一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

大いちょう寄席(中編)

2017-11-12 01:48:16 | 落語
10、11日は、血圧が上がる大失敗を立て続けにやってしまった。
こうも巡り合わせが悪いってことがあるのかねえ。すべては自業自得なのだが、他人から見たら大した出来事ではないので、「そのくらいなんだよ」と片づけられそうなのが悔しい。
この話は、後日アップします。

(きのうのつづき)
高座の両脇に第1部の出演者が揃う。まずは司会・石川英俊氏のスピーチ。
「明日11月1日は何の日かご存知ですか」
11月1日は、鹿野圭生女流二段の誕生日だが…。「それは古典の日です。今日は古典芸能を楽しみましょう」
続いて寺本俊篤住職の挨拶。まだ若く、30~40代であろう。
「こういう畳の席での寄席は珍しいと思います。畳に触れる、ということが大事なんですね。皆さん休憩の時は、大の字になっていただきたい。畳の良さを味わってください」
鳥飼八五良氏は、ここ長照寺で寄席が行われる経緯を述べた。
なお本日はJ’COMのカメラが入っており、後日ニュースで放送されるとのことだった。
それにしても、客は年金生活者ばかりだ(失礼)。そこに現役バリバリでいなければならない私が闖入しているのがおかしく、私の場違い感は否めない。
しかも周りを見れば知己が一人もいない。これで3時半からの懇親会に出るってどうなんだろう。和光市の人と親しくなっても意味がないのだ。せめてこの出欠伺いが仲入りの時に行われていたらと思うが、それを言っても詮無い。
第1部は構成吟「奥の細道」。松尾芭蕉が「奥の細道」で詠んだ句を、行程に沿って吟じていく。ナレーションは森田美風さん。
吟者は8人で、一番手は湯川恵子さん。恵子さんは知る人ぞ知る美声の持ち主である。
「くさのとも~」
私はのんびり聴くのみ。以下寺本住職「行く春や」、石川氏「あらたふと」と続く。
私は「出演者・演目紹介」のプリントをもらっているが、さらに構成吟の内容文を持っている客もいる。これは私はもらわなかった。要するにプリントがなくなってしまったのだろう。
以下、「夏草や」「閑かさや」など、私でも知っている句が吟じられ、束の間の旅気分を味わった。
ここで仲入り。スタッフさんが、演目紹介のプリントを配っている。これは数を刷ったものの、それすらも途中でなくなってしまったということだろう。
第2部は「落語」。トップバッターは仏家シャベル(湯川博士)「粗忽の使者」。
「私は学生の時に和光市に越してきまして、以来50年が経ちました。もうすっかり和光の人間です。ウチで落語を演る時は20人くらいお越しいただくんですが、本日はお陰さまで100人以上のお客さまに来ていただきました」。
そんなに来たんじゃ、プリントもなくなるわけだ。
マクラの後に演題の内容をサラッと紹介し、落語が始まった。
「粗忽の使者」は、「じぶたじぶえもん」という侍が上司の親戚筋に挨拶に行くのだが、家老が挨拶に出ると、じぶえもんは「口上の内容を忘れてしまった」と言う。
じぶえもんは、自分のお尻をつねってくれれば思い出すかもしれないと、家老につねらせる。
シャベル氏の話はふだんの語り口とそう変わらないので、こちらも構えずに聞ける。酒の席での世間話の延長のようだ。
お尻をつねるくだりは多分この話の山場で、シャベル氏の身振り手振りも熱が入る。私たちはクスリとさせられる。
下げも決まって、シャベル氏安定の出来であった。
2人目は参遊亭遊鈴(女流)「赤とんぼ」。プロフィールには「茅ヶ崎在住。落語研究会主宰」とある。茅ヶ崎からの遠征とは、よほど湯川氏に出演を熱望されたのだろう。
「赤とんぼ」とは、桂文枝の創作落語らしい。この類の寄席で、創作落語は珍しい。
話は、ある会社の社員が、仕事中に童謡を口ずさむ。すると同僚が、「そんなのを上司に聞かれたら大変だぞ。上司は異常な童謡好きだから」と言う。
結局彼は上司に童謡好きがばれ、上司と童謡酒場に行くのだが…。
遊鈴さんは女性らしい語り口で、こちらは落ち着いて聴ける。
話の中でいくつかの童謡が歌われるが、その歌詞に「間違い探し」の趣があって、私たちは歌詞のうろ覚えにハッとするのだ。
私たちは郷愁を感じつつ、しみじみ聞いた。
トリは木村べんご志(木村晋介)「片棒」。
木村べんご志氏は本業が弁護士で、今をときめくタレント弁護士の走り。土曜の昼に放送されていた「7人のHOTめだま」では、毎回ユニークな持論を展開していた。
先日の社団戦にも元気に出場していたが、勝敗はどうだったのだろう。
話は、ある大問屋の主人・ケチ兵衛はその名の通りケチで有名。ある時3人の息子・金太郎・銀次郎・銅三郎を呼び寄せて、もし自分が死んだらどんな葬式を出すか問う。三者三様の考えがあって、その違いがおもしろい。
べんご志氏は葬儀の寺に長照寺を入れたりして、爆笑を得る。浅草では「浅草今半」の名前も出てきた。実座の店舗が出ることで、私たちも親近感が沸くのである。このあたりのカスタマイズはうまい。
べんご志氏も身振り手振りを大仰に交え、客席は爆笑の渦である。J’COMのカメラマンも、撮影に力が入っているように思えた。おもしろい。
下げも見事に決まって、やんややんやの大喝采。私は何度かべんご志氏の落語を聞いているが、今回はいちばんの出来だった。
(つづく)
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