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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

白玲5期で棋士に!?

2025-04-24 00:20:26 | 将棋雑記
22日、スマホを見ていたら、「白玲5期で棋士に」の見出しが躍っていたので、驚いた。本文を読むと、白玲を5期(永世白玲)獲得すれば、棋士四段としてフリークラスに編入する、とのことだった。しかも優勝賞金が4000万円になる、とのことだった。さらに特別賞1000万円も付くという。
さらに、棋聖戦も同様の賞金になるとのことだった。
改めて整理してみよう。

①棋聖戦の優勝賞金が4000万円に。さらに特別賞1000万円。(現行第96期より)
②白玲戦の優勝賞金が4000万円に。さらに特別賞1000万円。(現行第5期より)
③白玲5期獲得で、棋士四段としてフリークラス編入。

棋聖戦と白玲戦は、平たく言うと、優勝賞金が5000万円になるということだ。現在の竜王戦の優勝賞金が4400万円なので、ここだけ取れば、竜王戦を上回ることになる。
白玲戦(女流順位戦)は2020年創設の大型棋戦で、主催は日本将棋連盟とヒューリック。第4期までの優勝賞金は1500万円で、これだけでも文字通りケタ外れだったが、今回の措置で、賞金額が一気に3倍以上となったわけだ。
だが棋聖戦は、3倍どころではない。棋聖戦は1962年創設の歴史ある棋戦で、かつては竜王戦、名人戦に次ぐ席次3位だったが、現在は8位に甘んじている。ヒューリックは2018年から特別協賛していた。
昨年までの棋聖戦の優勝賞金は公表されていないが推して知るべしで、数百万円だったと思われる。ゆえに、優勝賞金は数倍の高騰となったわけだ。
しかもその適用が現在進行中の第96期からということで、これは藤井聡太棋聖はもちろん、挑戦者決定戦に駒を進めた永瀬拓矢九段、杉本和陽五段には、ビッグニュースとなったことだろう。
ただ、これで棋聖戦が序列1位となったわけでなく、6位に浮上したのみだった。序列は優勝賞金の多寡ではなく、契約金の多寡である。とはいえ、棋士の目の色が変わるのは間違いない。
さてここまでは、羽生善治会長とヒューリック・西浦三郎会長がガッチリと握手をかわしていたから、確定である。
だが③の「白玲5期で棋士四段」は、確定ではない。あくまでも羽生会長の腹案(たぶん)で、6月6日の棋士総会に諮られ、可決されれば、施行される。
だがこれ、どうだろう。個人的には、賛成しない。
もとより私は、棋士編入試験の類も反対派である。棋士は奨励会を抜けて四段になるのが正道であり、それ以外の道はないと考える。だから女流棋士が女流棋戦でいくら活躍しようが、それは女流棋界内での話であって、棋士の世界には連動しない。
むろん福間香奈女流五冠や西山朋佳女流三冠の強さは認めるが、奨励会三段リーグを抜けられず、棋士編入試験も落ちたのだから、仕方ないと考える。この2名を四段にさせたいがための「白玲5期」だとしたら、それはちょっとアプローチが違うと思うわけである。
まして白玲はこれから、優勝賞金5000万円になるわけだ。福間女流五冠と西山女流三冠は、こちらで頑張れば十分なのではなかろうか。
むろん私は部外者だから、棋聖戦や白玲戦の賞金がいくら上がろうが、どうでもいい。
ただこの白玲の賞金、あまりにもデカすぎて、ほかの女流棋戦から浮いてしまうのではなかろうか。私にこのおカネがあったら、女流順位戦の対局料を増額させているところである。
また白玲5期のフリークラス編入も同様で、どっちでもいい。とりあえず、6月6日の棋士総会の結論を楽しみにしている。
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2024年度の引退者、フリークラス転出者

