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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

渡部女流四段が予備予選から出る怪

2025-06-20 23:44:06 | 将棋雑記
あす21日は都内で、第19期マイナビ女子オープン予備予選一斉対局が行われる。その中に、渡部愛女流四段の名があるのに驚いた。漠然とだが、予備予選は、予選にすら参加できない女流棋士、のイメージがある。
だが渡部女流四段は第7期清麗戦で挑戦者になったし、第5期白玲戦・女流順位戦B級でも、一足早くA級復帰を決めている。いつもながら、強い。
もっともマイナビ女子オープンは、他棋戦の活躍に一切関知しないのが特色である。それにしたって渡部女流四段が予備予選から出るとは意外で、私はその経緯を調べてみた。
すると前期は、予備予選の決勝で森本理子女流2級に敗れていた。渡部女流四段が女流2級に敗れたのもアレだが、前期も予備予選に参加していたことに驚いた。
そして第17期は、予選1回戦で、頼本奈菜女流初段に敗れていた。
そして第16期は、本戦トーナメント1回戦で、上田初美女流四段に敗れていた。
そして第15期では、本戦ベスト4に進出し、準決勝で里見香奈女流四冠に敗れていた。
まったく、面白いように、徐々に成績が悪くなっていっている。
だけどこの成績で、予備予選行きは厳しくないか? それで21日の予備予選参加者を見ると、中村真梨花女流四段、鈴木環那女流三段、室谷由紀女流三段など、けっこうな強豪が出ていた。
そこで、マイナビ女子オープンの規定を読むと、この予備予選は、第15期から始まっていた。それまでは、プロアマ混合のチャレンジマッチがあったが、それはアマ一本とし、プロは予備予選の参加となったわけだった。
そして予備予選の参加は、「予選1回戦の敗者」であった。
それまでは、予選1回戦で3年連続敗退者が、チャレンジマッチ行きだった。だが女流棋士が多くなり、「予選1回戦の敗退で、即予備予選行き」と改定されたのだろう。
一見厳しく思えるが、とても分かりやすい、とはいえる。そしてチャレンジマッチのときは、プロは公式戦扱いされなかったが、予備予選では、公式戦にカウントされるのも、当然ながらよい。
それでも何か、予備予選にうらぶれた雰囲気があるのは、この名称に「敗者感」があるからだろう。
だから「予備予選」を女流王座戦みたいに、「一次予選」と改称すればいいのだ。そして現在の予選を「二次予選」とすれば、すべて丸く収まる。
…………などということは、参加の女流棋士は、どっちでもいいのだろう。
名称の件でごちゃごちゃ言っているのは、細かいことが気になる将棋ファンだけなのだった。
予備予選に参加の皆さま、あすは頑張ってください。
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王座戦ベスト4

