一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第28回社団戦最終日(2)

2017-11-05 00:38:03 | 社団戦
プロ野球日本シリーズ第6戦、DeNAは9回裏を何としても抑えなければならなかった。

   ◇


第4図以下の指し手。▲7七桂△7六歩▲同銀△5六歩▲5四歩△4四銀▲6六角△4三金▲4五歩△同銀▲1一角成△3三銀上▲5五香△5一飛▲5三歩成△同金▲同香成△同飛(第5図)

両隣のShin氏、Kob君は劣勢。ただ勝敗はまだ分からないし、ほかの4人も何とかしてくれると信じていた。
第4図あたりで東海氏の時間はなくなっていた。私は10分残っており、持ち時間の削減は、私に有利に働いている。
局面、△8八歩に私の狙いは▲5四歩である。△同銀は▲4四桂、△4四銀は▲4五歩△同銀▲4四桂がある。こうなればうまいが、△8八歩に黙って△8九歩成とされると、▲5三歩成△同金で面白くないと思った。だがこれは間違いで、▲5四歩の変化も相手に桂を渡すわけだから、8九の桂を堂々と差し出せばよかったのだ。
本譜私は▲7七桂と跳ねたが、ここで△4三銀と上がられたら前述の▲5四歩が消え、面倒なことになると思った。が、東海氏は△7六歩。▲同銀の一手に△4三銀か△7二飛と思いきや、△5六歩と突きだしてきた。
これに▲5八歩と受けては攻め味がなくなるので、私は期待の▲5四歩。△4四銀には△5七歩成を防ぎつつ、▲6六角と打った。この味がいいと思い、実際東海氏も顔をしかめたのだが、冷静に△4三金と上がられると、狙いの▲4四桂が消えてしまった。▲6六角では予定通り▲4五歩だったかもしれない。
私は遅ればせながら▲4五歩。対して△同銀はさすがで、△3三銀引は気合が悪くて指せないところである。とはいえそう我慢されたら、先手は容易でなかった。
私は勇躍▲1一角成とし、最低限の戦果は挙げた。
△3三銀上には▲5五香。これで駒得が確定し、何とかよくなったと思った。

第5図以下の指し手。▲4四歩△4二金▲9一角成△4六香▲5五桂△5四銀▲4三香(第6図)

第5図で▲4四金を考えたが、何かダサイ感じである。そこで▲4四歩と置いた。もし△4二歩なら▲2四桂△同銀▲2二金△3三玉▲2一金△2三玉▲2二馬(参考1図)まで先手勝ち。ところが東海氏に△4二金と上がられて、アテが外れた。

ここで藤井猛九段なら▲4三金だろうか。△同金▲同歩成に、△同玉なら▲2一馬、△同飛なら▲5五桂だ。だが、若干単調な気がして▲9一角成と攻め駒を蓄えた。が、これも緩手。東海氏に△4六香と金取りに打たれ、急に先手が忙しくなってしまった。
私はとりあえず▲5五桂。東海氏は△5四銀と我慢したが、△4九香成もイヤだった。
さてこの局面、ここでも▲4三金がある。以下△同銀▲同歩成△同金▲同桂成△同飛は、後手の駒も捌けた感じで、先手も恐いところがある。
私の持ち時間も残り2分半ぐらいになって、目をつぶって▲4三香と打った。

第6図以下の指し手。△5五銀▲4二香成△同銀▲5五馬△4九香成▲4三銀△同銀▲同歩成△同飛▲2一馬(途中図)

△4一玉▲5二銀△同玉▲4三馬△同玉▲3三飛(投了図)
まで、一公の勝ち。

左のKob君は投了。序盤はいい将棋だったようだが、中盤で悪くしてからは穴熊ペースで、そこから形勢は変わらなかったようである。ただし、佐藤氏とTakai君、Kun氏は勝ったようなので、4勝は余裕でいくと思った。
局面、▲4三香に△同銀と取ってくれれば、▲4三金に比して先手が大儲けだ。私が恐れていたのは△5二金で、これで後手陣に詰めろがかからない。▲1二馬も△2二銀と引かれてダメだ。ただ東海氏も秒読みなので、冷静に△5二金は指さないと思った。だが相手の失着に期待するようでは、すでに形勢は逆転していたかもしれない。
本譜、東海氏は△5五銀と桂を外したので、私は窮地を脱した。
私は▲4二香成から▲5五馬。これを△同飛は4三の地点で清算して飛車が抜ける。
東海氏は△4九香成としたが、私は▲4三銀と打ち込み、▲2一馬(途中図)。これが決め手で、以下は即詰み。▲3三飛(投了図)まで、東海氏が頭を下げた。

感想戦は初手から行われた。まず、序盤の△6四銀に東海氏は▲6五歩(参考2図)を気にしたという。以下△同銀▲6七銀△5四銀▲5五歩△4五銀。

「久保-松尾の竜王戦にこんなのがありましたね」
と私。検討ではここでなぜか後手番になって進めたため、後手有利の変化になった。
本譜△8四飛の後の▲6五歩は東海氏も痛かったようで、△同桂▲4四角の局面では、敗勢を自覚したという。しかしそれは早計と思う。私も悲観派だが東海氏もそうで、この局面は後手もまだまだ希望がある。
中盤、私の△4三銀の指摘には同意してくれた。
また第5図で▲4四金には、△5一飛と指す、とのこと。それなら私は▲4五金と銀を取るが、金が敵陣から離れるのでどうか。
さらに第6図での△5二金は、検討の結果は後手十分の結論がでた。私は薄氷の勝利だったことになる。
感想戦の途中、Shin氏が勝利した。これで5勝は確実で、チームは余裕の勝利となった。
誰かに声を掛けられたので振り向くと、渡部愛女流初段の姿があった。今日も魅力的である。
社団戦で女流棋士に挨拶させていただく。選手としてこれ以上の勲章があろうか。
長めの感想戦が終わり、改めてHon監督に勝敗を聞く。
「4勝3敗だった」
「何イ!?」
5勝はしていたと思うから、私はビックリである。
「佐藤さん負けたんだよ。Homma君もいい将棋を敗れて…。最後Shinさんが勝ってくれてよかったよ」
「おいおいおい、じゃあ危なかったんじゃねえかよ!!」
もし東海氏に第6図で△5二金と寄られていたら…。私は社団戦の恐ろしさに愕然とした。

気を取り直して、2回戦である。相手は学習院櫻将会で、私は五将で参戦。ところが相手が5人しかいない。そこで四将のShin氏が辞退した。いやそれなら私が抜けたほうがいい。で、私も辞退したら、何と2人とも抜けてしまった。佐藤氏が「抜けすぎだよ」と不安な顔をする。メンバーは佐藤氏、Taga氏、Hos氏、E氏、Homma君。佐藤氏の勝利は確定として、残り4人で1勝はするだろうと思った。
だが、佐藤氏の不安が的中することになる。
(つづく)
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