2025-04-05 23:48:04 | 将棋雑記
1日、2024年度の引退者、フリークラス転出者が発表された。
では、見てみよう。

■引退
福崎文吾九段(フリークラス規定)
長沼洋八段(フリークラス規定)
有森浩三八段(フリークラス規定)
木下浩一七段(フリークラス規定)
増田裕司七段(フリークラス規定)
斎田晴子女流五段(女流棋士引退規定)

■フリークラス転出者
島朗九段
小林裕士八段
平藤眞吾七段
高野秀行七段

四段デビューがいれば引退者がいるのが常だが、さびしいものがある。
福崎九段はタイトル2期。圧巻は1986年・第25期十段戦で、米長邦雄十段から4勝2敗でタイトルを奪取した。
その原動力となったのは振り飛車穴熊で、4勝中3勝がこれ。第2局、第5局、第6局はどれも畢生の名局で、福崎穴熊を全国区にした。将棋ファンなら一度は並べるべきである。
長沼八段は「駒取り坊主」の異名を持つ。その長沼八段を有名にしたのは、2007年度の第57回NHK杯。羽生善治三冠に会心の指し回しで勝ち、準決勝に進出した。
余談ながら、この翌年から羽生九段は、NHK杯4連覇を達成する。それだけに、よけいにこの勝利が光った。
長沼八段は第82期にC級2組から降級したのだが、その前にフリークラスに転出していれば、現役生活は伸びた。だが長沼八段は、順位戦を指すことにこだわり、殉じた。その心意気に拍手である。
有森八段は、第2回(1977年)の中学生名人。当時の中学生名人はひときわ権威があり、私たち将棋仲間では、ヒーロー的存在だった。
プロデビュー後は、四段ながら王将戦、十段戦のリーグに入り、力のあるところを見せた。
有森八段が健康体だったら、タイトル戦に登場していたと思われる。
木下七段においては、とくに思い出がない。申し訳ない。
増田七段は、私に容姿が似ている。フリークラス10年目の昨年度は、あわや順位戦復帰か、の活躍を見せたが、後半に大失速し、大魚を逸した。
斎田女流五段は、「ミス四間飛車」の異名を持つ、振り飛車の名手。その斎田女流五段が、なぜ引退になったか分からない。ただここ数年は成績が悪かったので、その累積で強制引退となったと思われる。
斎田女流五段が女流名人を保持していたころ、私は千駄ヶ谷で、斎田女流名人にバッタリでくわしたことがある。
斎田女流名人は黄色いコートを着ていて、ひときわ輝いていた。私が「あ、あ……」と口ごもっていると、斎田女流名人は静か微笑んだものだ。美しいひとだと思った。
その後、私は何かの会で、斎田女流五段に指導対局を受けた。もちろん私が吹っ飛ばされたが、いまでは懐かしい思い出である。

フリークラスは4名転出。
島九段は言わずと知れた、初代竜王。ほかの「花の55年組」と同じく、徐々にクラスを下げたが、C級2組では、まだ降級点を取っていなかった。ゆえにまだ順位戦の寿命はあったのだが、持ち時間の長い対局に堪えられなかったと推察する。
小林八段、平藤七段、高野七段は、順位戦C級2組で降級点2につき、現役寿命延命のため、転出したと思われる。
ただ、小林八段はC級1組のイメージがあったから、いつの間にか崖っぷちにいたことに驚いた。
もっとも平藤七段と高野七段も、第81期にC級1組から降級し、第82期、第83期はC級2組で降級点を取ってしまった。戦いの緊張感が切れると、それを回復させるのは難しいようだ。

引退者の皆様にはお疲れ様でしたと言いたいし、フリークラスの皆様には、普及をよろしくお願いします、と言いたい。
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私が勝手に選ぶ、2024年度下半期・驚愕の一手

