明になった。この少年と飛車落ちで指そうとしていたのだから、私も無謀といえば無謀だった。
そこから数十手進んで第2図。ここで私は△4七歩成▲同歩△1九角成とし、▲3四馬△5五馬以下ネチャネチャした戦いになった。しかし第2図ではシンプルに△6五桂▲6六銀△5七歩と攻めたほうがよかったかもしれない。
さらに進んで第3図、ここで私は△3二角と打ち、▲3一飛成△7六馬▲7七金△2一角▲7六金△同角と進めたが、ちょっとおかしかった。
まず、△3二角と繋いだのが悪手。こう打ったため、△3二角が負担になってしまった。前回Kob君との一戦で、△7六馬に繋いで△5四角と打ったが、Kob君に喜んで▲7六飛と取られ、形勢を損ねた。あの悪夢があったのに、また私は似たような手を指している。全然学習していない。
本譜は少年が▲7六金と馬を取ったので私の被害も最小限で済んだが、▲7六金では▲2二飛とされたら、△2一角の処置に困っていた。
もっともそこから私も攻めあぐね、秒に追われて△7七銀と打ったのが悪手。少年は▲同桂と駒得に走らず、黙って▲6九玉と引いたのが好手で、これで△7七銀がスカタンになってしまった。
戻って△7七銀では△7七歩成と軽く指し、▲同桂△同型成▲同銀△8五桂とし、先手が▲7八玉形のうちに攻めを繋げるのだった。
第4図は私が△5七歩と叩いた局面。ここで少年が▲6五銀と桂を外したのが好判断で、私は△5八歩成▲同玉△6五歩としたが、▲7五桂で先手勝勢となった。
△5八歩成では△6八銀打▲同金△同銀成▲同玉△5八金▲7九玉△6五歩を考えたが、▲7八歩で負けと読んだ。しかし△6五歩では△7七歩成で先手も気持ちが悪い。よって▲7九玉では▲7八玉△6五歩(参考図)となるが、それでも▲5五角ぐらいで先手が余せそうだ。
以下私も妖しく頑張ったが、最後は即詰みに討ち取られた。最終▲8三金打!とした少年の手つきは力強く、私との平手戦初勝利のよろこびがあふれていた。
一応感想戦に入ったが、私は第3図からの△3二角を真っ先に悔やんだ。また△5一香▲5三歩の局面で私は△5三香と走り▲5八金に当てたが、これは5筋の守りが弱くなってよくなかった。
△5三香では△5三金寄とし、次に△6三金寄と戻り、香はあくまでも5一に置いたまま、竜筋を遮断していなければならなかった。
ふぅ……。少年とはこの前まで私の大駒落ちだったのに、ついに平手で負かされてしまった。これだから子供の成長は恐ろしい。
なんだか今日はスッキリしないので、Shin氏に2局目を請う。しかし6時も近いので、見送りとなった。
その代わりというわけではないが、Shin氏が大盤にて、実戦詰将棋を出してくれた(図)。Taga氏の実戦に現れたものだという。13手詰らしい。
私は考えたが、詰め上がらなかった。ただ、最初の3手は合っていたようだ。
大野七段は少年と指導対局のつづき。それが終わり、少年は帰宅した。現在大野七段と少年の手合いは飛車落ちで、今日は1勝1敗だったという。もう、ふつうに定跡通りに指したら少年が勝つらしく、2局目は大野七段が定跡を外し、何とか勝ったという。角落ちになるのも時間の問題であろう。
別の指導対局では、以下の局面が出現していた(図)。居飛車が優勢と見るが、ここでの正着が分からないという。
ためしに将棋ソフトにかけてみると、ソフトは「▲6六金打」を示した。これに△同角▲同金△5七歩成なら、▲4六角からと金を抜こうということか。
「なるほどそう指すのか。いや居飛車がいいということは分かったんだけど、そこからどう指すかという具体的な手順が見えませんでした」
と大野七段。
これが将棋ソフトの理想的な使い方なのかもしれない。
食事は大野七段、Shin氏、私の3人で、いつものインドカレー屋に行った。W氏がいないのが珍しく、この組み合わせは初めてかもしれない。
美味しくカレーをいただいたあと、軽くおしゃべりになったが、時節柄景気のいい話も出ない。なんだか締まらないまま散会となった。