一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

大いちょう寄席(前編)

2017-11-11 02:05:38 | 落語
将棋ペンクラブ幹事・湯川博士氏から封書が届いたのは10月12日である。
中を見ると、バトルロイヤル風間氏のイラストによる、「大いちょう寄席」の案内だった。場所は湯川氏の地元、埼玉県和光市の長照寺。開演日は10月31日(火)。演者は将棋ペンクラブ会長(弁護士・作家)・木村晋介氏、湯川氏、湯川恵子さん、参遊亭遊鈴さんらである。
長照寺は昨年、湯川氏のご母堂が他界された際法要が行われたところで、私もお通夜に参列した。その縁で今回、連絡が来たと思われた。
それはありがたいことだが、開演日が平日というのはどうなんだろう。将棋関係者ならともかく、普通の人は平日、仕事をしている。私が自営業なのを湯川氏が承知して送ったのならいいが、あいにく私は求職中の身で、31日にはどこかの会社で働いているかもしれない。
そう、私が最初に職安を訪れてから3か月。さすがに就職を決めなければならない時期に来ていた。

ところがその後も職安では、これといった企業が見つからなかった。
ある企業の編集募集では、実技試験でワードの早打ちがあった。
私はブラインドタッチはできないので、タイプのスピードは遅い。企業内容は魅力的だが、これでは申し込むのを憚られた。
ほかにも編集者募集の企業はあったのだが、やはり「編集経験者」の条件で阻まれて、応募するまでには至らなかった。
もう編集希望は封印して、一般業務にも申し込もうかと考えた。たまたま見つけた企業は、自社施工ビルのメンテナンスだった。1日数軒、自社ビルを回って瑕疵の有無を点検するのだ。
これはおもしろそうだったが、仕事にすればいろいろ雑事が多く大変だろう。
まあ仕事はどれも大変なのだが、私の欲する業務でないように思われた。
ほかにもいくつかあったが、私は度重なる不採用にすっかり怖気づき、結局何も進展がないまま、寄席の日を迎えてしまった。ああ…。

最寄り駅の和光市には、自宅最寄り駅からJR山手線、東武東上線と乗り継げば早い。しかし401円かかる。東京メトロを使えば時間はかかるが、2度の乗り継ぎを経て278円で着く。差し引き123円の節約は大きい。それで地下鉄を使った。
和光市駅に着いた。まずは腹ごしらえである。長照寺方面の反対側出口は開けていて、松屋があったが、サラリーマンでいっぱいである。
さんざん迷ってココイチに入った。トッピングはおカネがかかるので、ベーシックなポークカレーにする。
待っている間、案内をもう一度見た。湯川氏手書きの地図が添付されていた。長照寺へは路線バスが通じていて、私も昨年、行きは利用した。案内には「タクシー・ワンメーター」とあったが、ワンメーターとは、初乗り料金で着くのか、1回料金が上がるのか。もし上がるのなら2キロ以上ある。
しかし前回バスを利用した時は、意外に早く着いた記憶がある。歩いていければいちばんいいが、万が一道を間違えたらマズイので、行きはバスを使うことにした。
それに現地まで歩いていくには、もう時間がなかった。
ポークカレーを流し込んでバス停に行くと、13時05分発のバスが出るところだった。開場は1時、開演は1時半だからちょうどいい。
2つ目の「下井戸」で下車した。ここまでせいぜい4~5分しかかかっておらず、これで175円とはアホみたいである。電車賃の123円をケチって30分近くロスしたのに、ここでバス代を散財しては意味がない。何でこの区間も歩きにしなかったんだろうと後悔した。
下井戸から長照寺へは距離があったが、道を間違えてはいなかった。その途中、道の塀に案内が貼ってあった。何だかこの寄席は、地元のこぢんまりしたイベントに思える。私のようなヨソ者がお邪魔しても、浮いてしまいそうだ。
長照寺は客殿で行われるようで、受付には列ができていた。そのほとんどが還暦過ぎの御老体である。もちろん地元の方だ。庭には大いちょうがそびえており、この会の名前の由来はここから来ていると察せられた。
受付には写真家の岡松三三さんがいたから、将棋ペンクラブと無縁ではないらしい。奥から恵子さんが現れて、「あらあ大沢さん、来てくださったのオ」とソプラノで言った。知己に会って、やや落ち着いた。
それにしても受付が遅い。こんなもん、木戸銭の500円を払うだけだからチャッチャッと済ませられそうなものだが、何をモタモタしているのだろう。住所とか書かせているのだろうか。
途中から記入用紙を2枚にしたようだ。やっと私の番になった。住所の記載はなかったが、懇親会の出欠の欄があった。参加費は1,000円だが、ペンクラブ会員は参加するのだろうか。まだ客殿には入っていないが、確実に少ないとは思う。
私はとりあえず「○」を付け、なにがしかのお土産をもらい、中に入った。
ぶち抜き2間の和室には、先客がいっぱいいた。年齢層は前述の通り還暦越えで、年金暮らしが多そうだ。これでは平日の開催でも支障はないわけである。
ペンクラブ会員はやっぱり見当たらない。私は年末の「将棋寄席」をイメージしていたから、アテが外れた格好だ。
席は座布団席と椅子席の混合。ただ住職は、椅子は使ってもらいたくない雰囲気だった。私は座布団の上にかしこまった。
受付時にいただいた「出演者・演目紹介」のプリントを見ると、仏家シャベル(湯川氏)の項に、「自宅で社会福祉サロンを毎月開催」とあった。その常連と思しき客がいろいろしゃべっており、どうも今回の落語会は、そのサロンの発展形と思われた。
1時半になり、開演である。出演者の面々が舞台に現れた。
(つづく)
コメント (2)
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