2025-04-04 23:06:01 | 将棋雑記
半年に一度のお楽しみ、「私が勝手に選ぶ、2024年度下半期・驚愕の一手」を記す。
この半年も棋士の繰り出す好手妙手を堪能した。そこで驚愕の一手を選ぶのは難しいが、やはり藤井聡太竜王・名人の手から選ぶことになりそうだ。
ALSOK杯第74期王将戦(主催:日本将棋連盟、毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社)第5局・藤井王将VS永瀬拓矢九段戦は、永瀬九段が初手・飛車先の歩を突いた手に、藤井王将は角道を開けて応じた。この手を最初に見たときは「ああ、そんな手もあるか」と思ったが、のちに藤井王将が公式戦で初めて指した手と知って、評価が変わった。
永瀬九段は深い研究で定評がある。藤井王将が2手目に飛車先の歩を突くと分かっていればその後の研究もしやすい。いままではそれを藤井王将が受けてきたが、容易ならずと見て変化したわけだ。
これは永瀬九段にとって衝撃で、2手目にこの手があると、横歩取りや雁木、ないとは思うが振り飛車まで多彩な戦法が考えられ、その対策は膨大なものになってしまう。
実戦は永瀬九段に動揺が生じ、いい所なく敗れてしまった。
藤井王将は4月から名人戦で永瀬九段とまみえることになっていた。この2手目は「こんな手も指しますよ」という大きなメッセージだった。まさに「驚愕の一手」にふさわしい。
これからの藤井竜王・名人がますます楽しみになった。
コメント (2)
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第52回将棋大賞、決まる

2025-04-02 13:53:55 | 将棋雑記
1日、日本将棋連盟から、第52回将棋大賞が発表された。
では、雑感を記そう。

最優秀棋士賞 藤井聡太竜王・名人(5年連続5回目)
優秀棋士賞 伊藤匠叡王(2年連続2回目)
敢闘賞 永瀬拓矢九段(2回目)
新人賞 岡部怜央五段(初)
最多対局賞 岡部怜央五段 63対局(初)
最多勝利賞 岡部怜央五段 49勝(初)
勝率一位賞 服部慎一郎七段 .843(43勝8敗)(初)
連勝賞 藤本渚六段、岡部怜央五段 17連勝(ともに初)
最優秀女流棋士賞 福間香奈女流五冠(10年連続15回目)
優秀女流棋士賞 西山朋佳女流三冠(4年連続4回目)
女流最多対局賞 加藤桃子女流四段 53局(2年連続3回目)
東京将棋記者会賞 青野照市九段
升田幸三賞 佐藤天彦九段(▲6六角型向かい飛車)
名局賞 第9期叡王戦第5局 藤井聡太叡王VS伊藤匠七段
女流名局賞 第4期白玲戦第1局 西山朋佳白玲VS福間香奈女流五冠
名局賞特別賞  第74回NHK杯将棋トーナメント準決勝 藤井聡太竜王・名人VS増田康宏八段

最優秀棋士賞の藤井竜王・名人は当然として、伊藤叡王の優秀棋士賞は、意見が割れたかもしれない。
というのは、タイトル獲得後に、これといった活躍がなかったからだ。だが順位戦も昇級したし、ほかに候補もいなかったということで、伊藤叡王に落ち着いたのだろう。
敢闘賞は永瀬九段。私はまったく視野に入らなかったのだが、王座戦、王将戦、名人戦の挑戦者になったのだから、当然か。
東京将棋記者会賞は、青野九段。私は昨年、青野九段と予想したのだが、1年遅れた。
升田幸三賞は佐藤天彦九段の「▲6六角型向かい飛車」になったが、これには異論がある。「▲6六角」は金沢孝史六段が2014年に指したもので、その後も採用している。もちろん、向かい飛車に振った将棋もある。
メジャーではない戦法に光を当てた佐藤九段の功績も大きいが、当ブログでは、金沢六段の名前も挙げておく。
女流名局賞は、第4期白玲戦第1局。私の勉強不足で、この将棋は再確認しなかったのだが、いま見てみると、確かに熱戦だった。
名局賞特別賞は、予想では書かなかったのだが、NHK杯の藤井竜王・名人VS増田八段戦になった。これは納得である。
この将棋、増田八段が入玉した藤井玉をしっかり寄せていれば、候補には上がらなかったと思う。そこで増田八段が正着を逸し、双方入玉模様になって俄然、熱を帯びてきた。
最後は藤井竜王・名人が増田玉を詰まして、勝ち。自陣の金銀が詰みに一役買うという、奇跡的な詰みだった。
名局とは、双方に悪手がなかった将棋ではない。見る者の心を熱くさせる将棋をいうのだ。
今年度も熱い将棋を期待したい。
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第52回将棋大賞を予想する

