10年ほど前、2001年には、年間報告症例数は 33,812 人。全患者数は 17 万～ 33 万人程度と推定されていました。
2001年7月に日本小児科学会，日本小児保健協会，日本小児科医会が「麻疹の予防接種率向上
と麻疹撲滅に関する要望書」を厚労省へ提出。
接種率は2001年の52%から2003年63.4% に上昇。
2004年1月から麻しんワクチン定期接種の標準年齢が生後 12-24 か月から 12-15か月と変更。
2005年の報告症例数は537例、2006年520例（患者数はほぼ1万人を下回ったと推定）。
この時期はまだ今のような全数ではなく基幹定点からの報告で把握していました。
（約 3,000カ所の小児科定点と約450カ所の基幹定点からの成人症例の報告）
2006年4月1日からMRワクチン（麻疹風疹混合ワクチン）導入。6月2日から世界標準の「2回接種」になりました。
このままうまくいくのかな？と思った関係者もいたのかもしれませんが、このあと年齢が上の子ども・成人でも麻疹症例の増加が問題になります。
2006 年11月、東京や埼玉から沖縄に修学旅行にでかけた高校生が麻疹を発症（4名入院）。
2007年の小児科定点から報告された症例では、10～14歳が激増。10歳以上が全体の44 ％に。
全数報告である「急性脳炎」について、2007年は8 人の麻疹脳炎が把握されました。
ワクチン未接種で麻疹脳炎に罹患し、重篤な経過をたどった13歳女児例 IASR 2007年
麻疹に中枢神経症状を合併した成人症例 IASR 2007年
2003年の事例ですが、麻疹罹患後、急性脳炎で死亡した成人女性例報告もありました。
また、カナダへの海外修学旅行中に麻疹を発症した事例では
Japanese students quarantined at Vancouver airport hotel
現地でホテルに隔離されたり、乗るはずだった飛行機への搭乗が拒否されました。
台湾への持ち込みも問題視されました。
このことは国際的な注目をあびましたが、日本では「皆がなる病気」「はしかにかかったようなもの」的認知でしたが、世界は、1例出たら大騒ぎ、持ち込むなんてバイオテロか？的対応をされて、「え？そんなに問題なの？」とな反応をする医療者も少なくありませんでした。
2012年に向けた麻疹排除計画は日本だけでなくWHO西太平洋地域（WPRO)の目標でもあります。各国は、FIELD GUIDELINES FOR MEASLES ELIMINATIONをもとに、排除に取り組んでいます。
韓国は日本より先に、麻疹排除宣言。
Elimination of Measles --- South Korea, 2001--2006
日本は2007年に再び大きな成人での麻疹流行を経験し国際的にも問題になり、本格的に排除計画がたちました。
Progress Toward Measles Elimination --- Japan, 1999--2008
【参考】麻疹排除（elimination）の定義
※2003 年1 月に行われた WHO/CDC/UNICEF による麻疹専門家会議においての合意
「広大な面積と十分な人口を有する地理的領域において，麻疹ウイルスの常在的伝播が起こり得ず，また輸入症例により麻疹ウイルスが再度持ち込まれても持続的伝播が起こり得ないような状態で，弧発例および連鎖的に伝播する症例は全て輸入症例に関連づけられ，それを維持するために地域はワクチン接種による高いレベルの人工免疫を維持することが不可欠な動的な状態」
判断基準： 2004年提案
確定麻疹症例数： 1 年間に報告される確定麻疹症例数が人口100万人あたり1未満であること（輸入症例を除く）
集団免疫；全ての地区（district）の各年齢コホートにおいて，麻疹に対する集団免疫が 95% 以上に維持されていることが，以下の指標により証明されている
a）麻疹を含むワクチンによる 2 回の予防接種率が 95%以上
b）輸入症例による集団発生が小規模なものであること（症例数 100 未満，持続期間 3 ヶ月未満）．
サーベイランス；全ての発熱発疹症例及びウイルス伝播の連鎖を，包括的に報告し調査することの出来る優れたサーベイランスが存在している
うまくいっていないところも、追い込みの時期。
Measles elimination: lack of progress in the Western Pacific Region
