一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

由紀VS一公・4「好局をフイにした」

2017-11-27 00:07:28 | 女流棋士の指導対局会

第12図以下の指し手。▲4七歩△7六桂▲4三と寄△3七歩▲5八飛△4五歩▲同銀△6八桂成▲同飛△3八歩成▲5二と寄(第13図)

奥の香落ちの男性氏の将棋も終わったようだ。ここも2局目に入る。私の指し手のペースが遅いとは思わないが、私が考え過ぎているのだろうか。
第12図で△7六桂を受けたらおかしくなる。私は▲4七歩と打った。竜筋を止めつつ、▲4六金にヒモを付けたものだ。これは冷静な好手だったと思う。
△7六桂には▲5二ととしたいところを堪えて、▲4三と寄。ここで上手が角か金を取ったあと△5一香と我慢したら指す手が分からなかったが、△5一香は指導対局で指さないと思った。
左の男性氏の2局目が終わった。もともと終盤からの再開だったので、意外に早かった。
だがこの将棋も感想戦をやる。いや~、ここで2局目の感想戦は勘弁してほしい。でも局面はおもしろそうだし、室谷女流二段が関心を寄せるのは仕方ない。
だがこれでは、私の将棋は時間内に終わらないな、と思った。
室谷女流二段は△3七歩。私の飛車の侵入を防いだものだが、自分の竜の横利きも封じるから一長一短である。
▲5八飛には、△4五歩▲同銀を利かして△6八桂成。この手を△3七歩に代えて指されたら▲6八同飛と取る予定だったので、私はトクをした。
室谷女流二段は△3八歩成と改めて竜筋を通したが、おかげでやっと、▲5二と寄が実現した。

第13図以下の指し手。△4六角▲同銀△4七竜▲6二と△同金▲5二と△5八金▲6二と△同玉(第14図)

室谷女流二段は△4六角~△4七竜。半分働いてなかった角が、この金と交換になったのは痛い。さすがにプロで、うまく捌いてくるものだ。もっともこちらも、角が入ったのは大きい。
本譜▲6二と△同金には▲5七金もあったが、これはほとんど考えなかった。もう寄せ合いにいかないと、時間がない。
私は▲5二と。形は▲5二桂成だが、相手に駒を渡したくなかった。
室谷女流二段は△5八金と張り付く。私は▲6二ととし、△同玉には予定の手があったのだが…。

第14図以下の指し手。▲5二桂成△同玉▲2五角△6二玉▲5二金△7一玉▲6二金打△8二玉▲7二金△同玉▲4七角△6八金▲同玉(終了図)
まで、117手で終了。

左の将棋の感想戦は、大野八一雄七段も加わり白熱している。でもこれって、何か違うんじゃないかと思う。何かそこだけが、大野教室の夜8時の光景だった。
第14図で▲5二金△7一玉▲6二金打と追うのはイモ筋で、1枚足りない。
私は▲5二桂成と捨てた。これに△7一玉なら▲6二金以下詰み。よって△5二同玉だが、▲2五角で王手竜がかかった。だがこれはもう一勝負の形で、下手の最善ではない気がした。
このあたりで右の男性氏の将棋が終わった。時刻は12時30分まで残り4、5分だった。
局面、ここで△3四歩もあったが、室谷女流二段は△6二玉。時間もないので、深くは考えないのである。
ここで▲5四桂△同歩▲5三角△同玉▲5二金の詰み筋が浮かんだが、角は2五に使ってしまった。私は飲み物を注ぎに冷蔵庫へ行く。と、大野七段が
「大沢さん、詰みがある時は詰まさなくちゃ」
と言った。
「…?」
「▲5二桂成のところで、▲5四桂。△7一玉は▲6二金で簡単。△5四同歩は▲5三角…」
あの上手玉に即詰みがあったのか?
本譜、私は金打ちを決めて相手玉を寒くしたあと、▲4七角と戻す。時刻はすでに12時半を過ぎており、あとは「アディショナルタイム」である。
が、室谷女流二段は△6八金▲同玉に「負けました」と投了してしまった。

「…投了ですか?」
「はい。△7六桂でも▲7七玉で詰まないし…」
しかしあまりにも急で、私は勝った実感がない。実際この局面で△7一金と受けられたら、私は指す手が分からなかった。時間切迫による上手の投了、は時々あり、今回は室谷女流二段がそれをやったと思った。つまりこの将棋は「指しかけ終了」である。
私はさっきの詰み筋を述べる。
「▲5二桂成では▲5四桂で詰みだったらしいです」
「あ、そうですね。私も▲5二桂成を読んでました」
「はあ、さっき大野先生に教えられまして…」
私は消え入る声で応えた。
「(下手の)と金攻めが間に合うかどうかが勝負でしたよね。▲4七歩がいい手でした。
(時間もないので)ひとつだけ。△4五香(第11図)の時、▲3七飛とぶつけられるかと思いました」

確かに△3七同竜なら▲同金で△4五香がスカタンになるが、△2八竜と躱されたら相変わらず金取りが残る。それはどうなのだろう。
ただそれを聞くと長くなるので、これで感想戦は終わりとした。
最後は大野七段が、私と室谷女流二段とのツーショット撮影を申し出てくれたが、丁重にお断りした。もちろん室谷女流二段は撮影したいが、自分が写真に写るのが嫌なのだ。
今回室谷女流二段に初めて教えていただいたが、室谷女流二段はひたすら綺麗で、各人との感想戦も丁寧だった。人当たりもいいし、彼女が人気ナンバー1なのも分かる気がした。
現在私の女流棋士ファンランキングは同率1位で渡部愛女流二段、室谷女流二段なのだが、次回の発表は表記が逆になりそうである。
とにかく今日は楽しかった。室谷先生に厚く御礼を申し上げるとともに、再びお手合わせできる日を楽しみにします。

帰りの車中で、改めて「▲5四桂」の詰み筋を考えてみる。第14図で▲5四桂!(参考図)

以下△同歩▲5三角!!△同玉▲5二金△4三玉▲3四金!(幻の詰め上がり図)までピッタリ詰み。▲4四桂が3二に利いているのが素晴らしい。私の持駒に角桂が入ったこと、△4五歩▲同銀の交換が入ったことで、上手玉が詰めろになっていたのだ。

ならその前の▲5二とで▲5二桂成とすれば、4三にと金が残って、▲5四桂の筋が見つかったかもしれない。だがその形なら室谷女流二段も詰み筋に気付き、△5八金に代え受けに回ったかもしれない。
一見即詰みがなさそうな▲4四桂の形に詰みがあったところに、価値があるのだ。
ともあれ華麗に詰まして終われば、室谷女流二段に「このハゲてる人、寄せがステキ」と惚れられた?のに、つまらん王手竜を掛けて会心局をフイにした。
結局私は凹むのだった。
(おわり)
コメント
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