2025-03-31 13:32:00 | 将棋雑記
2024年度も、きょうが最後。では、第52回将棋大賞の予想をしよう。
まず、記録部門を記しておく。

最多対局賞…岡部怜央五段 59局(初)
最多勝利賞…岡部怜央五段 46勝(初)
勝率第一位賞…服部慎一郎七段 .837(41勝8敗)(初)
連勝賞…岡部怜央五段 17連勝(2024-07-30~10-10)(初)
女流最多対局賞…加藤桃子女流四段 53局(3回目)

記録部門は、岡部五段の三冠。勝率も、藤井聡太竜王・名人を抑えて2位だった。
女流最多対局賞は、加藤女流四段が2年連続3回目の受賞。よく勝たなければ取れない賞で、加藤女流四段の実力の高さを物語っている。
続いて個人賞だが、これはもちろん、予想となる。

最優秀棋士賞…藤井聡太竜王・名人
優秀棋士賞…伊藤匠叡王
敢闘賞…丸山忠久九段
新人賞…岡部怜央五段
最優秀女流棋士賞…福間香奈女流五冠
優秀女流棋士賞…西山朋佳女流三冠
東京将棋記者会賞…西山朋佳女流三冠
升田幸三賞…山崎隆之九段
名局賞…第9期叡王戦第5局 藤井聡太叡王VS伊藤匠七段
女流名局賞…第17期マイナビ女子オープン第2局 西山朋佳女王VS大島綾華女流二段

最優秀棋士賞は、言うまでもなく、藤井竜王・名人。
優秀棋士賞は、前年に続き伊藤叡王とした。やはり、常勝の藤井竜王・名人から叡王を奪取したのが大きい。
敢闘賞は、達人戦、銀河戦優勝の丸山九段とした。54歳にして2つの棋戦優勝は見事だ。
新人賞は、順位戦で昇級を決めた服部七段、岡部五段、上野祐裕寿五段のいずれかで迷ったが、服部七段は2年前に受賞しているので、記録部門三冠の岡部五段とした。
続いて女流棋士部門に移り、最優秀女流棋士賞と優秀女流棋士賞は、それぞれ福間女流五冠と西山女流三冠。ことに福間女流五冠は、不戦敗でタイトル戦を敗退しながらも、よく五冠を守った。それぞれの受賞も異論はないだろう。
東京将棋記者会賞は、どうせ当たりっこないのだが、棋士編入試験で最後まで沸かせてくれた、西山女流三冠とする。
升田幸三賞は、具体的な戦法はないのだが、つねに独創的な将棋を見せてくれる、山崎九段としたい。
名局賞は、常勝の藤井叡王から伊藤七段がタイトルをもぎとった、第9期叡王戦最終局としたい。
角換わりで始まった本局、見ごたえのある攻防が展開されたが、最後は伊藤七段が藤井叡王の猛追を躱し、殊勲の星となった。
女流名局賞は、第17期マイナビ女子オープン第2局とする。大豪西山女王に、新鋭大島女流二段が挑んだ一局。大島女流二段がうまく指し、終盤まで大優勢。そこで西山女王が秘術を尽くし、逆転。最後は一気の寄せで勝ち切った。負けた大島女流二段は残念だったが、全国の将棋ファンに、実力のほどを見せつけた。
棋士、女流棋士の皆様、今年度1年も、数々の熱局を、ありがとうございました。
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