2025-06-13 00:14:25 | 将棋雑記
第73期王座戦は、挑戦者決定トーナメントが進行中だが、このたび勝ち残り4名が決定した。羽生善治九段、屋敷伸之九段、広瀬章人九段、伊藤匠叡王で、左の2名がきょう13日、右の2名が24日に対戦する。
1日の記事の続きになるが、私は大方の将棋ファンと同じく、藤井聡太VS羽生善治のタイトル戦を見たいのだが、このメンバーはどうなのだろう。個別に見て行こう。
まず屋敷九段だが、言っちゃあなんだが、この4名の中で屋敷九段の名前がやや異色だ。実力者がひしめく現棋界で、よくここまで勝ち上がってきたと思う。今期は、一次予選を勝ち抜いた長谷部浩平五段、斎藤明日北斗六段と、若手実力者を撃破した。屋敷九段は53歳。屋敷九段の活躍も特筆モノである。
その屋敷九段に羽生九段は相性がよく、ここまで26勝8敗である。ただ直近5局に限定すると、屋敷九段の○○○○●となる。もはや屋敷九段に苦手意識はなく、きょうも熱戦が期待できる。
仮に羽生九段が負けたら、今度は屋敷九段を応援することになる。屋敷九段の前回のタイトル戦登場は、七段時代の2001年・第42期王位戦で、通算7回目のタイトル戦だった。しかし結果は、羽生王位に0勝4敗で敗れた。今回王座戦登場となれば24年ぶりのタイトル戦で、西村一義九段の「ブランク18年」、山崎隆之九段の「同15年」を大幅に塗り替える大記録となる。
右の山に移り、広瀬九段。広瀬九段はNHK杯で早々に負け、最近調子が悪いというイメージがあるのだが、こうしてベスト4に残っているのはさすがだ。
羽生九段VS広瀬九段といえば、第31期竜王戦で広瀬九段が4勝3敗で勝ち、羽生九段のタイトル100期を阻止したのが有名だ。だが、両者の対戦成績は羽生九段25勝、広瀬九段17勝で、羽生九段としてはまずまずだ。イヤな相手ではないと思う。
そしてもうひとりが、伊藤叡王。伊藤叡王は2回戦で永瀬拓矢九段を破った。この結果はむしろ羽生九段にとって大きく、羽生九段は永瀬九段に、8勝20敗なのである。
レジェンド羽生九段に苦手棋士があるはずもないが、対戦成績の悪い相手を回避できるのなら、それに越したことはない。羽生九段は、対伊藤叡王戦1勝0敗。だから右の山では、どちらが出てきてもよい。
ちなみに伊藤叡王VS広瀬九段は、3勝3敗の五分である。
とりあえずはきょうの結果だ。
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清水会長誕生!!

2025-06-09 21:09:50 | 将棋雑記
6日の棋士総会および理事会で、清水市代女流七段が日本将棋連盟会長に選出された。50%以上の確率で「ある」とは思っていたが、びっくりした。
当の清水新会長はこの結果を、「日本将棋連盟の挑戦だと思います」と表現した。なるほどそうかもしれないが、清水会長は理事歴も長いし、男性会長にはない視点も持ち合わせている。具体的には女流棋士の妊娠と対局スケジュールの関係など、清水会長だから解決できる課題は多い。
東京・将棋会館の廊下を颯爽と歩く清水会長。その脇にカバンを持っていそいそと歩く森下卓常務理事の姿が浮かぶようである。新生理事会の活動に期待大である。
しかしその一方で、「女流棋士は白玲5期でフリークラス入りの権利を持つ」議題も通過してしまった。これは参加棋士の総意で決まったものだからしょうがないが、以前も記した通り、これだけは私は反対だった。
女流棋戦でどれだけ並外れた成績を取ろうと、それは女流棋界だけの成績であって、(男性)棋士の世界には連動しない、が持論である。
ただまあ現状でフリークラス入りの権利を得そうなのは、白玲3期の西山朋佳女流二冠、同1期の福間香奈女流六冠だけだから、まあよしとしよう。
ともあれ清水先生、あらためて会長就任、おめでとうございます。
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54歳以上の挑戦者

2025-06-01 13:47:05 | 将棋雑記
5月29日に行われた第73期王座戦挑戦者決定トーナメント・羽生善治九段VS菅井竜也八段戦は、羽生九段が勝ち、準決勝進出となった。
54歳・羽生九段は、挑戦者まであと2勝。夢のタイトル100期に向けて、将棋ファンの期待は高まる。
では、54歳以上で挑戦者になった例を、記してみよう。年齢は、挑戦を決めた対局日現在とした。

・55歳3ヶ月 大山康晴十五世名人 1978年・第19期王位戦(1-4中原誠王位)
・56歳9ヶ月 大山康晴十五世名人 1980年・第29期王将戦(4-2加藤一二三王将)
・58歳3ヶ月 大山康晴王将 1981年・第22期王位戦(3-4中原誠王位)
・59歳10ヶ月 大山康晴王将 1983年・第8期棋王戦(0-3米長邦雄棋王)
・63歳0ヶ月 大山康晴十五世名人 1986年・第44期A級順位戦(1-4中原誠名人)
・66歳10ヶ月 大山康晴十五世名人 1990年・第15期棋王戦(0-3南芳一棋王)

54歳以上でタイトル戦の挑戦者に躍り出たのは、6例しかない。そのすべてが、大山十五世名人である。
そして奪取は、第29期王将戦の1例のみ。挑戦しても、対戦相手との相性もあるが、タイトル奪取は難しい。羽生九段も、仮に王座戦の挑戦者になっても、相手は難敵である。だが、羽生九段には、王座24期の実績がある。
いずれにしても、話は挑戦者になってからだ。
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山下奨励会三段、竜王戦5組優勝!!