The Lancet, Volume 373, Issue 9668
2001年7月に日本小児科学会，日本小児保健協会，日本小児科医会が「麻疹の予防接種率向上
と麻疹撲滅に関する要望書」を厚労省へ提出。
接種率は2001年の52%から2003年63.4% に上昇。
2004年1月から麻しんワクチン定期接種の標準年齢が生後 12-24 か月から 12-15か月と変更。
2005年の報告症例数は537例、2006年520例（患者数はほぼ1万人を下回ったと推定）。
この時期はまだ今のような全数ではなく基幹定点からの報告で把握していました。
（約 3,000カ所の小児科定点と約450カ所の基幹定点からの成人症例の報告）
2006年4月1日からMRワクチン（麻疹風疹混合ワクチン）導入。6月2日から世界標準の「2回接種」になりました。
このままうまくいくのかな？と思った関係者もいたのかもしれませんが、このあと年齢が上の子ども・成人でも麻疹症例の増加が問題になります。
2006 年11月、東京や埼玉から沖縄に修学旅行にでかけた高校生が麻疹を発症（4名入院）。
2007年の小児科定点から報告された症例では、10～14歳が激増。10歳以上が全体の44 ％に。
全数報告である「急性脳炎」について、2007年は8 人の麻疹脳炎が把握されました。
ワクチン未接種で麻疹脳炎に罹患し、重篤な経過をたどった13歳女児例 IASR 2007年
麻疹に中枢神経症状を合併した成人症例 IASR 2007年
2003年の事例ですが、麻疹罹患後、急性脳炎で死亡した成人女性例報告もありました。
また、カナダへの海外修学旅行中に麻疹を発症した事例では
Japanese students quarantined at Vancouver airport hotel
現地でホテルに隔離されたり、乗るはずだった飛行機への搭乗が拒否されました。
台湾への持ち込みも問題視されました。
このことは国際的な注目をあびましたが、日本では「皆がなる病気」「はしかにかかったようなもの」的認知でしたが、世界は、1例出たら大騒ぎ、持ち込むなんてバイオテロか？的対応をされて、「え？そんなに問題なの？」とな反応をする医療者も少なくありませんでした。
2012年に向けた麻疹排除計画は日本だけでなくWHO西太平洋地域（WPRO)の目標でもあります。各国は、FIELD GUIDELINES FOR MEASLES ELIMINATIONをもとに、排除に取り組んでいます。
韓国は日本より先に、麻疹排除宣言。
Elimination of Measles --- South Korea, 2001--2006
日本は2007年に再び大きな成人での麻疹流行を経験し国際的にも問題になり、本格的に排除計画がたちました。
Progress Toward Measles Elimination --- Japan, 1999--2008
【参考】麻疹排除（elimination）の定義
※2003 年1 月に行われた WHO/CDC/UNICEF による麻疹専門家会議においての合意
「広大な面積と十分な人口を有する地理的領域において，麻疹ウイルスの常在的伝播が起こり得ず，また輸入症例により麻疹ウイルスが再度持ち込まれても持続的伝播が起こり得ないような状態で，弧発例および連鎖的に伝播する症例は全て輸入症例に関連づけられ，それを維持するために地域はワクチン接種による高いレベルの人工免疫を維持することが不可欠な動的な状態」
判断基準： 2004年提案
確定麻疹症例数： 1 年間に報告される確定麻疹症例数が人口100万人あたり1未満であること（輸入症例を除く）
集団免疫；全ての地区（district）の各年齢コホートにおいて，麻疹に対する集団免疫が 95% 以上に維持されていることが，以下の指標により証明されている
a）麻疹を含むワクチンによる 2 回の予防接種率が 95%以上
b）輸入症例による集団発生が小規模なものであること（症例数 100 未満，持続期間 3 ヶ月未満）．
サーベイランス；全ての発熱発疹症例及びウイルス伝播の連鎖を，包括的に報告し調査することの出来る優れたサーベイランスが存在している
うまくいっていないところも、追い込みの時期。
Measles elimination: lack of progress in the Western Pacific Region
The Lancet, Volume 373, Issue 9668