2025-05-14 23:29:25 | 将棋雑記
12日の第38期竜王戦ランキング戦5組決勝で、奨励会員の山下数毅三段が高田明浩五段に勝ったのには驚いた。
これで山下三段は5組優勝、決勝トーナメントに進出した。竜王戦38期にして、決勝トーナメントに棋士以外が名を連ねるのは初めて。否、8大タイトル戦を通しても、本戦やリーグ入りを果たしたのは初めてだと思う(16日註:読者からの指摘により、2022年の第48期棋王戦で、里見香奈女流五冠が、本戦入りを果たしていた。下調べ不足をお詫びいたします)。将棋界今年最大のニュースになった。
改めて振り返ってみよう。今期の山下三段は、前期6組からの昇級を受け、5組からの出場だった。
1回戦は井上慶太九段に不戦勝。しかし2回戦は今をときめく藤本渚五段(現六段)で、山下三段は前期の6組決勝でも敗れていることから、さすがにここは厳しいと思われた。
しかし山下三段は苦しい将棋を逆転勝ち。これで波に乗り、3回戦は第7期叡王戦挑戦者の出口若武六段に勝ち、連続昇級に王手とした。
準決勝の相手は山本博志五段。山本五段も地味ながら毎年成績はよく、今期C級2組順位戦でも、最後まで昇級を争った。その山本五段に山下三段は勝ち、4組への昇級決定。そして12日に決勝戦を戦ったというわけである。
決勝の高田五段も突出した実績はないが毎年好成績を収め、不敵な面構えは若いころの南芳一九段にも似て、私は高田五段ノリだった。
将棋は開始30分で千日手になるという波乱の出だしとなったが、指し直し局は山下三段が落ち着いて指し、快勝。殊勲の勝利となったわけだった。
棋界広しといえども、上記4名に全勝できる棋士はそれほどいない。山下三段、あっぱれの5組優勝であった。
さあこうなると、決勝トーナメントの戦いも楽しみである。いま将棋界の関心は、次点2回の四段昇段より、決勝トーナメントでの活躍に焦点が絞られている。藤井聡太フィーバーから数年、初めて藤井竜王・名人を凌ぐ話題となった感もある、
山下三段は5組代表なので、挑戦者になるには、まだまだ先は長い。では、山下三段のいる左の山を見てみよう。

6組優勝 古森悠太五段or谷合廣紀四段
  ↓
4組優勝 石田直裕六段or狩山幹生五段
  ↓
1組5位 森内俊之九段or三浦弘行九段
  ↓
1組4位 郷田真隆九段or松尾歩八段
  ↓
1組優勝 佐々木勇気八段or八代弥七段

まず6組は古森五段か谷合四段だが、山下三段のほうが上のクラスにいるので、恐れる理由がない。
4組の石田六段も狩山五段も、山下三段が勝ってきたメンツを見れば、十分に勝機がある。
難敵なのが1組5位だが、森内九段はフリークラスで、全盛時の強さはない(失礼)。三浦九段も来期からB級2組所属で、山下三段は来期からB級2組の藤本六段に勝っているのだから、これも勝機がある。
その考えで行くと、1組4位の郷田九段も松尾八段も、B級2組である。いまの山下三段の勢いなら、勝てる。
そしてここまで勝てば、1組優勝者の佐々木八段か八代七段と当たる。佐々木八段は前期竜王戦の挑戦者だし、今年も王位戦では挑戦者まであと1勝としている。最も脂の乗っている棋士で、さすがにここは厳しい。
だが八代七段だったら、まだC級2組所属ということもあるし、勝機があるのではないか。
そして右の山から誰が出てくるか分からないが、極端な話、藤井竜王・名人以外なら、山下三段にも望みはある。
今年の夏は、山下フィーバーを堪能したい。頑張ってください。
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